「ほらよ。コレであんたも今日から冒険者だ。」
冒険者の登録の終わったイドラ・アーヴォルンにギルドマスターが紐の付いた何かを渡す。
「コレは?」
「そいつはステータスタグ。スキルやステータスの確認ができる冒険者の証だ。」
その言葉と共にタグから画面が出てきて、そこにはイドラのステータスが記されていた。
───
名前:イドラ・アーヴォルン
ジョブ:大魔導士
ランク:E
HP:255
MP:675
攻撃力:12
防御力:30
知力:89
精神力:67
スキル
・高速詠唱
───
「自分のステータスを見るのは初めてだわ。こんな感じなのね。」
「流石はアーヴォルン家のご令嬢だな。魔力・知力共に最高クラスとは。」
「大魔導士って魔導士の凄い版ってことだろ…流石はイドラ!未来の王家の杖だぜ!」
「あんたは私の取り巻きか何かか?」
ハイテンションに褒める浅垣灯悟にイドラがツッコミを入れる。
『すまない。俺は基準がよく分からないから何とも…』
「人間じゃない貴方が理解出来てたらそれこそ怖いわよ。」
『…やはり、俺は怖いか…』ずーん
ドラグレッダーの顔が暗くなったため、慌ててイドラはフォローへと入る。
「ドラグレッダー、違うから!貴方が人間のことを想像以上に理解してるって意味だから!そ、そうだ!貴方たちのステータスはどうなのよ?」
「俺達の…」
『ステータス?』
「そういえば今まで1度も見たこと無かったな…どうやるんだコレ?」
『さぁな、俺も見たことがない…』
「貸して。ドラグレッダー、貴方のも。」
『レッドが俺の分を持っている。』
「ほらよ!2人分だぜ!」
2つのタグを受け取ったイドラは画面を映し出した。
「こ…これは!?」
───
名前:キズナレッド
変身者:浅垣灯悟
♢SPEC♢
・身長:185cm
・体重:70kg
・パンチ力:20トン
・キック力:50トン
・ジャンプ力:ひと跳び30m
・走力:100mを3.0秒
・必殺技:バーニング・キズナパンチ
変身方法
・絆装甲をキズナブレスにセットする
───
予想外な内容にイドラの脳内に大量のツッコミが駆け巡りパンク仕掛けるも…
「…!まだよ…まだドラグレッダーのがあるわ…」
何とか思いとどまり、ドラグレッダーの方を見る。
───
名前:仮面ライダー龍騎
変身者:???
♢SPEC♢
・身長:190cm
・体重:90kg
・パンチ力:200AP(10トン)
・キック力:400AP(20トン)
・ジャンプ力:ひと跳び35m
・走力:100mを5.0秒
・必殺技:ドラゴンライダーキック
変身方法
・鏡面にカードデッキをかざして、腰に付けられたVバックルにセットする
───
「レッドと全く同じフォーマットじゃないのぉ!?スキルは無いし…何で異世界は攻撃力をパンチ力とキック力に分けてるの!?変身方法って何なのよ!?」
ついにイドラはその場で膝を付いた。
「なんだ?俺たちのステータスがどうかしたか?」
「どうかしてるし、どうにかなっちまいそうよ。ドラグレッダーに関して名前すら出てこないし…"仮面ライダー龍騎"って何よ!?」
『…ふむ。ならばイドラも龍騎に変身してみるといい。ほら、カードデッキだ。』
「カードデッキ?…って危なっ!」
窓から飛ばされた何かをイドラがキャッチする。
『変身方法は分かるか?』
「た、確か…鏡面にかざして…」
ステータスタグに書かれていたことを思い出しつつ、イドラは窓へとカードデッキを向ける。すると…イドラの腰へとベルトが巻かれていた。
「えぇ!?本当に出てきた!」
『カードデッキをそのVバックルに入れて…変身、と言うがいい。』
「へ……あれ?入れるの難しいわねコレ。やっと入ったわ……変身!」
次の瞬間、イドラは鏡が割れる音と共に仮面ライダー龍騎へと変身していた。突然のことに灯悟を始め、周りの冒険者たちもワラワラと集まってきた。
「何よコレぇ!?」
「イドラが…イドラが絆装チェンジしたぁ!?」
「何だ何だ…」
「レッドの新しい仲間か?」
「ドラグレッダーに似てないか?」
「ば、爆発はしてないな…」
「ドラグレッダー!コレどうやって変身を解くの!?」
『ミラーワールドから出れば普通に解ける…ちょっと、窓に中に突っ込んでみてくれ。』
「えぇ!?壊れるわよ!弁償なんて嫌よ!」
『…早く来い。』ガブッ
「ちょっ!?いや…食べられ…」
ドラグレッダーは龍騎に噛みつくとそのままミラーワールドへと引きずりこんだ。
「イドラぁ!?」
「おい…あの龍…」
「レッドもどきを食いやがった…」
