無双龍ドラグ異世界で冒険者になる   作:アマノジャック

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冒険者ドラグレッダー

メズスへと帰ったドラグレッダーたちはフォリングに向けて準備を始めていた。そんな中、テルティナ王女の提案によりドラグレッダーと浅垣灯悟、イドラ・アーヴォルンは冒険者ギルドへと来ていた。

 

「なんだ、珍しい顔が来たな。」

「よぉ、ギルマス!」

「お久しぶり。」

「ん?ドラグレッダーは…」

『ここにいる。』

 

ギルドの窓にドラグレッダーが写っていた。

 

「いやー、久々過ぎてうっかり自分が冒険者なのを忘れてしまっていたんだぜ!」

『テルティナよりここに顔を見せたらと提案されてな…折角だから俺は少しクエストを受けるつもりだ。』

「そうかそうか…全職員に告ぐ。オペレーションDだ。」

 

ざわざわざわ…

 

ギルドマスターが小さく呟くと…辺りがざわつき始めた。

 

「ギルマス?」

「ドラグレッダー、お前はまたEランクを受けるつもりか?」

『見たところ大量に溜まっているようだしな。まぁ、テルティナたちの買い物が終わるまでの範囲で納めよう。』

「…そうか。」

 

ドラグレッダーは窓から出した上半身を伸ばすと…依頼板に貼られた依頼書を次々と取っていた。

 

『以上で頼む。』ドサッ

「は…はい。受注しました…」がくがくっ

『ではレッドよ…俺は少しクエストに行ってくる。』

「ド、ドラグ?それで少しなのか…」

『あぁ…これでも厳選した方だ。では行ってくる。』

 

冒険者ギルドの受付嬢の前に大量の依頼書が置かれ、ドラグレッダーはミラーワールドから出ていた上半身を引っ込めるとクエストへと向かった。

 

「今日はもう他のクエスト受注は受け付けるな!」

「おい、アイツの受注したクエストの依頼人を全員呼べ!」

「いや、一番優先するのは救護班だ!ケガ人を安置させる場所を用意して…誰でもいい!回復魔法使える奴はここに来てくれ!臨時報酬出すから!」

「休暇中の事務処理班も全員をここに集めろ!」

「後、今まで済んだ処理をまとめ…ぎゃー!?もう3件も解決しやがったーっ!?」

 

「う…ここは?」

「私…生きて…る?」

 

一気に騒がしくなるギルド内。気付けばケガ人が寝かされており、イドラは唖然とした顔になる。

 

「嬢ちゃん、あの冒険者たちのケガを治してやってくれ。」

「…はっ!分かったわ!」

「頼んだぜイドラ!」

 

頭の処理が追い付かないままイドラはケガ人を治療をする。その後も数十人のケガ人がドラグレッダーにより運ばれてきた。

 

───

 

「死人がいたか…こりゃ、キマイラだな。報告には無かったが…もう1ランク上げておくべきだった。」

『…全て食われる前だったのが不幸中の幸いか。裏に置くから死体と魔物の死骸の処理は任せたぞ。』

 

悲惨な結末を迎えたクエストもある。報告後に回収した遺体と倒した魔物を外に置くとドラグレッダーは再びクエストへと戻っていった。

 

「…ねぇ、ドラグレッダーって本当にC級なの?」

「実力はS級を超えてるはずだけど…E級の依頼ばっかり受けてるからか?」

 

「半分正解ってところだな。」

 

「「…!」」

 

そんな様子に首を傾げるイドラと灯悟の2人だったが…ギルドマスターの言葉が耳に入る。

 

「…後で伝えるがドラグレッダーのランクはもうS級だ。」

「えぇ!?この前C級に上がったばっかのはずだけど…どういうことだぜ?」

「事務処理が追い付かねぇんだよ!低ランクのクエストをアホみたいに大量に受注するから…こんな冒険者みたことねぇよ…」はぁ…

 

ため息をつくギルドマスター。

 

