屋敷近くのとある荒野にて…4人の男女と1頭の龍はそこに移動していた。最初に戦うのは浅垣灯悟とロゥジー・ミスト。
「ドラグレッダー、本当にレッドたちのバトルを見なくていいの?」
『…俺がロゥジーの動きを見ておくのは何と言うか……ズルいだろ?俺の番になったら呼んでくれれば良い。』
「ズルくは無いかと思いますよ。ロゥジーですが…かつて"孤高の剣鬼"という異名を持つS級冒険者として多くの高額賞金首をたった1人で討伐してきましたし。」
少し離れた位置からドラグレッダーを始め、イドラ・アーヴォルンとテルティナ王女がその対決を見守っている。
『ロゥジーも冒険者だったのか。』
「さらに彼が持っている伝説の神器"王家の聖剣"。つまり、最強の剣士が最高の剣を装備しているのです。彼とまともに戦える者などこの世界には殆どいないかと…」
「この世界には…ですか。」
「?」
『テルティナよ…俺のレッドを見てるがいい。』
「俺が勝ったら、テルティナに協力するのを認めてもらうぜ!」ペッターン
「テルティナ様を呼び捨てにするな下郎が!私が勝ったらあの龍共々、二度と私達の前に現れないことを誓え!」
「男に二言はねぇぜ!絆装チェンジ!燃え盛る熱き友情の戦士…キズナレッド!」ドゴーン
「派手な爆発に奇抜な衣装…貴様は道化師か?」
「嘘でしょあの男…レッドの変身を所見でビビってない!?」
『それだけ戦闘経験が豊富なのだろう…』
「イドラ様!ドラグ様!アレはどのような魔法でしょうか?」
「アレは魔法ではなく…私も研究中で今のところはよく分かりません。」
『テルティナ、お前もかなりの修羅場をくぐって来たようだな。後で俺の力も見せてやろう。』
「まぁ!楽しみにしていますわ!」
「あぁ…事態がどんどんややこしいことに…」
その後もキズナレッドの双刃剣とロゥジーの剣による競り合いが続いていく。
「多少は戦えるようだな…ならば!少々本気を出してやろう。」
『第二聖剣・
「おぉ!かっけぇ!そっちが本気なら…こっちも本気を見せてやるぜ!来い、キズナビースト!」
『絆創合体!マキシマム・キズナカイザー!』
ついに互いの手札を見せ始める。ロゥジーは巨大な大剣を、キズナレッドは合体ロボを呼び出したのだ。結果…巨大ロボ VS 1人の人間という物凄く体格差のある絵面となった。
「…レッド。ちょっとコレは…流石に人としてどうかと思うわよ。」
「うーん、どうしよう。流石に俺もはしゃぎ過ぎちゃった気がするぜ。」
『…そうでもない。』
「ドラグレッダー?」
『俺の世界ではデカくなると負ける…とのことだ。特には映画の終盤でよくあるお約束らしい。』
「…映画って何?というか何で?絶対に大きい方が有利よね?」
『…そこまでは知らぬ。ただ、俺の中の何かがそう言ってる。』
「は、はぁ…?」
キズナレッドを始め、ドラグレッダー、イドラ、テルティナもキズナカイザーへと乗っており…イドラがキズナレッドへとツッコミがして、ドラグレッダーが首を傾げる。テルティナはというと…
「す、凄い…!コレは1体、なんなのですか!?」
「テルティナ様!?」
「おーい、ロゥジー!いい景色ですよー!」
目をキラキラと輝かせていたのだった。なお、その様子を見ていたロゥジーは…当然、ぶちギレる。
「貴様ぁあ!テルティナ様を人質に取るつもりかぁああ!!」
「い、いや!そんなつもりは…」
「テルティナ様を返せ!このド外道がぁああ!!」
ロゥジーの怒りの一撃は…
「じぇあああ!!!」
ガンッ
「キズナカイザーが…!」
「嘘でしょ!?」
「流石はロゥジー!」
『…ククク。』
「この…あれ?攻撃が当たらないんだぜ!?」
何とキズナカイザーの巨体を仰け反らせたのだ。キズナレッドは反撃に出るも…相手の小ささと素早い動きにより攻撃を当てれない。
「テルティナ様!今、お助けします!」
「へへ…!あんたもいい絆持ってるじゃねぇか!ロゥジー!益々、一緒に旅をしたくなってきたぜ!」
『レッドよ…どうするつもりだ?』
「これを使うぜ!」
もちろん、やられているだけのキズナレッドではない。プレートを操縦桿にセットし…キズナカイザーが持つ巨大な剣を呼び寄せた。
『グレート・絆ソード』
「そんなデカブツでわたしを捉えられると思っているのか!?」
「思っちゃいねぇぜ!だから…扇ぐんだぜ!」
キズナカイザーは剣を大きく振るう。結果、物凄い突風が起き…ロゥジーを遠くへと飛ばしたのだ。
「いやアレ…死ぬんじゃない?」
「あ!」
「ロゥジィィイイイ!!」
青い顔のイドラに涙目になるテルティナ。
『仕方ない…俺が回収してこよう。』
結局、ミラーワールドから出てきたドラグレッダーが追いかけて空中を飛ぶフリスビー状態のロゥジーをキャッチし…そのまま戻ってきたのだった。
───
『…準備はいいかロゥジーよ。』
「ふんっ!貴様のような魔物など何度も何度も討伐してきた私が…負けることなどない!」