「今すぐに討伐するべきだ!」
ギルド内がパニックに陥る…と思われた次の瞬間。
「あー、ビックリした…死んだかと思ったわ…」すたっ
「イドラ!?」ダキッ
「ちょっ…レッド?急に…離れて…」
「無事で良かったんだぜ!」ギュゥゥ
「く、苦し…離れなさいよ!」
『…これが龍騎の力だ。』
再びドラグレッダーが窓から顔を出す。それと同時に集まった冒険者たちも安心したのか散っていった。
「…なるほどね。魔力を感じなかったけど…物理的なパワーアップが実感したわ。これなら攻撃力の低い私でも肉弾戦に…」
「ドラグ!急にイドラで実験だなんて心臓に悪いから止めてくれ!まずは俺で試してくれよ!」
『…最初に言ったら『俺にはキズナレッドがあるから大丈夫だぜ!』とかほざいたのどこの誰だ?』
「そんなこと………あったんだぜ。俺でもなれるのか?」
『あぁ…今度こそ試してみるか?』
「おうよ!」
カードデッキを受け取った灯悟が鏡へと向ける。そして、腰に付けられたVバックルへとセットした。
「絆装チェンジ!」
『変身だと言ったろ…』
今度は灯悟が龍騎へと変身する。
「おぉ!キズナレッドとは違う力を感じるんだぜ!…そういえば、カードデッキとか言っていたな。カードはどこなんだぜ?」
『普通に腰のカードデッキ内にある。』
「えーと…コレか!で、どうするんだ?」
『左手にあるバイザーに入れろ。』
「了解だぜ!」ガチャッ
『SWORD VENT』
龍騎がドラグレッダーの指示に従いカードを入れる。次の瞬間、音声が鳴り、龍騎の手にはドラグレッダーの尾のような剣が握られていた。
「強そうな剣だぜ!」
『俺の力だ。当然強い…が、ここで使わす訳にはいかぬ。お前はマジでギルドを破壊しかねないからな…』ガブッ
「ド…ドラグ!?」
『俺の情報開示はここまで……だっ!』ぺっ
「あぐっ!?」
ドラグレッダーはそのまま龍騎をミラーワールドへと引きずり込み…灯悟としてギルド内に吐き出した。
「んー、どちらが強いのかしら?パンチ力とキック力はキズナレッドの方が強いけど…龍騎はミラーワールドに入れるし…」
「龍騎もかっこ良かったけど…俺といえばはやっぱりキズナレッドだからな!このままでいいんだぜ!」
『そうか。まぁ、手段の1つだと頭の片隅に残していてくれればいい…』
「と言うかドラグ本人が戦った方が強いんだぜ!」
『此方での時間のリミットが無ければそうしたいが…』
「ならイドラが使えばいいんだぜ!」
「そうね…どうしようも無い時は使わせて欲しいわね。いいかしらドラグレッダー?」
『構わぬ。』
ドラグレッダーはニヤリと口元を緩めた。
「これで俺たちの絆がさらに上がったぜ!」
『そうだな…俺の新たな非常食が増えた。』
「私も食べる気なの!?」
『レッドよりも柔い肉で美味そうだ。』
「柔…まぁ、いいわ。非常時にしなければいい話だし。」
「おお!その通りだな!」
『…ふん、その余裕が続くといいな。』
笑みを見せて拳を合わせる灯悟とイドラに対してつまらなそうな顔のドラグレッダー。そこに扉から入ってきた2人の冒険者が絡んで来た。
「おいおいおい!何で没落貴族様がこんな所にいやがんだ!」
「まさか冒険者になるつもりか?散々馬鹿にしてた俺らと同じよぉ!」
「えーと…誰?」
「もう忘れちまったのか!?この前、お前んとこの依頼を受けに行ったもんだよ!」
「あぁ!あの時ゴーレムに捕まってた人達か!」
「その節はどうも!」
彼らの名はザッツとレイン…灯悟と同じくB級の冒険者である。そこにドラグレッダーが窓から顔を伸ばしてきた!
『お前たちは!?』
「ひぃ!」
「え?何でここに…?」
嬉しそうなドラグレッダーとは対照的に恐怖の顔を見せる2人。
「ドラグ?知り合いか?」
『あぁ!お前が来る前日に俺の所に来た冒険者だ!今までの奴らと違い、俺に食べ物をくれたんだ!』
「食べ物?」
『そうだ!周りの魔物はだいたい食ってしまってな…故に木を中心に食べていた俺にとってあのギガゼールのような魔物の肉は物凄いご馳走だ!少し傷んでいたが…最高の一時だった!』
「おぉ!あんた達、いい奴なんだな!」
「いや、違うでしょ!力で叶わないから毒殺でもしようとして失敗しただけでしょ!」
『…毒殺?』
ドラグレッダーの視線がザッツとレインへと向く。2人は蛇に睨まれた蛙の如く固まる。
『…俺はミラーワールドに戻る。何かあれば呼ぶがいい。』
「おう…ドラグ、もう良いのか?」
『…よい。』
そして、ドラグレッダーは顔を引っ込めて…そのままミラーワールドへと帰っていった。