「とはいえ残りは失せ物の捜索だ…少し休憩させてもらうとしよう。ふぅー、そういや嬢ちゃん。ポセは元気にしてるか?」

「ポセ?」

「ポセイドンならテルティナ様達と買い物中よ。」

「へー、ギルマスとポセイドンって友達だったんだな。」

「まぁな。」

 

注文したハンバーガーを両手に話を聞き始める灯悟。ギルドマスターとポセイドンに加え、イドラのお婆さんの3人で冒険者パーティを組んでいたことを知った。さらにその縁もあり、イドラの依頼を灯悟へと紹介したことをギルドマスターは話す。

 

「それじゃあ今、こうしてドラグに会えて、イドラ達と旅が出来てるのも2人のお陰ってだな!冒険者ギルドに入って本当に良かったぜ!」もぐもぐ

「食べながら喋らない…ほら、頬っぺたにソース付いてるわよ。」ふきふき

「ふぁりがと…」もぐもぐ

「そういえば、レッドがどういう経緯で冒険者になったのかは聞いて無かったわね。」

「あぁ、それなら…」

 

「レッド!レッドじゃないか!ギルドで会うのは久しぶりだな!」

 

イドラが経緯を語ろうとした灯悟だったがそこに話しかける1人の男がいた。否、1人ではない。

 

「おお!丁度いい所に!トビー!フォウ!トパーズ!バリー!」

「この人たちは?」

「俺がこの世界で初めて会ったのがトビー達なんだぜ!」

「つまり、第一被害者ね…」

 

男女2人ずつの冒険者パーティの一行である。トビーはイドラヘ目を向けた。

 

「もしかして君はレッドの仲間かい?」

「えぇ、そうだけど…」

「あぁ!この世界で出会った大切な仲間なんだぜ!」

「大切…」

「お?ってことはそのリング…レッドも隅に置けねぇな!おい!」

「これって虹色の指輪じゃないですか!?ロマンチック…けど、何でお揃いじゃないんです?」

「バリー、フォウ…これには深い事情が…」

 

灯悟の言葉に頬を染めるイドラ。バリーとフォウは灯悟とイドラの付けたリングについて興味津々であるが、灯悟の顔から冷や汗が流れる。その様子をバリーは微笑ましく眺めていた。

 

「そうか…ようやく巡り会えたんだね。」

「良かったら聞かせてくれるかしら?レッドがこの世界に来た時の話を。」

「いいとも。あれは僕らがアモ遺跡を攻略してた時のこと…」

 

トビーは当時の灯悟について語り始めた。

 

クエストを受けていた自分達のピンチの時にいきなり現れたこと。

キズナレッドに変身出来なかったこと。

灯悟の話す言語が分からなかったこと。

と思ったら適応して話が出きるようになり、異世界からきたと知ったこと。

魔法を使わず素手で魔物と戦っていたこと。

目的の魔物から庇った時にキズナレッドへ変身したこと。

それで何か爆発したこと。

爆発によりクエストが失敗したこと。

フォウがパーティに誘ったもののトビーが止めたこと。

 

その話をイドラは最後まで聞いたのだった。

 

………

 

「なるほど…そういう経緯で冒険者になったのね。」

「あの後も何度かここのギルドで顔を合わせてはいたんだけど…なかなか仲間ができないみたいで心配だったんだ。でも、ようやく巡り会えたようだね…君を助けられる仲間に。」

「私は…レッドに助けられてばっかで…全然助けになってないような…」

「そんなことはないぜ!イドラは出会った時からずっと…俺を助けてくれている。」

「レッドがそういってくれるなら嬉しいんだけど…私なんかしたっけ?ドラグレッダーの方が役に立っている気が…」

「…ドラグレッダー?」

 

突然出されたドラグレッダーの名前にトビーの顔が引きつき始めた。

 

