「ではミラーモンスター解放作戦を実行する!」
場所はアヴァルロスト城から大きく離れた野原。ミラーワールドへと繋がる物が無いと判断したダリエルが声をあげた。
「変身!」
レグルス・マッハヴォルトが魔法により生成された鏡の前で仮面ライダーゾルダ(ブランク体)へと変身する。
『グルルル…!』
そして、その鏡はドラグレッダーが出ると同時にその場から消えた。
「ミラーモンスター、解放!」
最後にシャウハがミラーモンスターの封印を解く。
『■▽♡◆*◆#†■*!!』
カードより緑の水牛型ミラーモンスター『マグナギガ』が解放され、大きな機械音が辺りへと響く。
それを皮切りに兵士、魔導士、それぞれが一気に動き出した。
───
少しだけ昨日の会議に戻る。
『ダリエルよ…これは時間との勝負だ。』
「時間だと?」
『本来、俺たちミラーモンスターはミラーワールドの存在だ。この現実世界に滞在出来る時間は限られている。』
「でしたら私がアナタと一緒にミラーワールドで実行すれば良いのでは?仮面ライダーであればミラーワールドに入れるのでしょう?」
レグルスの提案にドラグレッダーはすぐに解答を返す。
『そうすれば逆に仮面ライダーの滞在時間は限られる。またミラーモンスターと契約していない仮面ライダーは少し頑丈な鎧を纏っているだけに過ぎない。おまけにマグナギガが俺よりも強い…戦力的に皆の協力が必要不可欠だ。』
「ふん、龍の冒険者以上の力が手に入るとなれば…私が協力を惜しむ理由も無い。だが…マグナギガの消滅は許さぬ。シャウハ、万が一の時は即座にマグナギガをミラーワールドに送り込め。」
「仰せのままに。」
『…過去最大に被害を出したミラーモンスターなのだろ?…ミラーワールドに送り込むって、どういうことか分かっているのか?』
「龍の冒険者…その時はお前が殺すのだろ?まぁ、万が一のことだ。明日成功させればいい。」
失敗は許されない。
───
『◆♡♡■』ドドドっ
「はぁ……ごっ!」ばばんっ
『レグルス!!』
"CONTRACT"のカードを片手にマグナギガへ契約に向かうも…左腕のガトリング砲がゾルダを襲う。ゾルダもバイザーから銃弾を飛ばすも…威力の差は大きい。呆気なくマグナギガの攻撃を食らう。
『はっ!』ボッ
『◆◆◆』ボンッ
ドゴーーン!!
ドラグレッダーも口から火の玉を吐き出すとマグナギガも右腕から破壊弾を飛ばして相殺した。
『▽#♡♡』ビビビッ
『ゴッ!?』どかっ
さらにマグナギガは自身の額から光線を飛ばし…命中したドラグレッダーが地へと堕ちた。
『舐めるな……ふんっ!!』ぶんっ
『■■!?』ぐらっ
しかし、ドラグレッダーは尻尾を地面すれすれに振るい…マグナギガの右足を斬りつける。それは僅かな時間マグナギガの動きを止めた。
【SHOOT VENT】
「はあっ!」どーんっ
『◎*▽!?』ばたんっ
そこへゾルダが召喚した大砲を左足へと打ち込んで転倒させる。
『レグルス!!』
「はぁっ!!」だっ
『★★★…!』
隙の出来たマグナギガへと迫るゾルダ。左腕を器用に使って立ち上がるマグナギガ。
『◆●★▲!』パカッ
「させません!!」ぽいっ
『■▽▽!?』がきんっ
マグナギガは次に足の砲台を展開させようとするもゾルダの投げたバイザーが隙間へと挟まり、失敗に終わる。
「各位、防御魔法!」
「「了解!!」」
シャウハの合図により、魔導士たちがゾルダの回りにバリアーを貼った。
『■▼▲▼!』ボボボボっ
「…!」
ドカーン
マグナギガは再び左腕より多数の銃撃を浴びせるもバリアーを纏ったゾルダは止まらない。
『▼◆●●▼▼★■■!!!』パカッ
『なっ……避けろレグルス!!』
ドドドドドドドドゴーーンっ!!!
マグナギガは大技と言わんばかりに胸板を開き…大量の小型ミサイルを飛ばす。否、小型ミサイルだけではない。
『◎◎▽!』
ドドドドボッ!!
4つの大型ミサイルまでもが発射されていた。
『させるかっ!!』ボボボッ
ボボボカーン!!
『くそっ!1発逃したか!』
ドラグレッダーの火の玉により3つの大型ミサイルは相殺されたものの…残りがゾルダへと飛んできていた。
「シャウハ様!我々の防御魔法でもあの量は…!」
「分かってる!……根源を撫で這う輪唱…クトゥルー!!はぁ…はぁ…」
シャウハが魔法で召喚した大量の触手が、小型ミサイル達からゾルダを守る。
「ぐっ…!」
しかし全てとはいかず…ゾルダを包むバリアーが小型ミサイルにより次々と削られた。それでもゾルダはマグナギガへと距離を詰める。
「なっ…!」
「マッハヴォルト卿!!」
『レグルス!ぐぅ!』
「……っ!!」
最後に大型ミサイルだけが残り…そのままゾルダへと迫っていった。ドラグレッダーもシャウハも動けず…回避も相殺も出来ない絶望的な状況。ゾルダは剣を構え…自身での対処を考え出したその瞬間だった。
「放て!"ヘインズ&チャンラー"!!」
ヴォオオオ…ドゴーーン!!
