無双龍ドラグ異世界で冒険者になる   作:アマノジャック

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戦隊レッドと千年を越えた想い2

二階堂天理のメッセージを聞き、壁画を後にする浅垣灯悟たち。まずは情報の整理から始めた。

 

「フォリングにいるシルバーさんのお仲間…一体何者なのでしょうか?」

「千年前から生きてるということはエルフや吸血鬼でしょうか?」

「いや、恐らく勇者の仲間の一人"博士"のことじゃろう。」

「博士?」

「勇者共と一緒にチラッと映っとったあの老人じゃ。」

『刻印魔法に興味を示していた男だな。』

「あの顔…どっかで見た気がするんだよな…」

 

灯悟は頭を捻りつつ、何とか思い出そうとする。

 

彼奴(きゃつ)は底知れぬ頭脳と未知の技術力を持ち、勇者の聖剣を創造した稀代の大天才じゃよ。」

「何!?この王家の聖剣の製作者だと!?」チャキ

「王家の聖剣?ゔーん…なんじゃったかのう…当時は確か、クロ…なんちゃらソードとか呼ばれておったハズ。」

『正式な名前がまた別にあるというのか。』

「聖剣を作った大天才で千年間も生き続けているなんて…」

「一体何者なんだぜそいつは?」

「彼奴は自らをこう呼んでおった…"狂科学者(マッドサイエンティスト)"と。」

「狂科学者…!」

 

ワァドの言った"狂科学者"に反応を見せる灯悟。

 

「博士も異世界から来たと言っておったが何か心当たりでもあるのかの?」

「シルバーやアメンだけでなく博士も異世界人だったの!?」

『恐らくだが美穂と呼ばれた女もそうだろうな。服装からしてこの世界では浮いてしまう。』

「千年前、異世界人来すぎでは?」

「俺が知る狂科学者と呼べる人物は…キズナファイブの生みの親である『ペタゴラス』博士。そして、ゼツエンダー幹部の『プロフェッサー・ウラギリス』の二人。だけど、あの老人はそのどちらでもなかったぜ。それにペタゴラス博士ならともかく、ウラギリスとシルバーが仲間になるとは思えないぜ。」

 

そのままウラギリスとの因縁を語り出す灯悟。ロゥジー・ミストが寝てしまう中、他の仲間は薄々と気付き始めていた。

 

「イドラさん、ドラグさん。コレってもしかして…」

「えぇ。恐らく…」

『…ククク。面白そうな展開だな。』

 

「最終的に絶縁王から切り捨てられ消滅したが…最後の最後まで奴と相容れることはできなかった。…という訳だから博士ってのは俺が知ってる人物では無いと思うぜ!」

「いやいやいや。それ絶対ウラギリスじゃん。」

「え"っ!?」

「聖剣を生み出せる技術力を持っていて…」

「レッドさんが難色を示す相手で…」

『しかも元の世界では死んでいる。』

「レッドやシルバーと同じようにこの世界に飛ばさせてきた可能性は十分にあるわね。」

 

慌てて灯悟は否定の言葉を吐き出した。

 

「待ってくれ!奴の見た目はあんな老人じゃ…」

『奴はペタゴラスって人間と同じ仲間だったのだろ?なら生身でお前たちと戦っていたとは考えられないな。』

「レッド。ウラギリスの変身前の姿は見たことあるかしら?」

「…ないぜ。」

「亜人の国にいるシルバーの仲間…いったい何ギリスなんだろうな。」

「ロゥジー…!!だけど…だとしたらシルバーとウラギリスは何で仲間に…?」

「儂もその辺りの事情は聞いておらんからの。それこそ博士に会って確かめるしかあるまい。」

「…っ!」

 

灯悟は苦虫を噛み潰したよう顔になり…再び頭を捻る。

 

「前向けに考えればアイツと絆を結び直すチャンス…か?」

「信じられないくらい嫌そうな顔をしますね。」

『少し頭を冷やせ…はっ!』ボッ

「ぎゃーっ!!熱い熱い熱い!ロゥジー!ボルキャンサー!水!」

『わわわっ!?何してるのドラグレッダー!?』ボボボッ

 

そんな灯悟をドラグレッダーは燃やし、慌ててボルキャンサーが消火する。

 

「ところでシルバーやアメンも博士も美穂さんの異世界人だったってことは…伝承通り勇者も異世界人だったんですか?」

「なんじゃその伝承は…確かにミホも含め他4人は異世界人じゃったが、勇者はこの世界の住人じゃったわ。」

『確認だ…その美穂という女は壁画の姿に変身していたか?』

「あぁ、そうじゃ。これは変身したミホの姿じゃ。んー、勇者の件は恐らく"勇者以外が異世界人"がどっかで"勇者は異世界人"と間違って伝わったのじゃろう。」

『異世界人4人とこの世界の住人1人のパーティーか…今の俺達は真逆だな。』

「あのドラグさん?貴方も異世界から来たのですよね?」

『俺は人としてカウントするべきじゃないだろ?』

「ついでに言うと魔王を封印してからは"伝説の勇者"なぞと呼ばれるようになったが…当時の奴らは勇者一行を自称する超危険変人集団じゃった。」

「えぇ…」

 

