三日目の夜、お楽しみのA組対B組の肝試しが行われる。
A組は16人の中から二人一組のペアを組んでいく。
「さて、俺と組めるラッキーパーソンは…」
「西村君!よろしくね!」
「君と組めるなんて嬉しいぜ、緑谷君!」
こうしてウニとワカメの海産物コンビができたのだ。
肝試しが始まり12分程経過した頃、異変が起こる。
有毒の煙が立ち込め黒煙が立ち上る。
「何で敵がいるんだよォ!!!」
峰田の叫び声が響く。敵の襲来である。
「「…!!!洸汰くん!!」」
英堵と緑谷はひみつきちにいるであろう洸汰が頭によぎる。
「洸汰君は俺に任せろ緑谷…!あいつに『宇宙一のヒーロー』を見せてやる…!」
「西村君…!分かった!マンダレイ!洸汰くんなら彼に任せてください!」
「緊急変身、レッドモード、オン!」
コールを受けた英堵の個性因子が活性化し、微粒子状に分解され拡散される。
そして英堵の体の表面に定着し英堵スーツとなるのだ!
「3Sモードオン!」
英堵は3Sゴーグルをかけ不穏な森を駆けていく。
洸汰のひみつきちではローブと仮面をまとった大男が洸汰と話していた。
「景気づけにいっぱいやらせろよ!」
大男は素顔を明らかにし洸汰に近づく。
顔の左に大きな傷があり、左眼は義眼になっていた。
「おまえ…!!パパ…!ママッ…!」
洸汰の両親を殺した敵であった。洸汰に向けて異常に肥大した左腕が振り下ろされる。
「…おいおい、携帯壊れちまったよ。最新機種の耐久性大したことないな…」
赤いスーツの男が洸汰を抱えながらぼやく。
「んん?おまえは…リストにあったな。」
「何で…!!」
「見てな洸汰君…『宇宙一のヒーロー』を…!」
西村英堵の大一番が始まった。
「『宇宙一のヒーロー』とは大きく出たな…西村だろ?
じっくりいたぶってやるから血を見せろ!」
「…赤いスーツ着てるから無理だ」
常人とは思えない速度の右フックが英堵を襲う。
「あ、そうだ。爆豪ってガキはどこにいる?」
唐突に出た友人の名前に英堵は動揺する。
(勝己…!?)
「知らぬ!存ぜぬ!言いませぬ!緊急変身、イエローモード!」
「なら遊ぼう!」(蹴り飛ばしてやる!)
英堵は心を読みなんとか防御するが、その威力に驚愕する。
「俺の"個性"は筋肉増強!筋繊維による速さ!!力!!お前じゃ勝てねえよ!
『宇宙一のヒーロー』だあ!?キレイ事のたまう前に…自分に正直に生きようぜ!!」
敵の左腕が肥大し振り上げられる。
「緊急変身、レッドモード…!」
英堵は回避するためレッドモードに変わろうとするが間に合わない。
こん、と敵の頭に小石がぶつかる。
「ウォーターホース…パパもママも…そんな風にいたぶって殺したのか…!」
涙を浮かべた洸汰が小石を投げたのだ。
「…俺の左眼を義眼にした二人の子供かよ?運命的じゃねえの。」
「おまえみたいな奴のせいでいつもいつもこうなるんだ!!」
「…悪いのは出来もしねえことをやりたがってた…てめェのパパとママさ!!!」
敵の拳の矛先が洸汰に向かう。
「そいつは認めるが、お前も認めろよ!俺が何しようと!」
英堵は右腕を筋繊維に絡ませる。筋繊維に巻き付かれめきめきと骨が折れる。
「で!?何するんだ!?何やっても無駄だろ!?」
「『諦めなければなんとかなる』!『光速拳 ライトニングフィスト』ォォォ!!!」
英堵の体が白く輝く。1秒後、敵は勢いよく壁面にたたきつけられる。
「っ!だー!いってえええ!!!右腕の骨が折れたあああ!!!」
戦いが終わり、英堵の右腕に痛みが走る。
「…行くぞ洸汰君!施設は…」
叩きつけられた壁面から敵がゆらりと立ち上がる。
「…ナンセンス。俺のとっておきだったんですよ?」
「やるなあ西村…!!何が起きたのかはわからねえが…こっからは本気の義眼だ。」
敵の左眼にガチリと義眼がはまる。
「捕まれ洸汰君!!」
洸汰を背負い何とか敵の攻撃を避けれたが、英堵は理解する。
この敵は今まで遊び感覚で殺そうとしていた、と。今は本気で殺そうとしている、と。
「…光多君。俺とこいつがぶつかったら全力で施設に走るんだ。」
「でも、おまえの力じゃ!」
「大丈夫。『正義は絶対勝つ』から。」
英堵は洸汰に向けてにっと笑って見せる。
「行くぞ西村あああ!!!」
「きやがれえええ!!!」
英堵と左手と敵の両腕がぶつかる。
「俺の全力を耐えるやつがいるなんてなあ!」
「勝己のハウザーインパクトに比べりゃぬるいもんだ!」
「最っ高じゃねえか!!血ィ見せろやあ!!」
激しい音と衝撃が渡りに響く。
「『諦めなければなんとかなる!』」
「潰れちまええぇ!!!」
敵は全力で英堵を潰しにかかる。その時、敵の顔に水がかかる。
「やめろォォォ!!」
洸汰のが"個性"を使ったのだ。
「後で殺してやるから待っ…!?」
「『正義は絶対勝つ!!』」
英堵の体が再び白く輝く。
「俺は!!!」
敵の筋繊維が壊れていく。
「嘘だろ…!!!?」
「『宇宙一のヒーロー』になるんだあああ!!!」
英堵の振り抜いた拳が敵の顔面をとらえ吹き飛ばす。敵はピクリとも動かなくなった。
「これにて一件コンプリート…」
「何も…知らないくせに…何でっ…そこまで…!」
洸汰の視界が涙に滲む。しかし、その中でもはっきりと見えるものがある。
「当たり前だろ?だって俺、ヒーローですもん。」
血だらけでボロボロだが、まるで夜明けのように明るく笑う…ヒーローの姿だ。
戦え、西村英堵。超えろ、西村英堵。
Episode17
「緊急変身が…できない!?」
「お前、爆豪勝己だろ?」
「むかつくなあ…そんなに見たいなら…」
「それで見逃してくれるならいいぜ?」
次回、ロスト・エマージェンシー 君のハートにターゲットロック!
補修組の砂藤がいないため非補修組の英堵は緑谷君とペアを組みました。
よかったね、緑谷君。だから洸汰君のヒーローは英堵にするね。
次回、今作のメインストーリーにがっつり関わるオリジナル敵の登場です。
実は過去の話にも登場しているのですが…分かるでしょうか。分かったらすごいです。