『何がどうなってやがる…』
ドラグレッダーが浅垣灯悟に呼ばれ、ミラーワールドから出てこようとすると…突然にその出口が消滅した。それは灯悟の持っていた手鏡の破損を意味する。ドラグレッダーは他に出口が無いかを探し始めた。
───
時はドラグレッダーがミラーワールドへと戻った直後のこと。イドラ・アーヴォルンとザッツとレイン…1人と2人が喧嘩になりかけた所を灯悟が止めて、クエストで決着をつけることとなった。
その内容はとある洞窟のダンジョンに出現し始めた謎の魔物の討伐…灯悟とイドラ、ザッツとレインとでどちらが先に倒すか勝負が始まったのだ。経験による地の利を活かし、ザッツとレインは音を立てず慎重にミノタウロスを避けて行こうとするも…
「燃え盛る熱き友情の戦士!キズナレッド!」ドゴーン
灯悟の変身により、失敗に終わる。爆発に反応した大量のミノタウロスたちが迫ってくる。4人はそれぞれで対処することとなった。
「ターボ円陣!フォーメーションβ!からの…キズナターボ・キック!」
「来い!キズナビースト!強き絆で未来を創る…絆創合体!マシキマム・キズナカイザー……ってアレ!?狭い洞窟だから身動きがとれない!?」
キズナレッドが大暴れしている近くで…
「おいザッツ!後ろ…!」
「しま…!?」
「脳幹震わす水精の絶叫!ウンディーネ・スクリーム!」
「…どうして助けた?」
「私は人を助ける為の魔法は躊躇わない!…それにあんた達にはお父様への侮辱を謝罪して貰うまで死なれちゃ困るのよ!」
ザッツとレインはイドラを少し見直していた。そうしていると…謎の魔物が姿を見せる。
「わじの…おだがら…」
「まさかコイツが例の魔物か!?」
「確かにこんな奴、このダンジョンじゃ見たことないな…」
「というかあんな魔物、どんな文献にも載ってないわよ…」
一斉に逃げ出すミノタウロスたち。キズナレッドも警戒するも…
「怖じ気付いたらか腰抜け共め!」
「勝負は謎の魔物を倒した方の勝ちだぞ!」
ザッツとレインは謎の魔物へと攻撃し始めた。しかし…
「わじのだがらに…ぢがよるな!!」ブォン
「「なっ!?」」
2人の武器は魔物の一振で消滅する。追撃が来ているところをキズナレッドが拳で魔物を殴ることで何とか離すもその硬さに驚いていた。そこでキズナレッドはとある武器を取り出した。
「来い!ビクトリー・キズナバスター!」
戦隊お約束のデカくてゴッツい必殺武器である。
「コイツは仲間の心を1つにすることで絆エネルギーを収束してぶっ放す…今の俺に出せる最高火力の武器だぜ!」
「仲間の心を1つにって…まさか…」
「頼む!あんた達の力を貸してくれ!」
「…策があるってんなら乗ってやる!」
「馴染みの狩場であんなのが居座られてもこまるからな。」
「イドラもそれでいいか?」
「仕方ないわね…」
キズナレッド、イドラ、ザッツ、レインの4人で放つこととなった。
「それじゃあ行くぜ!束ねた絆で勝利を掴む…ぶち抜け!ビクトリー・キズナバスター!」
Vの字に飛ばされたその攻撃は…
「うごぉぉぉ!!」
「って駄目じゃねぇか!?」
失敗に終わり、魔物の攻撃が4人に向けて飛んでくる。慌ててキズナレッドは前に出てその攻撃を受け止めた。
「しまった!?お互いの心にわだかまりが残っていたから絆エネルギーが反発し合い、ビームが真っ二つに裂けてしまったんだ!」
「よくそんな不安定なシステムで戦ってこれたわね!?」
「くっ…絆エネルギーを使い過ぎて…パワーが…」
「早くドラグレッダーを呼びなさい!」
「………仕方ない。今回は出来れば呼びたく無かったが…来てくれ!ドラ…!?」
「…」ぶんッ
「ぐぁあああ!!」ドゴッ
「レッド!!」
手鏡からドラグレッダーを召喚しようとしたキズナレッド。しかし、それにより隙が出来てしまい…キズナレッドは魔物に殴られ、岩へと叩きつけられ…変身が解けてしまった。さらには手鏡もパリンと粉々に割れてしまったのだ。
「そんな…ドラグレッダーが呼べない…」
そして、冒頭へと繋がるのだった。
───
「…みんなを連れて…逃げろイドラ…」
「馬鹿!今、回復魔法を…」
急いで灯悟のそばまで来たイドラだったがさらに追い打ちをかけようと魔物はレッドたちへと拳を下ろしていたのだ。
「クソがぁああ!!」ガッ
「おらぁあぁ!!」ガッ
そんなピンチな状況で…ザッツとレインは2人がかりで魔物へとタックルする。武器は先程消滅しているため…生身の状態でのタックルである。
「貴方達何を!?」
「さっき助けられた借りを返しておきてぇだけだ!」
「それに癪だが俺らじゃコイツを倒せねぇ!」
「コイツを倒す為にはそこの兄ちゃんみたいな規格外の力を持った奴が必要なんだよ!だからさっさと治しやがれ!」
「少しでも生き残れる可能性に賭ける…俺たちのド三流はそうやってB級冒険者までに這い上がってきたんだ!」
「…何も知らないのに見下していたのは…私も同じじゃない!早くレッドを回復させて規格外の力を…はっ!もしかしたら!」
ここでイドラはあることを思い付く。ミラーワールド…それは手鏡に限らず、鏡面になるものがあれば繋がるのでは無いか。現にドラグレッダーは窓や水面などから現れることも出来た。となれば、イドラがするべきことは…
「凍て刺せ、氷精の槍、セルシウススパイク!………助けて、ドラグレッダー!」
『グルルルル…!!』ブンっ
「ぐおぉぉ…!?」
『待たせてすまない…』
「お前…」
「コイツらの仲間だったのか!?」
『俺もお前達に恩がある…一時的だが…俺の力を貸そう。』
『GUARD VENT』
音声と共に氷からドラグレッダーの身体の一部を模した2つの盾が現れて、ザッツとレインの手に渡った。
「これは…盾?」
「何でお前がそんなことをする?俺らは…お前を殺そうとしてたんだぞ?」
『…俺は人間ではない。故にお前たちの思惑は知らぬ…だが、アレは俺に取っては立派な恩だ。レッドの回復まで場を持たせてみよ!』
「「あぁ!」」
盾を持ち、再び魔物へとタックルするザッツとレイン。すると魔物はさらに後退し始めていた。
「だが…ら…!」
「凄ぇよ、この盾…!」
「俺らだけで…コイツに押し勝ってる!このままいくぞ!」
しかし、そう思ったのもつかの間。
「どげっ!」ドンっ
「なっ…!」
「マズイ!逃げろ!」
魔物は2人と1頭を飛び越えてイドラと灯悟の所へと迫る。
「レッド!!」
ドォンッ!
