無双龍ドラグ異世界で冒険者になる   作:アマノジャック

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無双龍と喧騒の街

ドラグレッダーたちは『魔力の種』の所持疑惑のある領主がいる街へと着いた。その名は喧騒の街『アカリナ』…冒険者や行商人、貧民から大富豪、多種多様な人種が行き交い、常に喧騒が響き渡る人々の活気に満ちた街とのことだ。しかし…そこは喧騒は真逆に静寂とした街であった。

 

「コレはいったい…」

「聞いてた雰囲気とは全然違うぜ…」

『露店が1つも無いことはミラーワールドからでも分かる…』

 

念のためドラグレッダーはミラーワールドへといてもらい、浅垣灯悟たちは聞き込みを始める。

 

「ここの領主について聞きたいんだけど…」

「ひぃい!」ダッ

 

「なぁ!ここの領主って…」

「知らないよ!」ダッ

 

「領…」

「…」バタンっ

 

『全滅だな。』

「くっ…諦めないぜ!この町の人達とも必ず絆を結んでみせる!」

「目的見失うの早過ぎない?私達の目的はあくまで魔力の種の回収よ?」

『ククク…』

 

しかし、住民は誰も灯悟の話を聞かないうちに去っていく。そして(別の目的に向けて)自身に鼓舞する灯悟にイドラ・アーヴォルンがツッコミを入れる。なお、ドラグレッダーは灯悟の様子にご機嫌であった。

 

「あの住民共の怯え方…尋常ではないですね。」

「やはり領主が"何か"しているようですね。一体何を…」

 

ロゥジー・ミストとテルティナ王女が状況を整理していると…1人の女性が声をかけてきた。

 

「…あんたら。御領主様に関わるのだけは止めときな。」

「あんた、何か知ってるのか!?」

「住民から情報を聞き出そうとしても無駄だよ。悟領主様について余所者に話すことは"掟"で禁じられている。悪いことは言わない…早々にこの街から立ち去りな。」

 

そういうとその女性はドラグレッダーたちから離れていった。

 

「"掟"…ですか。破ると何かあるということでしょうね。」

「それに住民は怯えているってことか!」

「しかし、それを話したかどうかなんて誰かが告げ口でもしない限り露見しないのでは?」

「それは多分、この魔力領域が原因でしょう。」

「魔力領域?」

「街全体が気持ち悪い魔力に覆われています…おそらく、これで監視をしているのかと。」

「魔法ってそんなことまでできるのか?」

「熟練の魔導士でも街一つを魔力で覆うなんてできないわ。つまり、コレが領主の"特権魔法"ね。」

『つまりは魔力の種が関わっていると。イドラよ、質問をいいか。さっき監視と言ったな?…俺はまだ姿を見せていないが…声を聞かれてる可能性は?』

「さぁ…そこまでは。まぁ、少なくとも『碌でもない領主』ってことは確かね。」

 

"御領主様の陰口を言うべからず"

 

ズォオオオ!

 

謎の声と共にイドラの背後に魔物のような何かが現れた。それはイドラに向けて鈍器を振るっており…

 

「!?」

「イドラ!」だきっ

 

イドラは灯悟により何とか助けられた。

 

「なんだコイツは!?」

「なるほど…監視だけじゃなくてコレも特権魔法って訳ね。」

 

「ほう…特権魔法を知っているとは。」

 

「誰だ!?」

 

2体の魔物…否、使い魔と一緒に1人の老人が姿を見せた。老人は一礼をしつつ灯悟たちへと名を名乗る。

 

「私はこのアカリナの領主(あるじ)『ルルグアット』。この街の"秩序"と"静寂"を守る者でございます。」

「アレがこの街の領主?」

「なんか思ったよりも物腰柔らかそうなおっさんだな…」

「ルルグアット卿!」

 

想像していた姿と違ったことで毒を抜かれた灯悟とイドラだったがここでテルティナが前へと出てきた。

 

「私はアヴァルロスト皇国第三王女テルティナ・リズ・ワーグレイ・アヴァルロスト!魔力による領民の抑圧…王族として看過できません!魔力の種の即刻破棄を命じます!」

 

「「おぉ…」」

「ふつくしい…」パチパチパチ

 

テルティナの力強い命令に感動する3人…しかし、ルルグアットは首を傾げ…

 

「はて?領民の抑圧…ですか?私はただ無秩序だったこの街に秩序と安寧をもたらそうとしているだけです。」

「そんな力で人々を脅していおいて何が秩序だ!街をみてみろよ!みんな、あんたの罰を怖がって何も出来やしない!」

「レッドさんの言う通りです!街の治安も秩序も民と考え…」

「何を言うのです?皆が私の掟に従い慎ましい生活を送っている…これこそが"秩序ある楽園"でありませんか。」

 

テルティナの意見を否定した。そこに灯悟も加わるものの…ルルグアットは自身の正しさを主張する。

 

「…よくわかったぜ。あんたが作りたいのは…自分の自分の思い通りになる箱庭だってことがな!!」ペッターン

 

灯悟はキズナレッドへと変身した。

 

