「ドラグレッダー…今からお前をS級冒険者への昇格を認める。」
『…あぁ。だが、俺単体で受けるのはEランクのみだ…それを変えるつもりは無い。』
「まぁ、元々そういう話だったからな。んで、これからどうするつもりだ?」
『レッドたちと共に魔力の種の回収に戻る…と言いたいが、
「そりゃ、忙しそうだな。しっかりと依頼を終わらせることだ…さて!さっさとアイツらを帰らせるか。確か
『いや、ここにいても構わぬ。宴、というものをしたい。金は俺が全てこの報奨金から出そう。』
「ほぅ?」
ギルド内で全職員がぐったりと座ってる中、ドラグレッダーはギルドマスターによりS級冒険者として認められ、ステータスタグと大量の報酬品を受けとった。そして全職員を帰らせようとしたギルドマスターだったが、この場所を借りて宴がしたいとの話に耳を傾ける。
『食べ物と飲み物があればいいと聞いた…既にメズスの全店の売れ残ったのを全て買い取り、ここで消費する話になっている。』
「…ハッハッハッ!あの大金を何に使うつもりかと思えばここでほぼ使っちまうつもりとは、お前は本当に大物だな。」
『…旅の邪魔になるから金は最低限でよい。始めても良いな?』
「あぁ、好きにしろ!」
『レッド!許可がおりた!』
バタンっ
「了解だぜ!」
ドラグレッダーのこの一言が号令になったのか、扉が開くと浅垣灯悟を筆頭にギルドの冒険者たちが次々に大量の食べ物と飲み物が運んでくる。その日、メズスでもっとも騒がしい宴が始まった。
………
『以上が俺とレッドの出会いだ。』
「改めて聞くと俺ってよく生きてるよな…」
「本当にね。アンタたちが居なかったらと思うとゾッとするわ。」
「…何度も助けられましたしね。」
「悔しいがお前達の強さだけは認めてる…本当に悔しいが。」
自身と灯悟の出会いを話したドラグレッダーにイドラ・アーヴォルン、テルティナ王女、ロゥジー・ミストは感想を述べる。
「そういえばドラグレッダーはどうして冒険者になったのかしら?」
『最初はレッドが全て養うと積極的にクエストを受けるようになったのだが…失敗続き。終いには爆発破壊による借金まで作りやがってな。』
「…」ぷいっ
『俺がギルドマスターに頼んでクエストを受けれる冒険者にしてもらった流れだ。』
「え?ギルマスから自分の親が行方不明になり捜索してくれっていうEランクを発注した子供のためにって聞い…」
『違う!お前の借金のためだ!』
「そ…そうだったよな。俺のためだったよな。それが今じゃS級の冒険者になって、全額負担の宴を開く。お前本当に凄ぇことするよな。」
『ククク…誰かがここを破壊しない分、俺が金を持つ必要性が無いからな。折角の機会だ…酔い潰れた者を食ろうてやろうか?』
「はいはい、そういうのは今いいから。あれでしょ?大きな仕事の前に皆で英気を養いたい的な話でしょ?」
『そう…なのか?俺としては荷物を減らしたかっただけなのだが…』
「フフフ…何であれ素敵ですよドラグさん。」
「テルティナ様!?…クソ龍貴様!私もテルティナ様に素敵って言われたい!」
「ロゥジー、もう酔いました?」
宴は続く。ドラグレッダー一行は普通に楽しんでいた。
『そういえばテルティナよ。シャウハの使いはまだ来ないのか?』
「はい…シャウハ本人が動けない以上、魔導塔へ入る方法は使者が持ってきた魔導具による1度だけの転移魔法になりますので、後2日はかかるかと。」
「俺たちは早くニヅベルに行くべきだろうけど…ドラグともう少し一緒にいたい。」
『好きにしろ。憂いは無い方がいい。』
話を続けていたドラグレッダー達だったが…近くの冒険者たちの話が耳に入ってきた。
「そういえば知ってるか?ヤバい所が見つかったらしいぜ。」
「あぁ、聞いた聞いた。『クラフーワイロの森』だろ?調査に行った冒険者が帰ってこないって話。」
「何か魔物に池の中へ引き込まれてたらしいけど…後で見ると池の底は浅いのに何も無かったらしいな。」
『その話、詳しく聞いてもいいだろうか?』
「「「うわっ!?」」
その話にドラグレッダーが入り込む。
「…その話、僕にも聞かせてほしい!」
「A級冒険者のトビーも気になるのか…」
「俺もだ…って俺のことは知らねぇよな。B級のザッツだ。」
「分かった分かった!って言っても現実味の無い話だからな?」
「いや、この喋れる龍がS級冒険者になってる時点で今さらじゃない?」
「「「(確かに…)」」」
その冒険者は新たな森のダンジョンについて語る。その名は『クラフーワイロ』。ここよりやや北東にある場所で木々が覆い繁っており、人間がほぼ通ることが無かったため、奥に大きな池が見えるという情報くらいしか無かったのだ。