ダリエルが自ら持ってきた大砲より砲弾を放ったのだった。それより大型ミサイルも相殺され…邪魔は全て無くなった。
「…ダリエル様!」
「やれ。」
「はい!」
『◆◆◆!?』
ゾルダの持つカードがマグナギガの角へと触れた。それと同時にゾルダに身体が緑色へと染まる…契約が成立したのだ。
『…』
それと同時にマグナギガが武器を…身体を下ろし、ゾルダへと顔を向けた。
「終わったのでしょうか?」
『終わったな。』
「ふんっ、手間を掛けさせやがって…おい、食料を持ってこい!実験に使った魔物でいい!」
『*■★▽!◆◆◆!』がつがつ
『…お前が何を言っているか分からんが、腹は減っていたようだな。ダリエルよ、俺にもくれ。』
「…ちっ。これ以上は無いからな。」
『感謝しよう。』がつがつ
作戦が無事に終わったことに安堵するレグルスとドラグレッダー。マグナギガはその場から動かず…運ばれてきた魔物の死骸を捕食し始めた。ドラグレッダーもそれに続いて食らい始める。
「はぁ…はぁ…」
「シャウハ様!」
「神格魔法の反動だ…すぐに良くなる…最後の鏡の生成は任せた…」
「はい!!」
そして、魔法により生成された鏡を通じてドラグレッダーとマグナギガはミラーワールドへと帰っていった。
───
「感謝する龍の冒険者…これで魔力の種を使った魔導具の開発に集中が出来る。」
『昨日使っていた武器のことか。』
「魔力の種の魔力を活かした魔導兵器"ヘインズ&チャンラー"。試作品だったといえ魔導砲1発放つだけで壊れてしまうとは…改良が必要だな。」
封印されていたマグナギガと無事に契約した翌日のアヴァルロスト城、ドラグレッダーはレグルスの手鏡より姿を現した。皇帝ゴーティスを中心にダリエル、シャウハの姿もここにある。
最初に口を開いたのはダリエルだった。その様子にゴーティスの口が開いたままになる。
『…どうしたゴーティスよ?』
「いや、ダリエル…ソナタ、龍の冒険者に感謝をしたか?魔物や亜人嫌いのソナタが?」
「何を言っておられますか父上?ミラーモンスターは兵器です。兵器を丁重に扱うのは当然のことでしょう?」
「…いつものダリエルで安心した。話を続けてくれ。」
ダリエルはゾルダのカードデッキを取り出し…マグナギガを呼ぶ。すると窓にマグナギガが姿を見せる。
『◎◆●▲。』
「何と言っている?」
『…分からぬ。今までのミラーモンスターであれば分かったのだが…奴の言葉だけは分からない。』
「全身兵器の見た目ですので…生物型のミラーモンスターとは相性が悪いのかもしれません。とはいえ、定期的に食料を与えれば害は無いかと…」
『確かに敵意は感じないな…マグナギガ!』
『◆▼?』
ドラグレッダーに名前を呼ばれ反応するマグナギガ。
『俺たちはお前の言っていることは分からない。』
『…』
『だが、お前を飢えさせないことは約束しよう。そうだな…食料が欲しいときは左腕を2度鳴らせ。』
『●●●?』かちかちっ
『そうだ。それで伝わるだろう。』
『▲▲◆!』
「…ふむ。」
「どうやら私たちの言っていることは伝わるようですね。」
「ふんっ。亜人連合制圧のために役に立ってもらうとしよう。」
「…本当にあのミラーモンスターはアヴァルロストで最も被害を出したミラーモンスターなのでしょうか?」
ドラグレッダーの言うことを聞くマグナギガ。その様子に舌を巻いた4人だった。
………
「さて、龍の冒険者よ。此度の働きはこの国の利益に大きく貢献した。故にソナタの望みを何でも1つ叶えよう。」
『望み…つまりは願いか。』
「すまないが先に言っておくことがある。前に言っておった肉は…全然集まっておらぬ。どうしてもであれば城中のをかき集めて…」
『…城の者たちの分を貰うつもりはない。そうだな…』
ドラグレッダーはシャウハの方へと顔を向けた。
「…!?」ぞくっ
「シャウハ様!?大丈夫ですか?」
「神格魔法の疲れが…まだ…」
その場で大量の汗を流すシャウハ。レグルスがフォローに回る。
『シャウハ、お前が持っているギガゼールが封印されたカードをくれ。』
「……はぁ!?お前、城の外にミラーモンスターを連れ出す気か!?」
『野生に放つことは絶対にない。どうしても、そのミラーモンスターと契約させたい仮面ライダーがいる…どうだろうか?』
ドラグレッダーはゴーティスへと顔を向ける。ゴーティスは渋い顔になったものの…
「此方から何でもと言ったんだ…ソナタの言うことを信じよう。」
「陛下がそう言うのであれば…」
渡すことを決断した。そのままギガゼールの封印されたカードを受け取るドラグレッダー。
『確かに受け取った。では俺はレッドの所へ行くとしよう。』
「そうか。シャウハよ、メスズのギルドまで転移魔法を…」
『必要ない。テルティナに伝えることはあるか?』
「魔族も亜人も全て私に任せろ。早く帰って来い放浪娘…そう伝えろ。」
「ダリエル様…」
『…必ず伝えよう。それではな。』
『◆◆◆!』
ドラグレッダーは窓へと入りその場を後にする。マグナギガが両腕を振って見送っており…4人はそんな姿に目を丸くしていた。