「嘆かわしい…人生経験の浅い若者にはこの街の良さはわかりませんか。」

 

"御領主様に歯向かうべからず"

 

「分かってたまるかそんなもん!……ぐぁあ!!」

 

キズナレッドはルルグアットの召喚した使い魔を蹴るものの…次の瞬間、逆に自身が背後から殴られていた。キズナレッドは振り向くものの使い魔は何度も何度もキズナレッドの背後に瞬時に現れては一方的に攻撃を繰り返す。

 

「ドラ…」

『俺の名を出すな!…レッドなら大丈夫だ。』

 

「ロゥジー!早くレッドさんに加勢を!」

「私が助けにいっても殴られる人数が増え…」

「ロゥジー、正直に言いなさい。」

「奴の無様な姿が見れていい気味なのでもう少し眺めさせてくだ……熱ぃいい!!」ぼぅ

「ロゥジー!?ドラ…」

『今は名を出すな!』

 

イドラはドラグレッダーを呼ぼうとするも止められる。そして、ロゥジーはテルティナにキズナレッドと戦うよう言われるも拒否し…近くの窓ガラスから飛んできた火の玉で髪が燃えた。

 

「くそ!コレじゃあ本体を攻撃する暇がないぜ!」

 

どんどん追い込まれるキズナレッド…そこに煙玉が飛んできて…辺りは煙に覆われた。そして、それが晴れたときにはキズナレッドたちの姿が無かった。

 

───

 

「ありがとう。助かったぜ…」

「だからあの領主には関わるなと言ったのさ。」

 

4人はあるログハウスへと連れていかれていた。そこには先程領主へ関わるなと忠告していた女性の姿があった。

 

「ここは一体なんなんだ?」

「あの領主から街を取り戻そうとしている反乱軍のアジトだよ。」

「反乱軍って…そんなことをすれば領主の罰が下るのでは?」

「奴の魔力領域は街の中だけ…ここは街の外だから奴に感知されることはない。あたしはここのリーダーの『グロッサ』。あんたらはなんであの領主と戦ったりしてたんだい?」

『魔力の種を回収するためだ!』にゅっ

「うわぁ!?何だこの龍は!?」

「ドラグレッダー!?今から説明するわ!」

 

突然に手鏡から顔を出したドラグレッダーにびっくりされたものの…イドラは説明を始める。話を全て聞いたグロッサからは全面協力するとの返答があり、テンションが上がる灯悟。ロゥジーはなぜアカリナに拘るのかと聞くと…グロッサたちは喧騒としていたアカリナの街が好きだから、そんな故郷をなんとしても取り戻したい、との返答をした。そして灯悟は…絶対に取り戻すと宣言したのだった。

 

………

 

「それで…あの特権魔法をどう攻略しようかしら。初見殺しだったとはいえ、レッドがあそこまで苦戦するとは…」

「うぅ…面目ないぜ。」

「ハハハッ!いい気味だったぞアサガ…!?」ピタッ

『次は当てるぞ?』

「ドラグ、止めろ!」

「…いえ、これはロゥジーが悪いです。」

 

作戦会議を始める4人と1頭だったが…灯悟を嘲笑うロゥジーの首に鋭い尻尾の先端を突きつけるドラグレッダー。早速、不安しかない。

 

「これが反抗軍が調べて判明してる"掟"のリストね。街でコレを破れば即座に死角から罰を喰らうわ。」

「街の中では駄目か…そうだ!」ポンッ

 

ここで灯悟の頭に電流が走る。

 

「街の外からキズナカイザーで狙撃するのはどうだ?」

「あんな超火力を街に向けて撃ったら街が焦土と化すわ。」

「同じ理由でクソ龍の奇襲もダメだな。先程私を燃やした炎で街も同じことになりかねない。」

「…いや、ならないから。何ならドラグレッダーの存在が知られていない以上、それが普通に現実的なプランの1つなのだけど?」

『そうでもないぞイドラ。ロゥジーの言うことも一理ある。使い魔が背後に何度も来る以上俺は物凄く暴れることなり…下手をすれば街の破壊はもちろん、街の住民やルルグアットを殺しかねない。俺たちの目的は魔力の種の回収…街を壊したり奴を殺すことではないだろ?』

「それはそうだけど…ハァ。分かったわ。もう少し考えるから。えーと、領主の屋敷が街の中心部にあるから…」

「なら領主の屋敷にキズナカイザーで乗り込むってのはどうだ?」

「街中であんなのが暴れたら更地になるわ!」

『いや…あれって街中で使う物だろ?』

「そうだぜドラグ、よく分かってるな!終わった後でみんなで街を建て直してだな…」

「どれだけの時間をかけるつもりよ…それ以前に操縦席に使い魔が現れてボコられるわ。」

「『うぐっ!?』」

「まぁ、最悪はドラグレッダーかキズナカイザーで何とかするとして…1つ簡単だけど、難しい解決方法があるわ。」

「?」

『…どういうことだ?』

 

イドラの目線は灯悟とロゥジーへと向いていた。

 

………

 

