ドラグレッダーとキズナレッド、エビルダイバーと仮面ライダーライア(以下ライア)の戦いが始まろうとしていた。イドラ・アーヴォルンの手鏡よりドラグレッダーが姿を見せ、キズナレッドの背後へと移動する。
『…よぉ、龍の旦那!俺らがたっぷり相手してやんよ!』
『レッドに負けたお前がか?はんっ、笑わせてくれる……レッドから殺すなと言われてる以上、命だけは助けてやろう。』
『バーカ、俺"ら"って言ったろ!確かに俺だけなら赤いのに負けたが…俺とアジールの旦那なら誰だろうと負けねぇよ!おらっ!』ブンッ
『ふんっ!』ブンッ
最初に動いたのはエビルダイバーとドラグレッダー。互いの尻尾の尖端をぶつけ合い…
『痺れやがれ!』バチバチバチッ
『…この程度か。はっ!』ボッ
『…チッ。』サッ
エビルダイバーが尻尾を通じて電撃を流すもドラグレッダーの表情は変わらない。反撃に火の玉を吐き出したのでエビルダイバーはそのまま回避をしながら攻撃の隙をうかがう。
「此方も始めるとしよう。」サッ
「今度こそ仲直りさせてやる!握手カリバー!」
『SWING VENT』
『シャイク・ハンドッキング!』
ライアは自身の左手についた腕盾のバイザー『エビルバイザー』にカードを入れ、キズナレッドは自身の右手をあげると互いの武器が手元へと来た。ライアには『エビルウィップ』と呼ばれるエビルダイバーの尻尾を模したムチが、キズナレッドには双刃刀がその手に握られていた。
「本当は僕も…ラーニヤを傷付けたくなかった…」
「なら…」
「けど、世界を変えられる力が手に入ったなら…辛くても…苦しても…怖くても…僕にしか出来ないんだ!僕がやるしかないんじゃない!『特権・掌…」
「まさか、その状態でも特権魔法を…!」
「──っ!?うわぁぁぁ!!」ブンッ
「な、なんだ…?」
ライアは特権魔法を発動させようとするも中断し、叫びながら力任せにムチを振るう。キズナレッドは疑問に思いつつも双刃刀を回転させて弾かせようと…
「──アババ!?コレにもエビルダイバーと同じ電気が流れてるの……かっ!」ブスッ
ムチが双刃刀に触れた瞬間、キズナレッドの身体へと電気が流れた。慌てて双刃刀を砂地へと刺し、電気を地面に逃がし…今度は別の武器を呼び出した。
「来い!縁結ビームガン!」
「それを待っていた!!」サッ
『エンムスビームガン!』
『COPY VENT』
キズナレッドが銃を持った瞬間、ライアは自身のバイザーにカードを入れる。すると、キズナレッドと同じ銃の武器がその手に握られていたのだ。
「お、俺の武器をコピーしただと!?」
「はぁ!」ユイノウバースト
「コピーしようが…初めてのお前と、使い慣れた俺とじゃ、全然違うんだぜ!」ユイノウバースト
互いの銃弾がぶつかり合い、間には火花が飛び散っている。撃ち合いに夢中になっていたキズナレッドは砂の中から自身へと伸びてくるライアの弁髪に気づかず、足に引っかけられバランスを崩した。
「なっ…」
「隙ありだ!!」バキッ
「がはっ…!?」
そして、ムチを自身の右手に巻いたことで出来た電撃の拳がキズナレッドの腹へと入り…そのまま、キズナレッドの身体は地面へと倒れる。
「レッド!!」
慌てて駆け寄るイドラ。
「さ、させるか…っ!『特権掌握・ウアス』!…
ライアは今度こそ特権魔法を使う。するとイドラが、キズナレッドが、テルティナ王女が、ラーニヤが、ボルキャンサーが、自身の仲間のエビルダイバーまでもが…ライアを除く周りにいる者の動きが止まる。
「僕は…何としても成し遂げる!絶対的な力による平等な支配を!!まずは反逆の火種となる力を全て奪う!!ラーニヤと君の異世界の力は…僕が管理する!」
『はぁっ!』ボッ
『第六聖剣・
「なっ!?」ドゴーン
