無双龍ドラグ異世界で冒険者になる   作:アマノジャック

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矢筒の湯とリング

「という訳で…シャウハからの要請をまとめると、この"太陽の森"から、私たちが来た"メズス"、騎士が消息不明の"ニヅベル"、帝都からの逃亡者がいる"ルイーグ"、騎士団が駐屯している"メカモ"のルートになりそうね。」

『ちょうど北上していくルートになるのか。俺はメズスから魔導塔のある"アヴァルロスト"へ行くことになるがな。』

「ごめんなさいレッドさん。フォリングはかなり後回しになってしまいそうです…」

「仕方ないぜ!魔力の種は放っておけないしな!」

「今日は怒涛の1日で満身創痍だし…出発は明日以降にしましょう。」

「「「『おー!!』」」」

 

話がまとまり一息つくドラグレッダーたち。そこへザフラとファナンが声をかける。

 

「でしたら今日はこの森でお休みください。」

「疲れを癒すのにピッタリな物もございますし。」

「「「「『ピッタリな物?』」」」」

 

───

 

浅垣灯悟とロゥジー・ミストは服を脱ぎ、扉を開くと…湯煙に包まれる光景が目に入る。

 

「これは…一体…?」

「温泉だぜロゥジー!お、先客か?」

 

『来たか伝説の救世主たちよ!これは太陽の森・名物『矢筒の湯』……で合ってるよな?』

『合ってるよ。湯に浸かる前に身体を綺麗に洗ってね。』

 

さらにはワイルドボーダーとシールドボーダーが三助の格好をして立っていた。

 

「ワイルドボーダー!シールドボーダー!お前たちもいたのか!」

『おうよ!資材運びが終わっちまって、ここの仕事を任された。ここなら直ぐにミラーワールドに戻れるからな。』

『はいはい…兄ちゃんは床の掃除を続けてね。僕は背中洗いも出きるからやりたくなった何時でも言ってね。』

「おぉ!こんなサービスがまだあったんだな!早速頼むんだぜ!」

「…私は自分で洗うから不要だ。傷もあるからな。」

 

洗い場にて灯悟とロゥジーは身体を洗い…湯船へと浸かった。

 

「…やぁ。君たちも来ていたか。」

『よぉ!』

「アジール!それにエビルダイバーも!」

「ここの風呂は凄い。疲労回復に打ち身や負傷にも効くと言われいる…ケガの治りが早くなればいいのだけど。」

「だってよロゥジー!」

「…」ぶくぶくぶく

「楽しんでいるようで何よりだぜ!」

 

そのまま灯悟は会話を始めた。

 

「そういえば気になっていたんだけど…エビルダイバーってアジールのことかなり慕ってるよな?どんな出会いだったんだ?」

『お?俺と旦那との出会いが気になるか?そうかそうか、えーと………ん?あれ?何か旦那からベーコン食わせて貰った所からしか覚えてねぇな。』

「そうなのかい?まぁ、君が大人しくなったのは契約した後だったから…」

『契約?そういえば、気付けば旦那と契約していたな…』

「え?どういうことだぜ?」

「…分かった。覚えている範囲で話していこう。あれは僕が魔力の種を扱えるようになった後のことだ。」

 

………

 

『素晴らしいですアジール様。これで貴方の目的は完遂できましょう。』

『これでアメンの力を…だが、ラーニヤにはまだ別の力がある。』

『ほほぅ?それは…ミラーモンスターを使った力のことでしょうか?』

『ミラー…モンスター…?ボルキャンサーのことでいいのか?』

『えぇ、その通りです。このカードデッキに見覚えはありますか。』

『それは…!?』

『まだ未契約のカードデッキでございます。ミラーモンスターと契約することで、真の力を発揮をします。』

『真の力…だが、ボルキャンサー以外のミラーモンスターを知らないな…』

『ふむ…ではこうしましょう。私が1体のミラーモンスターを召喚します。そのミラーモンスターと契約できたなら…こちらのカードデッキを差し上げましょう。使い方はお分かりで?』

『…あぁ、ラーニヤをみてきたから分かる。』

『その魔力の種の力があれば大丈夫かと思いますが警告をしておきましょう…召喚したミラーモンスターは飢餓状態で非常に気性が洗くなっています。すぐに何か食べ物を与えなければアジール様自身が捕食されます。』

