「ただいま…」
「お帰りなさいませ、イドラお嬢様。」
「よう!テレスドン!お邪魔するぜ!」
「ポセイドンでございますレッド様。今日はどういったご用件で?」
「今日から俺もここに住むことになったんだぜ!よろしくな!」
「は?」
イドラ・アーヴォルンを出迎えたポセイドンは浅垣灯悟の言葉に…開眼した。ポセイドンは灯悟をその場で待機させ、部屋に戻ったイドラの元とへ急いだ。
「お嬢様!レッド様がここに住むというのは本当でございますか!?」
「レッドだけじゃないわ、ドラグレッダーもよ。まぁ、レッドの爆散によるクエスト失敗で稼げずに生活費が尽きたからなんだけど…ウチは部屋だけは沢山余ってるし、一緒に住めば異世界のことも研究しやすいし一石二鳥でしょう?」
「そのドラグレッダー様はどこ?」
「ここで住む家賃を稼ぐためにってクエストに行ってるわ…必要無いって言ったんだけどね。今までの生活費はドラグレッダーが賄ってきたらしい。」
「あの龍は冒険者だというのですか!?」
「…はっ!?よく考えればドラグレッダーって冒険者だったの!?」
冒険者の証であるステータスタグを持っていたため今更な事実である。
「コホン!ドラグレッダー様はともかくお嬢様。レッド様は"男性"ですぞ?」
「今までだってポセイドンと2人だったじゃない。」
「私は先々代の頃より当家にお仕えする執事…お嬢様のことは孫娘のように思っております。しかし彼は"性欲最盛期の若者"…その豊満な肢体にいつ欲望を爆発させるか…」
「孫娘の肢体を豊満とか言うな。大体あのレッドにそんな感性…」
ここでイドラは先日の謎の魔物を退治にしに行ったダンジョンでのことを思い出す。
「いや、あるのかしら?私のことをび、美人とかいってたし………ポセイドン?」
その後、灯悟がポセイドンによりハサミで去勢させられそうになったのはまた別のお話。
───
『帰ったぞイドラ、これは今回のクエストの報酬だ。家賃として納め……む?客がいたか。』
「何故魔物がこんな所に…テルティナ様!お下がりください!」
「違うから!ちゃんと私らの仲間だから!」
「まぁ!龍を使い魔にしてるとは…」
「ドラグは使い魔じゃないんだぜ!ドラグはとっても頼りになる仲間なんだぜ!」
ドラグレッダーがイドラの屋敷の窓から顔を出す。そこには灯悟とイドラに加え、銀髪に八重歯を見せる少女と右目を髪で隠した青年の姿があったのだ。
『話に割り込んでしまいすまないな…俺の名はドラグレッダー。この見た目だがC級の冒険者だ。決して使い魔では無い。』
「ドラグ!お前、D級から昇格したのか!」
『あぁ…先程のクエストでちょっとな。』
「やっぱり、ちゃんと冒険者だったのね…」
灯悟とイドラの反応を確認したドラグレッダーは客人の2人へと顔を向けた。
『お前たちの名を聞かせて欲しい。』
「貴様に名乗る名など…」
「ロゥジー!挨拶には挨拶を返すべきです!私の名前は"テルティナ・リズ・ワーグレイ・アヴァルロスト"でアヴァルロスト皇国の第3王女です。」
『…ぬぅ、長くて覚えきれぬ。テルティナと呼んでも良いだろうか?』
「いい訳ないだろ!テルティナ様を呼び捨てなど…」
「はい、構いませんよ。」
「テルティナ様!?」
「こちらが私の勇者"ロゥジー・ミスト"です。」
『ロゥジーか。2人とも、よろしく頼む。』
「はい、よろしくお願いしますね。」
「…」ぷいっ
「役者もそろったようですので本題に入りますね。」
テルティナは丸い何かが入ったビンを取り出した。
「イドラ様にはこの魔導具の"分析"と"回収"の協力をお願いしたいのです。」
「それは…この前のおっさんに付いてたおでき!?」
「お、おでき?コレをご存知なのですか?」
「先日倒した謎の魔物からそれに似た物を額に付けた男性が出てきまして…」
「アレを一度倒したのは貴女だったのですか!?」
「いえ、私ではなく彼の…」
「ああ!俺たちの絆の一撃!ビクトリー・キズナバスターでぶっ倒したんだぜ!」
「びくとり……?魔法名でしょうか?」
「テルティナ様に対しなんという口の聞き方を…」
「レッドが絡むと説明が難解になるからドラグレッダーみたいに黙ってて頂戴!」
「流石は魔導研究の名門と名高きアーヴォルン家!あの魔物を倒す程の魔法を編み出すとは…イドラ様ならこの魔導具"魔力の種"の謎を解明できるかもしれませんね。」
「魔力の種?」
テルティナは再びビンへと触れる。
「この種は体に植え付けると魔力が増幅され、宿主の願望を叶えるための特殊な魔法…"特権魔法"が使えるようになるという代物です。」
『願望を…』
「叶えるための魔法?」
「それって普通の魔法とどう違うんだ?」
「例えば金貨を欲した者には物質変換魔法を、財宝を守りたい者には巨大な結界魔法を…そんな超常の力を付けただけで使えるようになる。それがこの"魔力の種"なのです。」
「確かに修練無しでそんな魔法が使えるとなるとは異常ですね…」
「うまい話には裏があるというのがこの世の常…この種は成長して宿主の力を超えると宿主の肉体を取り込み、異形の魔獣へと変貌させるのです。」
「あのおっさんは種に取り込まれていたってことか!」
『もしもの話だが…人間じゃない俺が使うとどうなるんだ?』
ドラグレッダーの首を傾げつつ質問をする。
「先程も言いましたが魔力が増幅され…」
『俺に魔力は無いらしい。異世界から来たから…』
「貴様!テルティナ様の話を遮るな!」
『…そうだな。この話は無かったことにしてくれ。』
その後、灯悟とイドラはテルティナに協力することが決まるも…ロゥジーが灯悟とドラグレッダーを頑なに認めなかったため決闘することとなった。