そのまま、キズナレッドへ追い打ちをかけようとするライア。しかし、そこへドラグレッダーによる火の玉と、ロゥジー・ミストによる黒い竜巻が襲いかかり…ライアを吹き飛ばした。
「馬鹿な…!ミラーモンスターすら封じれる"悠久"の発動下で何故動ける?」
『力ずくだ。』
「それは私がテルティナ様の勇者だか「あんたは聖剣の力ね。」……だそうだ。」
「ど…どういうことだ?」
キズナレッドに回復魔法をかけつつイドラが解説を始めた。
「貴方が止めていたのは私たちでも世界でもない。私達の体に付着していた『砂の時間』…そうでしょうアジール?」
「─!」ギリッ
「す、砂の時間?」
「要するに時間が停止した物体は動かすことも破壊することも出来ないの。そんな『砂』に包まれていたせいで全く動きがとれなかったワケよ。」
「なるほど…私だけ動けたのは聖剣が体に付いた砂の魔力を吸い尽くしたからという訳か。」
「じゃ…じゃあ!ドラグはどうなんだ!」
キズナレッドはドラグレッダーへと指を向けて質問した。
『力ずくと言ったろ…停止した砂がどうしようもないなら、俺の身体に付着した砂の部分にだけ風穴を開けて通り抜ければいい。』
「自分自身の身体に風穴を開けるって…ミラーモンスターってめちゃくちゃな身体をしてるのね。」
「待ってください。その理論であればボルちゃんもあのピンクのミラーモンスターも抜けてるはずですが…」
『そんなことボクは出来ないよ!?てか、そんな発想すら出てこないよ!?』
「まさか"悠久"にそんな天敵がいたとはね…まったく!どいつもこいつも、どうして僕の理想の邪魔ばかりするんだ!僕はただ…人間と亜人とミラーモンスターを平和に共存させたいだけなのに!」
『そうだ!旦那の理想も手段も間違ってねぇだろ!』
ライアは特権魔法と同時に銃とムチを手に持ち、エビルダイバーも身体から帯電しながら攻撃を始めた。
「確かに理想
そして、キズナレッドとドラグレッダー…さらにはロゥジーとイドラ、ボルキャンサーまでも参戦し、互いの攻撃がぶつかり合う。
「お前の理想のためなら、ラーニヤもボルキャンサーも力を貸してくれるだろ!」
『そうだよアジール!ボクは喜んで手を貸したよ!』
「お前たちが力を合わせれば、共存に反対する人達の考えだってきっと変えられる!ここ以外の何処かにも同じように共存を望む人は沢山いる!お前が手を伸ばすのは特権魔法でも仮面ライダーでもない!沢山の人との絆だったんだ!」
「なら…この一撃を止めてみろ!エビルダイバー!」サッ
『いくぜ旦那!!』
『FAINAL VENT』
激しい攻防が続く中、ライアがバイザーへとカードを入れた。次の瞬間、エビルダイバーが宙を舞いながらライアを背中に乗せ電撃を纏い、ライアもムチを巻いた拳に同じく電撃を纏った状態で構え…キズナレッドたちへと迫る。仮面ライダーライアの必殺技…その名は『ハイドベノン』。
「大技が来たわ!」
「雷か。ならば…」
『ロゥジー、イドラ…ここは俺とレッドに任せて欲しい。レッド!右手を前に出せ!』
「おう!」
『STRIKE VENT』
ドラグレッダーが自身の頭部を模したであろうガントレット『ドラグクロー』をキズナレッドの右手へと渡す。
「これは…!」
『お前の動きに合わせてやる…やつらに熱いのを叩き込め!』
「了解だぜ!」
「『はあぁぁぁ!!』」バチバチバチッ
キズナレッドは自身の元へと来るライアとエビルダイバーに向けて右手を構え…
『はっ!』ボッ
『熱っ…!』
「そこだっ!えーと…『バーニング・ドラグパンチ』!」ブンッ
「んぐっ!?」ボコッ
キズナレッドの動きに合わせ、ドラグレッダーが火の玉を吐き出し、下のエビルダイバーへと当たり動きが鈍らせた。そこにキズナレッドの炎の拳の一撃がライアの顔へと当たり…後ろへと飛ばす。大ダメージを負ったライアは変身が解け…アジールへと戻ったのだ。