『…食べ物ならちょうどポケットに入っている物がある。』

『こちらの"CONTRACT"のカードを向けることで契約は出来ます…それでは解放後に私は巻き込まれないよう避難します。ご武運を。』

『あぁ。』

 

【ADVENT】

 

『…!』バチバチバチバチッ

『いきなり来るか!?『特権掌握・ウアス』!…"悠久(レルアバド)"!』

 

………

 

「特権魔法で動きを抑え込んで、何とか契約したってところだな。」

『…マジか、俺が旦那を殺しにいってったのか。にも関わらず覚えてねぇって…』ズーン

「そういえば、召喚されるミラーモンスターって全員飢餓状態なのか?」

『悪い…分からねぇ。』

『それについては俺が答えよう。』

「ワイルドボーダー?」

 

気付けばワイルドボーダーも湯船へと浸かっており、そのまま灯悟へと顔を向ける。

 

『俺達ミラーモンスターはミラーワールドから出ることの無かった存在だ。だが、千年前…何故かこの世界とつながり、そこから魔王族から侵略を受け、同族たちは次々とカードに封じ込まれた。俺と弟は何百年か逃げていたが…結果はこの通りだ。食わなきゃ死ぬってのは人間と同じ、俺達は数百年で済んだものの…千年前に封印された奴らたちが正気でいられる訳がねぇ。何なら普通に死んでる奴もいるだろな。』

『兄ちゃん…』

『俺もお前がいなきゃ…ドラグレッダー相手に死んでいた。』

「エビルダイバー、君も辛かったんだね。」

『…まっ、やっちまったもんはしょうがねぇ。その分、旦那や旦那が守りたいもん全部守るしかないな。』

「おぉ…!凄い絆を感じるぜ!なぁ、ロゥジー!」

「……!」ブクブク…ぷいっ

「ロゥジー…」

 

………

 

一方で女湯の方はというと…

 

「初代アメンは『俺の世界では混浴は基本』などとほざいておったから袋叩きにして却下してやったわい。」

「ここにきて初代アメンの株がドンドン落ちるわね…」

『ふむ…やはり胸が見たいからか。』

「かっかっか!胸だけとはまだまだ青いのぉ!真の女の魅力は…尻じゃ。」プリーン

『尻か…勉強になる。』

「なるな。大婆様もドラグレッダーに変なことを教えないでください!」

「というかドラグさん、こっちに来たのですね…」

『レッドたちの方には他のミラーモンスターがいたからな。俺抜きの方が交流がしやすかろう。』

 

イドラ・アーヴォルンやテルティナ王女と共にドラグレッダーの姿があった。そして、湯船の中から何かが浮かび上がってきた。

 

「…」ちーん

「ラーニヤ!?この数時間で一体何が!?」

 

ボロボロになったラーニヤだった。

 

「軽くしごいてみただけでこの体たらくじゃ。大方、修行をサボって…ククジャの坊主と乳繰り合っておったのじゃろう。」

「してませんよそんなこと!」ざばっ

「だったらなんでそんなに弛んどるじゃい!」すぱーん

「すみませぇん!!」びくっ

「正直に言え!ちょっとは"PATCH・UP"しとったんじゃろ!」ぺちーん

「…まぁ、多少は。」ぷるぷるっ

 

ワァドに尻を叩かれ、とんでもないことを吐いたラーニヤ。

 

「ほほう。」

「そこんとこ詳しく!」

『"UNITE VENT"か…興味深い。』

 

『君たちにはまだ早い話だよっ!』ざばっ

 

イドラとテルティナ、さらにはドラグレッダーまでもが詰め寄るも湯船から出てきたボルキャンサーが必死に止めた。

 

───

 

「いやー、いい湯だったぜ!まさか浴衣みたいな服まであるとはな!」

「今回ばかりは同意してやろう。」

「…なんで全快してんのよ。アンタら、全身穴だらけだったのよ。」

 

温泉から上がった灯悟たちは浴衣へ着替え、夜風を浴びる。浴衣姿のテルティナに天使だと見惚れるロゥジーをよそに、浴衣をパタパタしているイドラへ灯悟が話しかけた。

 