ところがある日、謎の魔物により引きずられる冒険者を別の冒険者が目撃した。目撃した冒険者はすぐにギルドへと報告し、拐われた冒険者のいる池へと向かうも何も無く、頭を捻りながらもその場を後にした。その後、いなくなった冒険者の行方は不明ままである。
その事があってかギルドからは1名の職員が4名の冒険者を引き連れて調査を始めたのだが…全員が帰還しないまま数ヵ月が経ったというのだという。
「これって…」
「水面近くにいる魔物…ドラグに出会った時と状況が似ているんだぜ。」
『謎の魔物の正体がミラーモンスターである可能性が高い。となれば…もう全員死んでいるだろうな。』
「…!」
『だがEランクにそのようなクエストは無かった筈だが…』
「まだ登録されてないだけだと思う。」
「ギルドマスターに聞いてみるか?」
『今は無理だろう…あれを見ろ。』
「…んぐんぐ…ぷはっ!どうだポセ!俺の飲みっぷりはよぉ?お前もじゃんじゃん飲めっての!」
「…歳を考えろ。もう俺たちは若くない。」
「だからといってハメを外せる機会を逃すのも勿体ねぇだろ?それとも次からは茶にするか?」
「…そうさせてもらおう。酩酊しているのが自分でも分かる。」
そこにあるのはジョッキを片手に上機嫌なギルドマスターといつもの敬語が抜けて威圧的なポセイドンの姿。
『酒の回った状態では話にならん。』
「とはいえミラーモンスターが関わってて被害まで出ている可能性があると考えると…次の旅に行けないんだぜ!」
「レッドらしいな…僕もその噂を聞いたからそのクエストが無いか探そうとしていたんだ。まさかドラグレッダーみたいな魔物が正体だとは思わなかったけど。」
『はんっ!自分でいうのは何だが…俺はミラーモンスターの中でも最強クラスだ。人間を引きずるって時点で大したミラーモンスターではあるまいよ。』
自信満々に答えるドラグレッダーへザッツが質問をする。
「なぁ、ドラグレッダー…弓矢を使うミラーモンスターを知っているか?」
『むぅ?弓矢か?武器を使うミラーモンスターはかなりいるが…すまない、すぐには出てこない。』
「思い出したらでいいんだ…」
『ザッツよ。今さらだが…レインはどうした?』
「そういえばここに来てないんだぜ?」
「…さっき、引きずられる冒険者の話があったろ?」
『…まさか!?連れ去れたというのは…!?』
「あー、違う違う!アイツはあの話でいうと目撃者なんだ!ただ、少しだけ話が違っていてな…痺れ矢を受け、殺されかけたところを命からがら逃げてきたみたいでな…。今は医療機関で治療を受けてるところだ。」
「「『!?』」」
その場の全員に緊張が走る。
「…レッド、ドラグレッダー。もしそのクエストを受けるつもりなら…俺も連れていって欲しい。アイツを傷つけた奴を許せねぇ!」
「あぁ!」
『よかろう!』
「僕もそれクエストに加わりたいんだ。」
「トビーまで…いつものパーティの皆とじゃなくてか?」
「…フォウたちには言いたくないことだから。」
「そうか…じゃあ、明日にでもギルマスに聞いてみるんだぜっ!だからほら!今はドラグが開いた宴を楽しもうぜ!」
『ククク…存分に食え。存分に飲め。』
「…そうだね。ありがとうレッド、ドラグレッダー。」
「なぁドラグレッダー。ちょっと持って帰ってもいいか…レインに食わせてやりたい。」
『構わぬ…俺のオススメはその焼き魚だ。骨ごと食えて旨い。』
「…骨は流石に人間には固過ぎるわ。」
「アイツら、何勝手に話を進めているのよ…」
「ロゥジー、アナタは参加しなくていいのですか?S級の冒険者なのでしょ?」
「私はテルティナ様のそばにいたく思います。」
食べ物、飲み物が全て尽きたことで宴は終わり…ギルドは綺麗に片付かれた。そして、翌日にはいつものギルドへと戻る。
───
「あー、頭痛ぇ…!飲み過ぎた…!」ズキズキ
「ギルマス!『クラフーワイロの森』のクエストはあるか?」
「…あん?昨日の今日でもう来たのか?確かに今から貼るとこだが…」
「俺たちで受けるんだぜ!」
その場にいるのはドラグレッダー、灯悟、ザッツ、トビー……そして、イドラの姿もあった。
「こりゃ珍しい組合せだな…だが、かなり危険なクエストだぞ?それでも行くのか?」
「勿論だぜ!」
「…レインの敵討ちだ。」
「僕には僕の目的がありますので。」
「早く終わらせないと旅に出れないのよ!」
『まぁ、俺がいれば安全だろう。』
「…S級冒険者ドラグレッダー、全員を5体満足で生還させろよ?」
『…あぁ。』
ドラグレッダーが依頼書へとサインし…5人のクエストが始まった。
オリジナルエピソードの途中ですが、連日投稿はここまでとさせていただきます。また続きをお待ちください。