英堵と峰田は職場体験のためMt.レディーの事務所
二本の角が特徴的な『Mt.事務所』にやってきた。
「いやー、憧れに人に会うとなると…ドキドキするな、相棒…!」
「ああ…ドキドキしすぎて昨日の夜は眠れなかったぜ、相棒…!」
その扉を開く。
「電気、水道、家賃、土地代…それに個性使用時の器物損壊…
赤だよコレ。都市部に構えると大変だって言ったでしょ?」
「だって…有名になりたくて…ビッグになりたくて…」
Mt.レディーが会計士に説教されていた。
「…こういう見ちゃあいけないものは見たくなかったぜ…」
「『宇宙一のヒーロー』になるためには金銭管理も大切、と…よし。」
メモを取り終えた英堵は一呼吸おいて口を開く。
「失礼します!」
その大声にこの場にいる一同が英堵の方を向く。
「この度お世話になる西村英堵です!」
それに続くように峰田も口を開く。
「同じく峰田実15歳!彼女募集中です!」
「「これから1週間、よろしくお願いします!」」
二人の挨拶を受け、Mt.レディーが笑みを浮かべて近づいてくる。
「ようこそ私の事務所へ。当然ご存じだと思うけど…
私は『美しい山(ベルモンテ)Mt.レディー』よ。」
二人はMt.レディーの姿をじっくりと眺める…
「あら、私の美貌に見惚れちゃったのかしら?」
「「す…」」
「す?」
「「すげえええ!!!実物は違うぜえええ!!!カッコいい!!!美しい!!!」」
「あらあら…嬉しいこと言ってくれるじゃない…」
実物を目の当たりにして興奮が抑えられない二人。
そんな二人を嗜めるようにMt.レディーが口を開く。
「早速だけど任務を言うわ…まず、峰田くん。このリストにあるものを買ってきて。」
「はい!何でも買ってきます!」
「そして西村くん。この書類の束を整理して。」
「ロジャー!アズスーンアズポッシブルに片付けます!」
峰田はリストを受け取り事務所を出ていき、西村は机に向かい書類を片付けていく。
「西村くん。ヒーロー活動を継続していくなら事務仕事もできなければいけないわ。」
Mt.レディーはソファーで寝ころび
ポテトチップスを食べながらヒーローとしての教えを説く。
「書類まとまりました!次は何しますか!?」
「んぐっ、は、早くない!?」
あまりの速さに驚き、Mt.レディーはまとめられた書類に目を通す。
「…か、完璧じゃない…」
「スーパークールにパーフェクト…
あとMt.レディー、ポテチ食べた手を拭かずに書類を触るのはナンセンスです。」
「え?あっ…た、試したのよ。細かいところに目が届くかもヒーローに必要な素質よ。」
「Mt.レディー!リストにあるもの全部買ってきました!ご褒美ください!」
「こっちも早いわね…!?あー…峰田くん、ポテチ食べる?食べかけだけど…」
「いただきます!Mt.レディーの食べかけのポテチ…!」
あまりにもヒーロー事務所らしからぬ光景に会計士は頭を抱えた。
「ヒーロー活動はね、如何にして暇な時間をやり過ごすかが重要なのよ?分かる?」
寝ころびながら情報雑誌を読むMt.レディーの指示で
英堵と峰田の二人は事務所の清掃を行っている。
「こういうプレイは好みじゃねえんだよ…」
「桂殿蘭宮…!八面玲瓏…!きれいな心はきれいな環境から…!」
「…そうだよな。本気で取り組まねえとな…!だって…」
「「俺たちは、ヒーローだ!」」
嫌そうな顔をする峰田だったが、本気で挑む英堵に感化され徐々に本気になっていく。
「ふー…だいぶきれいになったわね。お疲れ様。
お昼ご飯にしましょ。二人の歓迎も兼ねてどこか食べに…」
「いえいえ、それには及びません!少しでも出費を抑えるために自炊しましょう!」
「…嫌なこと言うわね、西村くん。…言ったからには作ってくれるわよね?」
「ロジャー!冷蔵庫の食材とキッチン借りますね!」
嬉しそうな顔をしながら英堵はキッチンに向かう。
「峰田くん、西村くんの料理スキルってどうなの?」
「どうでしょう…自信はありそうでしたけど…」
「お待ち同様でした!西村特製チャーハンセットです!」
「「「いや量多くない!?」」」
皿に山のように盛られたチャーハンの量は間違いなく2から3人前ぐらいはある。
添えられたわかめスープがほほえましく見える。
「かさ増しにエノキともやしを入れているので実際は大したことないですよ!
具はシンプルに卵と玉ねぎです!肉は高いので止めました!」
キラキラとした目で説明する英堵。
対しまずかったらどうしようと不安になる峰田とMt.レディーと会計士。
「冷める前に頂きましょう!いただきます!」
「「「い、いただきます…」」」
一同、チャーハンを口に入れる。
「「「めっちゃおいしい!?」」」
「うーん…マーベラス。今日もおいしくできました。」
パラッパラの米が口の中で広がる。
咀嚼をすれば玉ねぎともやしのシャキシャキ食感とエノキのコリコリ食感が楽しい。
口に広がる卵とごま油の香りは中華の世界に引き込む。
添えられたワカメスープは素材の味を生かしたシンプルな味だが
胡椒のアクセントがチャーハンの油っぽさを消してくれる。
「西村、おめえとんでもないもの隠してたな!?」
「『宇宙一のヒーロー』は料理もできないといけませんから。」
「ホントにこれ自分で作ったの!?お店で出せるよこれ!?」
「掃除に料理に事務仕事もできる…西村君、将来ここで働かないか?」
山のように盛られたチャーハンはどんどん全員の胃袋に収まっていく。
こうして初日の職場体験は終わった。
順調な滑り出しを見せた二人だが、まだ始まったばかりである。
Episode11
「今日はパトロールに行ってもらうわ。」
「モギタテヒーロー『グレープジュース』!」
「宇宙一のヒーロー『へロス』!」
「非道で不快な敵達よ!」
「見逃す訳にはいかねぇぜ!」
「「世のため人のため、一気にスピード退治!」」
次回、トラブル・パトロール 君のハートにターゲットロック!
Mt.レディーファンの皆様申し訳ございません。
Mt.レディーにはギャグよりの存在になってもらいます。
もちろんかっこいい見せ場は用意しますが…それは先の話になりそうです