「あれイドラ?その絆創膏、風呂でも付けっぱだったのか?ケガが治ったら剥がしていいんだぜ。」

「べ、別にいいでしょ。気に入ったのよ。」

「絆創膏をか?でもずっと貼りっぱなしだと蒸れるし臭くなるぜ?」

「それは大丈夫。浄化魔法と保管魔法で痛んだり劣化したりしないようにしてあるから。」

「いよいよ絆創膏貼ってる意味がないんだぜ。」

「ふっふふーん♪」

 

イドラは上機嫌なままテルティナの方へと歩いていく。入れ替わるようにロゥジーが灯悟へと話しかける。

 

「アサガキトウゴ、貴様の世界じゃどうか知らんが…この世界では"左手の薬指にリングを贈る"という行為は"求婚"や"婚約"に値する。」

「はぁ!?リ、リングって言ったって…アレ、絆創膏だぜ?」

「リングはリングだ。貧しい地域では花の茎を結んで指輪として贈ることもある。」

「…つまりこの場合は?」

「ポセイドン殿にご挨拶だ。」ぱちぱちぱち

 

ロゥジーは灯悟へと拍手を送った。

 

「イドラぁ!その絆創膏について…」

『レッドよ。』にゅっ

「ドラグ!?今はお前の相手を…」

『何、すぐに終わる…左手を出せ。早くしろ。』

「お、おう?」

 

カチンっ

 

手鏡よりドラグレッダーが上半身を伸ばし姿を見せる。そして、3本爪を器用に使い、灯悟の左手の薬指に指輪を付けたのだ。

 

「アノ…ドラグサン。コレハ…?」

『いつしか依頼で依頼人が報酬とは別にくれたものだ。名は"虹色の指輪"…1度だけ強力な魔法を解除する優れものらしい。』

「…ナンデ、イマ、コレヲ…?」

『俺と別行動になるんだ…離れている間、非常食のお前に万が一のことあったから困るからな。ちなみに効果が発揮されるまでその指輪が外れることはない。』

「ほ、他の指じゃダメだったのか?」

『ククク…さぁな。話は以上だ…ほら、来たぞ。』

 

「何か呼んだレッド?さっきも言ったけどこれは気に入って………レッド?その指輪は何かしら?」

 

ドラグレッダーが手鏡へと戻る。また入れ替わるようにイドラが戻ってくると…光のない目で灯悟の左手を掴む。

 

「ド、ドラグが俺が不在でもって…」

「随分と立派な指輪ね。ちょっと詳しく…嘘!?術式構造はシンプルなのに干渉できない!?」

「ドラグは虹色の指輪って言ってたけど…」

「はぁ!?古代魔法を使ったオーパーツ級の魔導具を何でドラグレッダーが持ってるのよ!?」

「報酬で貰ったとか…後、効果を出すまで外れないって…」

「ぐぬぬぬ…!思わぬ所にいるのね…上等よ!負けないんだから!」

「イドラ、話が見えな…」

「とりあえず、この絆創膏は絶対に剥がないから!」

 

「あらあら、面白いことになってきましたね。」

「テルティナ様…私も同意します。」

 

そんなこんなで太陽の森での最後の夜が明けていった。

 

───

 

朝になりラーニヤを始め、アジールやミラーモンスター3体、太陽の森のエルフたちがドラグレッダーたちを見送りに来ていたか。

 

「それじゃあまたな!ラーニヤ!」

 

「はい!修業から逃げ…終えたら必ず追いかけます!」

「…」ぎろっ

「皆さん、お気をつけて!」

「この森を救って頂いたご恩、我々は決して忘れません!」

 

こうして一行はドラグレッダーの背中へと乗り、太陽の森を後にする。

 

「さぁ、目指すは亜人連合首都フォリング!」

「その前にニヅベルやルイーグで逃げた貴族の捜索ですよ。」

『俺もシャウハからの依頼がある。』

「そうだったぜ!」

「その前にメズスのウチの屋敷に寄っていきませんこと?通り道ですし、装備も整えておきましょう。」

「それもいいな!」

「フォリングに着くのはいつになることやら…」

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