「勿論!まずはキズナカイザーが動かせるように…」

「レッド、ちょっといい。ドラグレッダーって噂になってる龍の冒険者のことだよね?」

「ん?あぁ、その通りだぜ!今はクエストに行ってる所だな!」

「それでクエストが受注出来なくなったのですけど……えぇ!?レッドさんって龍の冒険者ともパーティを組んでいたのですか!?どんな方ですか?龍の亜人とか聞きましたけど…」

「えーと、何というか…亜人というか…龍そのものというか…」

 

『レッド、イドラよ。今、終わったぞ。』にゅっ

 

ここでドラグレッダーがギルドへと帰還した。気付けばギルドの端に大量の剣や兜や大袋、果てには馬車までもが積まれていたのだ。

 

「「ぎゃーっ!?魔物ぉ!?」」

 

いきなりの巨体にフォウとバリーが腰を抜かす。

 

「おうドラグ、グッドタイミングだぜ!紹介するぜトビー、コイツがドラグレッダー!ドラグでいいぜ!」

『それは俺の台詞だろうが…まぁ、いい。レッドの友人か?改めて俺の名はドラグレッダー…これでもC級の冒険者だ。』

「よろしく…早速だけど質問いい?今、どこから出てきているの?亜人…じゃないよね?」

『あぁ、窓…正確にはミラーワールドからだ。俺はそこに住むミラーモンスターと呼ばれる種族。本来は人間と言葉を交わせることもないのだが…レッドの影響で可能になっているものと思われる。』

「ドラグってば凄ぇ強いんだぜ!俺を一撃で殺しかけたくらいだし!」

「何でそんな相手とパーティ組んだの…って言いたいけど、レッドなら不思議じゃないか。」

『…ん?お前達は…』

 

ドラグレッダーはトパーズとバリーに目を向けた。

 

「え?私たち?」

「何処かで会ってたか?」

『いや、俺が一方的にみたことがあるだけだ。森でのクエスト中に"UNITE VENT"をしている所を見てしまってな。詳しく話を聞きたい。』

「「ぎゃー!?何で知ってるの!?」」

「…2人ともまさか、前のクエストではぐれた時に…!と言いますか詳しくって何を聞く気ですか!?」

「ドラグ、止めろ。それはライン越えだ…もっと絆を深めてから聞くんだぜ。」

『であるか。すまない…もっと親しくなったら教えてくれ。』

「よろしい。」

「「よろしくねぇよ!!」」

 

顔を赤くするバリーとトパーズ。そこへ別の人物も合流してきた。

 

「おやおや賑やかですね。」

「ポセイドン!」

『テルティナとロゥジーも来たか。』

 

買い物が終わった3人である。

 

「広がる人の輪とは実に素晴らしい物ですね。輪といえば…レッド様。お嬢様の"左薬指の輪"についてお話が…」ジャキ

「…!」バッ

「…」パチパチっ

 

ポセイドンは威圧を放ちつつ巨大なハサミを灯悟に向ける。そして灯悟は伝えた元凶であろうロゥジー・ミストの方へと顔を向けると笑顔で拍手を送られた。急いで灯悟は弁明へとまわる。

 

「待ってくれ!アレはただの絆創こぁぁあああ!」

「…おや?アナタの左薬指にも指輪が…これは虹色の指輪!?お嬢様、アナタまさか…」

「違うわよ!アレは私からじゃなくて…」

「まさかプロポーズされているのにも関わらず、お嬢様にプロポーズをしたと…死になさい。」ジャキッ

「だから違うんだぜぇええ!!」

「ポセイドン、ステイ!!」

「ロゥジーも止めてください!」

「奴の息の根をですね?」

「助けえドラグゥ!!」

『クククっ!』

 

「「「うわぁ…」」」

「(本当に心配いらないかコレ?)」

 

ドン引きするトビーたち一行。いつもならギルドマスターの一喝が飛んでくるものの、ドラグレッダーのクエストクリア報告書に手間取っており、突っ込めるものは誰もいない。最終的に飽きたドラグレッダーがポセイドンに巻き付いて拘束し、灯悟の頭を燃やしたことで決着したのだった。

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