『俺は魔物じゃないのだが…まぁ、いい。いくぞ!』
灯悟の戦いが終わったので次はドラグレッダーと戦うこととなるロゥジー。イドラの回復魔法を受けた後にある程度休み…再び剣を構えたのだ。先制したのはドラグレッダー。
『はっ!』ボッ
口から火の玉を吐き出した。
『第二聖剣・
対してロゥジーは先程、灯悟戦で使用した聖剣へと変化させる。それで火の玉を斬りかかる。
「ふん……んぐぐぐっ!?何だ…この威力は……ぐはっ!」
何と火の玉はロゥジーの聖剣を正面から弾いたのだ。慌てて手から離れた聖剣を回収するロゥジー。その様子をドラグレッダーはただ見守る。
「…攻撃の隙はあった筈だ。何故、攻めない?」
『ククク…何故だろうな?お前を舐めているからもしれないな?』
「貴様…!」
『…いくぞ!はっ、はっ!』ボボッ
ドラグレッダーは次に火の玉を2発吐き出した。ロゥジーは聖剣を別の形状へと変化させる。
『第一聖剣・
それは普段、ロゥジーが所持している聖剣の基本形態。それで再び斬りかかるも…
「──ぐぼ、がっ!?」ジュゥゥ…
火の玉を相殺出来ず、ロゥジーへと命中した。直撃こそ何とか避けたものの右肩と左脇腹には火傷の痕がついていた。
「ロゥジー!?そんな…あの聖剣は魔力を吸収する効果があると言うのに!?」
「やっぱりドラグレッダーの炎は魔力じゃないというのかしら…」
「ドラグ…やっぱりお前は強いよ。本当に。」
『…降参するか?』
「ほざけ!私はテルティナ様の勇者!これくらいピンチでも何でもない!魔力を吸えなかったのは想定外だったが…」
『第四聖剣・
ロゥジーは再び聖剣の形状を変える。第二が炎を纏う片刃の大剣ならばこちらは岩を纏う両刃の大剣。それを地面へと刺すと周囲の空気が歪む。と同時に空中に浮かんでいるドラグレッダーの身体が地上へと沈んだ。
『む…身体が…』ドシッ…
「重いだろ?これがこの形態の力だ。はぁ…!」
ロゥジーは聖剣を通常の形状に戻し、地へと落下したドラグレッダーを斬るべく距離を詰める。しかし…
『ふんっ!』ブンッ
「……っ!?」
地上でもドラグレッダーは関係なく素早く尻尾を振るう。その一振は聖剣ごとロゥジーをとらえ、後ろへと飛ばし、崖へと叩きつけ…意識を奪ったのだった。ドラグレッダーの完勝である。
………
「…」ずーん
「ロゥジー…」
「申し訳ございません…テルティナ様…」
目を覚ましたロゥジーだったが、その顔は非常に暗い。忠誠を誓ったテルティナの前での完敗…なかなかくるものがある。イドラの回復魔法により火傷は完治しているが…心の傷はそうもいかない。テルティナはただその頭を撫で続ける。
「ロ、ロゥジー…仕方ないんだぜ!ドラグは…俺でも勝てないくらい強いし…何なら殺されかけたくらいだし…」
「レッド、あんたは黙ってなさい!」
空気を読んだのかドラグレッダーは既にミラーワールドへと帰っている。重い空気の中でついにテルティナは口を開いた。
「ロゥジー。レッド様とドラグ様は貴方に勝利しました…約束通り同行を認めてくれますね?」
「テルティナ様!?」
まさかの追い打ちだった。了承せざるを得ないが…首を縦に振りたくないロゥジーはテルティナから目を反らす。
「逆に考えてみましょうか。あんな力を持った人間と龍を野放しにしたら…魔力の種より危険ではありませんか?」
「『「(確かに…)」』」
光のない瞳でテルティナはそう言いきる。その説得はロゥジーとイドラ…さらにはミラーワールドにいる元凶のドラグレッダーまでもに同じ感想を持たせた。
「ならば味方になってもらった方が安心でしょう?」
「致し方ありません…アサガキトウゴ!ドラグレッダー!貴様らの同行を認めてやる!だが貴様らと馴れ合うつもりはないからな!特にアサガキトウゴ!」
「へへっ!」
「何がおかしい?」
「そういう言葉を吐いて、俺と仲良くならなかった奴はいないんだぜ!」
『いや、ここにいるぞ!』ニョキ
ドラグレッダーが灯悟の手鏡(New)から顔を出す。
「ドラグレッダー!?今まで空気を読めたのに…何で出てきたのよ!?」
『ふんっ!伝えることを伝えに来ただけだ!俺はレッドと仲が良い訳ではない!コイツは…あと、イドラも俺の非常食だ!これで貴様らも俺の非常食になったことを忘れるなよ!それだけだ!』
言うことを言うとドラグレッダーは再び首を引っ込めてミラーワールドへと帰っていった。
「テルティナ様が非常食…わ、私が守らなければ!」
「落ちつきなさいロゥジー!これは大丈夫なやつだから!」
「えーと。これはイドラの時と同じで……つまり、何かドラグレッダーに認められたみたいだな。」
「ふふ…ドラグ様はお優しい方なのですね。もしもそんなことになれば…ロゥジーが最初に食べられてくれますか?なーんて♪」
「テルティナ様!?」
「「「アハハハハ!」」」
慌てふためくロゥジーの姿に3人の笑い声がその場に響いた。