「この度は多大な迷惑をお掛けしてしまい…本当に申し訳ございませんでした。」
魔力の種を回収され、人間へと戻ったアジールは縛られているギミックとユーゲスを背にエルフの皆へと謝罪をした。
「事情はラーニヤ様から聞いたよ…」
「そっちも色々と大変だったのね。」
「だからってこの森を支配しようとしたのはいただけないがな。」
モンジャバディとザフラは同情していたが、ファナンは厳しい言葉を返す。
「幸いこちらの被害は矢筒の木が何本か砂に変えられた程度だ。それに我々も貴方の理想は間違っていないと思う…だから、これからはラーニヤ様だけじゃない。私たちみんなで人間と亜人が共存できる世界を創っていこう。」
「ああ…ありがとう…」
とはいえファナンもアジールの理想に理解はあった。許されたアジールが涙を溢しながら礼を言う。その事でエルフたちから歓声が上がった。
『むぐむぐ…ふぅ。サボテンのお代わりくれ!お代わり!』もぐもぐ
「あいよ!」どさっ
『兄ちゃん!これ以上は止めなって!処理に困ってた魔物のサンドワームはともかくサボテンはここの人間の貴重な食料で、ここまで育つのにかなり時間掛かるって聞いたよ!』
「気にするなって!アンタらがククジャを行き来する馬車になってくれんだろ?なら、これくらいはしないとな!」
『調子に乗るからあんまり兄ちゃんを甘やかさないで!』
『きょ…今日だけだ。明日からその分働くんだし…』
『もぉ!満腹になって動けなくなっても知らないよ…』
その側でサボテンを食べるワイルドボーダーとシールドボーダーの兄弟。これからは太陽の森で暮らすことが決まっていた。それらの様子をドラグレッダーたちは眺めていた。
「雨降って地固まる、ね。」
「砂漠に雨は降らんがな。」
「まさに結果オーライ万事解決だぜ!」
『では次の種の情報を……!誰だ?』
「ドラグさん?きゃっ!」
「テルティナ様!」がばっ
「何と美しい大団円でしょう…でも、それじゃあ困るんですよ。」
突然にドラグレッダーが警戒の声をあげる。真っ先に反応したのはロゥジー・ミスト。自身の主であるテルティナ王女を庇った次の瞬間…辺りに雷が落ちた。
『無事かレッドよ?』
「ドラグのお陰で俺たちは何とか…」
「他のみんなは!?」
「一体何が…?」
ドラグレッダーは浅垣灯悟らを囲み、そのまま落雷を受け止める。自分たちの無事を確認したイドラ・アーヴォルンはあわてて周りの状況を見始めた。
「あなたには失望しましたよアジール様。まさかあの特権を以てしても標的の1つも滅ぼせないとは。」
「ヴィダン!どうして君が…?」
そこにはアジールへと声をかけるヴィダンの姿があった。
「この気配…?」ゾクッ
「テルティナ様?」
「まさか奴は…魔王族!?」
「ご名答。」
次の瞬間、ヴィダンの身体から角と翼が生える。
「私は麗しき
「アブダビと同じ敵の幹部か!」
「お疲れのところ申し訳ございませんが…あなた方には大いなる目的のために消えていただきます。」
「大になる目的…魔王の復活ってヤツか!」
「その通り!そして
「私は
『は?』
ヴィダンの発言により辺りは【FREEZE VENT】した。
「ちょ…ちょっと待ってくれ。魔王はお前の"実の母親"なんだよな?」
「それが何か?君らだって1度くらい"お母さんと結婚する"とか言ったことあるでしょ?」
「いや…」
「親の顔も知らん!」
「子供に時にあったとしても千年間そのままはヤベェよ。」
『ほほぉ…詳しく聞こうじゃないか?』
「ドラグレッダー!?」
アジール、ロゥジー、灯悟がドン引きする中でドラグレッダーだけは反応が違っていた。
『何、奴が話したそうにしているんだ。軽くなった口で自分の弱点になることを吐くかもしれん…お前たちはエルフたちを避難させていろ。』
「お、おう…」
ひとまずドラグレッダーの指示に灯悟たちは従い、その場を離れる。
「ふむ…ミラーモンスターが私の理想を理解しようとは…」
『まさか。敵であるお前と分かりあえることは無い…だが、愛については興味はある。まぁ、話さないなら…ここでお前を殺すだけだ。』
「やれやれ…ミラーモンスター如きが私を倒せるとでも?」
『さっき受けた雷で分かる…お前、アブダビより弱いだろ?話さないならすぐに殺す。』
「…。いいでしょう、アナタの挑発に乗ってあげましょう。」ぴきっ
ヴィダンの表情が一瞬固まった。しかし、すぐに戻り…魔王への愛を語りだした。
「
『…それだけか?』
「それだけって…結婚したいと思うには十分な理由でしょう?どんな解答を期待していたのです?」
『生々しい"UNITE VENT"について語ると思っていた。』
「は?」
今度はヴィダンが【FREEZE VENT】する。
『"UNITE VENT"とは男女で行うことだと理解した。同性であれば"UNITE VENT"しても生産性がないとも理解している。しかし"UNITE VENT"で生まれたお前が生んだ魔王と"UNITE VENT"することでどんな"STRANGE VENT"が…』
「待ちなさい!私が
『?まさかお前…結婚しても"UNITE VENT"しないつもりか?』
「当たり前です!人間基準で私の"永遠の愛"に意見にしないでもらいたい!」
『なるほどな…確かにこれは俺に理解できないことだ。』
「満足しましたか?では…全員、死になさい!」
そう言いながらヴィダンは空中へと大量のカードを投げる。
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『ヤットデラレタ…』
『エルフガ…イッパイ…』
『オナカスイタ…』
『タベナイト…ハヤクタベナイト…』
現れたのは白いヤゴ型のミラーモンスター…『シアゴースト』。その数は15匹。そのまま避難中のエルフたちを襲い始めた。
『なっ…!?ミラーモンスターだと!?クソっ…ボルキャンサーたちの気配に混ざって気付けなかった!レッドォ!!』
大声で灯悟を呼ぶドラグレッダー。しかし、振り向いたドラグレッダーの目に映ったのは、血まみれの状態で壁に倒れた灯悟の姿だった。