ワァドはまた遠い目になりながら、当時の彼らについて話し出す。

 

「まぁ…本当にどいつもこいつも癖の強い変人じゃったわ。

自分を捨てた家を見返すのに躍起な根暗勇者に、

こっちが喋ることを先読みして会話する変な女、

喋ったかと思ったらずっと高飛車な態度をとるミラーモンスター、

それを従えつつも自身は無害と装い続ける女、

気になる物は直ぐに解剖して改造しようとする危ない爺に、

自称・考古学者のナンパ男。」

「え…?そのナンパ男ってまさか…」

『ラーヴァンだ!!』

「ボルちゃん!?」

『ラーヴァンだよね?ラーヴァンのことだよね?』

「違う。ラーニヤやラーヴァンのご先祖、初代アメンじゃよ。」

「初代様のイメージが…」ズーン

『ラーヴァン…また会いたいよ…』ズーン

 

衝撃に事実に沈むラーニヤと別のことで沈むボルキャンサー。

 

「まぁ、英雄色を好むと言うし…あとラーニヤって異世界人の血が混じってるのね。」

「ボルキャンサーは…うん。とりあえずこのままにしておくんだぜ。」

 

その後もワァドは初代アメンについて語る。第一印象こそは最悪だったが、魔王により砂漠に変えられた土地を復興のため、砂漠の植物と魔鉱石を融合させた"矢筒の木"を作ったこと。その叡知と献身さから初代アメンの本名『雨沼太陽』から名前をとり、"太陽の森"と呼ぶようになったこと。

 

「灼熱の太陽が降り注ぐからでは無かったのね。」

「それで初代アメンはその後どうなったんだ?元の世界には帰れたのか?」

「…いや、彼は元の世界に帰る方法を探そうとはしなかった。彼はこの森の復興に生涯を捧げてくださった。そして最期はこの遺跡の奥で眠りにつかれた。」

「…そうか。初代アメンは帰れなかった…いや、帰らなかったのか。」

「元の世界に帰る手がかりにはならなかったわね。」

「それじゃあ、シルバーは…」

「シルバー殿の足跡については儂も知らぬ。」

「美穂って異世界人は!?」

「それこそ博士に会って聞くべきじゃろ。儂の知っとるミホの情報は博士と共にフォリングに行ったのが最後…じゃが、初代アメン様同様に今も生きているとは考えにくい。"ブラン"はまだ生きているかもしれないが…」

「…ブラン?」

 

首を傾げる灯悟の手鏡からドラグレッダーが顔を出した。

 

『あの白いミラーモンスターの名だ。正式には『ブランウイング』。さっきラーニヤが言っていた大きな鳥もコイツのことだろう…』

「ほぉ…知っておったか。」

『あぁ、理由は分からんが何故か知っている。ついでにあの壁画の仮面ライダーについても説明してやろう。あれは『仮面ライダーファム』と呼ばれる姿だ。あのレイピアがバイザーになっていて、使用出来るカードは【SWORD VENT】と【GUARD VENT】の龍騎とほぼ同じだ。背中のマントで少しだけなら空も飛べる。』

「へ、へー…」

「ふむ。儂の知っていたことを全て言われたの。」

『だが高飛車な性格ってのは俺でも初耳だった。まぁ、ミラーモンスターにもよるのだろうが。』

「会って確かめるしかないわね。」

「うぅ…ウラギリスじゃありませんように…」

 

灯悟はただ祈る。そんな中、恐る恐るボルキャンサーが左腕を上げる。

 

『…あのさ、この空気でこんなこと言うのは何だけど…その…』

「ボルちゃん?」

『ボク、多分ここに来る前はフォリングにいたかも。』

「「「えぇっ!?」」」

『ほぉ、どういうことだボルキャンサー?』

『さっきの博士って人、見覚えがあるんだ…ボクが戦えるのはあの人のお陰だから。』

「まさか…何か改造実験を?」

『うーん…ある意味そうかも。気がついたら真っ暗な部屋にいて…明るいところに連れてこられたかと思ったら変な怪人っぽいのと戦わされる毎日になってた。まぁ、本当に殺し合う訳じゃないし…終わったらご飯くれたし。それで博士は遠くから何か手元の板みたいなのとにらめっこしてた。』

「…あぁ、益々ウラギリスがやりそうなことだぜ。」がりがりっ

 

ついに灯悟は頭を搔きむしり始めた。

 

「ならボルキャンサー。何故今貴様はここにいる?」

『ある日、アメンに変身したラーヴァンと戦うことになったの。最初こそボクが圧倒してたんだけど、最終的には逆転されて…えへへ。好きになっちゃった。だから付いていくために博士の所から出ていった。」

「そ…そうだったのね。追われたりはしなかったのかしら?」

「したよ…まぁ、ラーヴァンと一緒にいたら来なくなったけど。ラーヴァンってばボクの言いたいこと全部分かってくれててね…』

「ボ、ボルちゃん。その話は後で詳しく聞かせてくれるかしら?」

『ラーヴァンったらボクの目を盗んでは他の女の子にナンパしに行くから何度○○○を切るぞと脅したことか…』チョキチョキ

「ボルちゃん止めて!?父上のそんな話聞きたくない!」

 

ボルキャンサーの惚気はしばらく続いた。

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