魔物の攻撃が2人へと飛んできたその時だった…灯悟が生身でイドラを左手で庇いつつも魔物の攻撃へと右手の拳を当てていたのだ。
『ククク…レッドよ、やっと起きたか。』
「絆を感じたぜ!」
そのまま、右手だけを変身させて魔物を殴り飛ばす灯悟。
「わがかまりが消え、お互いを認め始めた…新たな
そして、灯悟は…
「燃え盛る熱き友情の戦士…キズナレッド!」ドゴーン
キズナレッドへと変身した。
「みんな…そして、ドラグ!もう一度力を貸してくれ!」
その掛け声と共に全員がビクトリー・キズナバスターへと集まった。ちなみにドラグレッダーの位置は武器の真後ろであり、爪を器用に使い支えていた。
「今こそ貫け!共に勝利へと突き進む熱き絆の力!真・ビクトリー・キズナバスター!!」
「わじのだがらぁあああ!!」
ドゴーーン
「俺たちの絆の勝利だ!!」
『グォオオオー!』
爆発を背景にキメポーズをする4人+1頭。
「(何このポーズ。)」
「「(俺達はいつの間にこんなポーズを?)」」
『(何か雰囲気で咆哮しちゃったんだけど?)』
何はともあれ…魔物を倒したのだ。そして、そこには…
「…」ピクッ…ピクピク…
「何このおっさん?」
「あの魔物から出てきたのか?」
「酷いケガだし…ギルドに連れて帰ろうぜ。」
『俺はミラーワールドへと戻ろう。また後で。』
額にデキモノのある男性が倒れていたのだ。灯悟たちをその人を連れてダンジョンを後にした。
………
ギルドへと帰った4人+1頭。
「…まぁ、なんつぅか…死なないように頑張れや後輩共。」
「それはこっちの台詞よ先輩共。」
「本当に可愛げのねぇ後輩だぜ…」
「精々、兄ちゃんに愛想尽かされないようにな。」
「さっさと帰らないと治した怪我の百倍重傷負わすわよ!」
『去らばだ。ザッツ、レインよ…』
「ドラグレッダー…お前は本当に魔物か?実は人間じゃねぇのか?」
「もしパーティが解散したら俺らと組んでくれないか?」
『それは俺の非常食になりたい、という意味か?』
「ハハハ…やっぱりお前怖いわ。」
「さて、怒らせないうちに俺らはそろそろ行くか…じゃあな。」
ザッツとレインはギルドを後にした。
「良かったなイドラ、ドラグ!良い冒険者仲間が出来て!」
『…うむ。』
「アレは"良い"に分類されるのかしら?」
『少なくとも俺は終始好印象だ。』
「あんたはそうで良かったわね。まぁ、一度嫌悪した相手を見直して仲直りするとか…そういう青臭いのは苦手と思っていたけれど…思ったほど悪くはなかったわ。」
「やっぱり人間どんな苦手なことも挑戦してみるもんだな!」
「貴方ならそう言ってくれると思ったわ。」
ガハハと笑う灯悟。そして、ポケットからイドラは注射器を取り出した。
「という訳でレッド?貴方の苦手なお注射に挑戦しましょうか?」
『ぺっTURN』
そこには変身しようとする灯悟の姿があった。
「待ちなさい!苦手なことから逃げてると成長出来ないわよ!」
「それはそれ!コレはコレだぜ!絆装チェ…」
『諦めろレッド。絶望がお前のゴールだ。』ギュッ
窓から伸びてきたドラグレッダーの身体が灯悟へと巻き付いた。それにより、キズナブレスから絆装甲が剥がれて床へと落ちる。
「ド…ドラグ!?離すんだぜっ!このままだとキズナレッドになれな…」ギチギチ
『ダメに決まってんだろ?また爆破させて弁償など…笑えないジョークだ。そんな金はもう無い。』
「はーい♡チクッとするから…じっとしてましょーね♡」
「や、止め……あーーーっ!?」
「お前ら!そういうのは外でやれ!!」
結局、ギルドマスターに怒られることとなった。