そこには互いの背中を合わせる灯悟とロゥジーの姿があった。

 

「なるほど!これなら互いの死角をカバーしながら戦えますね!」

『俺はイドラとテルティナの守りに集中出来るな。』

「えぇ…ですが幾つか難点がありまして…」

 

「アーヴォルン貴様…この私にコイツと背中を預けて戦えと言うのか?クソ龍…テルティナ様を守るのは私の役目だ!」

「難点その1、ロゥジーが嫌がる。」

 

「燃え盛る熱き友情の戦士!キズナレッド!」ドカーン

「熱っ!?」

「難点その2、ロゥジーが爆発に巻き込まれる。」

 

「今、私の足を踏んだな!?アサガキトウゴ!」ブンッ

「いや、俺は踏んでないぜ!」パシッ

「貴様以外に誰がいる!?」

「難点その3、そもそも息が合わない。」

 

不安しかない絵面が連続する。

 

「…あんた達、もうちょっと頑張んなさいよ。」

「「()は合わせようと努力している()!」」

『ピッタリじゃねぇか。』

「そう、その意気よ。」

 

ここでテルティナがロゥジーの頭を撫で始めた。

 

「ロゥジー?貴方の方がちょっとだけお兄さんなのだから…貴方がレッドさんに合わせてあげれませんか?」

「しかしテルティナ様…」

「もしも、ちゃんと連携が上手くできたら………"みみかき"と"ひざまくら"。」

「──!?」

 

その後、ロゥジーは今までのグダグダ感が嘘のように完璧な連携訓練をこなし…ドラグレッダーが嫉妬した。

 

───

 

夜になり…イドラは近くの川で水浴びを始めようとしていた。

 

「…冷たそうね。」

『少し待て。』

「ドラグレッダー!?」

『はぁ!』ボッ

 

ドラグレッダーの火の玉が川の水を温める。

 

「…あ、いい感じの温度ね。」

『レッドに何度も頼まれ…調整出来るようになった。』

「そう…ありがとうドラグレッダー。」

 

イドラはそのまま温かくなったお湯へと浸かる。

 

「ドラグレッダー、あの2人ってどういう関係だと思う?」

『主と契約している人間だろ。主を守り、その代わりに飯を…いや、お前達の飯はロゥジーが用意しているよな?すまぬ、分からなくなったきた…』

「まぁ、あんたらしい答えで安心したわ…」

 

「私はイドラさんとレッドさんの関係が気になりますね!」だきっ

「へぁっ!?テルティナ様!?」

 

突然に湯の中からテルティナが現れ…イドラへと抱きついた。

 

『テルティナ!?先程、ここらに火を吐いたが…熱くなかったか?火傷してないか?』

「大丈夫ですよドラグさん。イドラさんが入った後に私も入りましたので。」

『そうだったか……テルティナよ、良い胸だな。』

「ドラグさん!?いえ…私はその…」モジモジ

『ちゃんと女だ。』

「…」ブチッ

「ドラグレッダー、少し口を閉じてなさい。」

『ぬぅ…』

 

イドラから怒りのオーラを感じドラグレッダーは口を閉じて…自身も湯へと浸かる。

 

「えへへ…同世代の方と水浴びをするのなんて初めてです。」

「それは…私もです。」

 

テルティナ、15歳。イドラ、16歳。そのままテルティナはタオルで自身の身体を拭き始める。

 

「ふつくしい…」

『イドラ?』

「どうされました?」

「いえ…同世代なのに全然違うな、と。」ボイーン

「それはこっちの台詞ですよ。」スラッ

『(俺から見れば大差はないが…黙っていた方が良さそうだ。)』

 

1つ成長したドラグレッダーである。

 

「テルティナ様はどうして私を選んでくれたのですか?」

「え?」

「元・王家の杖の家系とはいえ、わざわざ辺境のメズスにまで来なくとも…王都には他にも優秀な魔導士がいたのでは?」

「そうですね…実はイドラさんには以前から会って見たいと思っていたのですよ。」

「私に?」

「イドラさん、先代の御当主さまが亡くなられた後も王都に報告書を送り続けてますよね?便利な魔導具の設計書やあらゆる魔法薬の組み合わせの調査報告書…その全てから魔導技術を人々のために使ってほしいと熱意となんとしても杖の座を取り戻さんとする執念を感じました。」

『イドラお前…凄い奴だったんだな。』

「本当にそうです!だからずっと会ってみたかったのです…強い目的を持った同年代の少女に。」

「まさか、テルティナ様があの報告書を読んでくれてなんて…」

「ただ…会ってみたら本当に同年代か疑わしくなりましたが…」スラッ

「え?」ボイーン

『(女の胸に深く関わるべからず…だな。)』

「ではそろそろ上がりますね…ドラグさんとイドラさんはどうしますか?」

「私はもう少し浸かってから戻ります。」

『俺はミラーワールドに1度戻ろう…レッドとロゥジーが来た時にまた温めるためにもな。』

「ではお先に…」

 

その後、灯悟が入ってきてイドラとひと悶着あったが…それはまた別のお話。

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