「…くそっ!ぐ…っ!?ああぁぁああ!」
「アジール!?」
『旦那ぁ!どうした!?』
「嫌だ…種に飲み込まれるのは…嫌だ。嫌………今更後戻りなど出来るか!我が理想を妨げる者は悉く殲滅し…残った者のみで理想の世界を創れば良い…」
『…旦那?嘘だろ…しっかりしろぉ!!』
「マズいです!魔力の種に心を飲まれかけてます!」
『なら…俺の電気で目を覚まさせる!少しだけ我慢しろよ!』バチバチバチッ
「…ぐっ、エビル…ダイバー!」
『よし、正気に戻っ…』
「た、助け……うぐっ!」
『旦那ぁ!!』
「魔力の種が…暴走しました。」
アジールへと電撃を浴びせるエビルダイバー…しかし、アジールは一瞬正気に戻るもウアスと共に砂嵐の中へと飲み込まれた。そして…それはさらに巨大な砂嵐へと姿を変える。
「何よアレ…!?」
「まるで砂嵐の化物だな…」
「アジール…」
「待ってくれ!アレが向かってるのは…」
『太陽の森だ!でもどうして…』
「魔力を喰らうためかもしれないわ!」
『そんな…』
「早く止めないと!」
「レッド!」
「ラーニヤ?」
「アジールが砂嵐になる寸前…"助けて"って聞こえたんです。」
『…アメンの嬢ちゃんも旦那の声、聞こえていたのか…』
「だから、お願いします!どうか彼を助けて…」
「何言ってんだ!ラーニヤも一緒に助けに行こうぜ!」
「え?あっ、はい!」
「行くぞ皆…絶対に救うぞ!太陽の森も!アジールも!」
キズナレッドが5体のキズナビーストを呼び出し…合体した。
『絆装合体!マキシマム・キズナカイザー!』
そして、そのまま巨大な砂嵐を追い始めたのだ。
『…』
その様子を砂の上から眺めるエビルダイバー。ため息をつきつつドラグレッダーが声をかける。
『エビルダイバーよ…お前はどうするつもりだ?』
『もう俺に出来ることは何もねぇよ…いや、1つあるか。お前にでも食われれば…』
『そんなのアジールが悲しむよ!』
ドラグレッダーだけではない…その場にはボルキャンサーも残っていたのだ。
『…あぁ、蟹の…えっと…』
『ボクはボルキャンサー!ラーニヤのお母さん!そして…アジールの義母さんもなるんだよ!』
『旦那の…母親?』
『…何故、お前がラーニヤだけではなくアジールの母にもなるんだ?』
『そこは今いいの!レッドたちはアジールを助けようとしてくれてる…ボクたちにも出来ることはあるでしょ?』
『例えば?』
『ボ、ボクの泡で砂を固めたり…』
『あの砂嵐を全てか?』
『…。と、とにかく!やれることをやろう!先ずはこれ食べよう!アジールが砂嵐になる直前にボクへ投げてきたの!』
そう言うとボルキャンサーはハサミに挟んだ何かを見せる。
『ほほぉ…肉か。』
『これ、旦那がさっき俺に食べさせてくれた…』
『ベーコンだよ!』
『そっか、仲間になるミラーモンスターってお前のことだったんだなボルキャンサー。』
『2人とも口を開けて!』
『エビルダイバーはともかく…俺もかボルキャンサー?』
『いいからいいから!そりゃっ!ボクもいただきます!』ぶんっ、ぱくっ
ボルキャンサーは切ったベーコンの塊をドラグレッダーとエビルダイバーの口へと投げ、残りを自分の口へと入れた。
『なるほど。俺にはかなり小さいが…いい歯応えだ。』ゴクリ
『…あぁ、うまい。』ゴクリ
『でしょ?ボクも大好物なんだ!エビル…元気出た?』ゴクリ
『…』
『ボルキャンサー、こいつを甘やかすのはここまでだ…俺らも早くレッドたちと合流しよう。』
『…そうだね。ボクたちはアジールを助けてくるから…無理せずに待っててね。』
『…』
そして、ドラグレッダーは背中にボルキャンサーを乗せるとキズナカイザーのいるところへと飛んでいった。