先々の事件を踏まえて雄英高校は全寮制に踏み切った。
その説明をするため相澤は家庭訪問を行っていた。
「最後は…西村の家か。」
インターホンを鳴らし扉が開く。そこには…
「ああ、相澤先生ですね。どうぞ上がってください。エイ!先生が来たぞ!」
ネコさんの可愛らしいエプロンを着た
190㎝超、CV稲田徹、ガタイのいい坊主の大男
警視正 弩木井 来牙が出迎えた。
(…いいセンスしているなこの人…)
相澤は一通りの説明をする。
「全寮制ですか…私は問題ないと思います。その方が安全でしょうから。」
「寮生活ってちょっと憧れてたんだよね。」
「エイ、事情が事情だ。軽率な発言はするな。」
「…ごめんなさい。」
あの英堵も来牙の前では大人しくなるようだ。
「先生…お願いがあります。
どうかエイを…『宇宙一のヒーロー』にしてやってください。」
来牙が深く頭を下げる。
「俺からもお願いします…!『宇宙一のヒーロー』になりたいんです…!」
英堵も頭を下げる。
「…生徒の夢を否定する教員はいません。
当の本人もやる気のようですし…最善を尽くします。」
8月中盤になりついに雄英高校の寮『ハイツアライアンス』での生活が始まる。
「西村、轟、切島、緑谷、八百万、飯田…
この6人はあの晩あの場所へ爆豪救出に赴いた。
…オールマイトの引退がなければ俺は爆豪・耳郎・葉隠以外全員除籍処分にしている。」
全員に緊張が走る。
「正規の方法で信頼を取り戻してくれるとありがたい。
以上!さっ!中に入るぞ、元気に行こう!」
重い空気に誰も脚が動かなかった。
「…ロジャー!」
英堵の返事が先陣を切った。
「何皆しょぼくれてんだよ!?一陽来復、帰家穏座!新生活楽しんでいこうぜ!
勝己がお祝いで晩飯に麻婆豆腐振舞ってくれるって言うしよ!」
「ああ!?…っち、しゃあねえな。食えねえ奴は参加すんなよ!
無理して食って体調崩したやつは…ぶっ殺す!」
「「「祝う態度じゃない!!!」」」
英堵と爆豪の活躍により皆に明るい雰囲気が戻る。
一同は寮の設備に目を輝かせる。部屋割りによると英堵は爆豪の隣であった。
「峰田の隣だと色々便利だったんだけど…
勝己の隣もうれしいな!目覚まし爆破頼んでいい?」
「んな物騒なことするか!目覚ましぐらい自分でかけろや!」
「じゃあおやすみ爆破は?」
「永眠させてやろうか西村ぁ!?」
「…やっぱ勝己がいないと寂しいわ。」
「…二度と攫われねぇぐらい強くなるさ。
そしたら…お前は俺に勝てなくなっちまうけどなぁ!西村ぁ!」
「言ったなー!?じゃあ夕飯の麻婆豆腐の豆腐早切りで勝負だ!」
「上等だ!豆腐を切り殺してやる!」
「「…ハハハ!」」
あの救出作戦で二人の仲はさらに良くなったらしい。
あっという間に夜になる。
「いやー…晩飯うまかったし、面白かったなあ。英堵と爆豪の激辛対決…」
「西村くんが最初の段階でギブアップしてたから
実質かっちゃんの激辛耐久だったけどね…」
「相棒が辛いの全くダメってオイラ知らなかったぜ…」
男子たちがワイワイ騒いでる中女子達がお部屋お披露目大会を提案する。
そして英堵の部屋を紹介する番になった。
「俺の部屋は…大したことないぜ?」
そういった英堵の部屋は工具とサポートグッズが並んでいた。
「へー、意外…西村って機械イケるんだ?」
「日々のメンテを明ちゃんに頼むわけにはいかないからなね。
自分でできることは自分でやらなきゃ。」
「ケッ…真っ当なこと言いやがって…どうせ女に会う口実なんだろ?」
一同がグッズを見回る中、英堵の相棒が何かに気付く。
「おーい相棒?なんでクローゼットにダイアル錠なんかかけてんだ?」
「おい!ばか!絶対開けるなよ!?」
「どーせ西村のことだ…誕生日とかだろ?0609…ほら、あい…た…」
中にはMt.レディーのグッズがみっちり詰め込まれていた。
「デク君がオールマイトのファンやったら西村君はMt.レディーのファンやったんか!」
「別に隠す必要はないんじゃないかな、西村くん。
好きなものを好きっていうのは大切なことだよ。」
「緑谷お前最初隠そうとしてたよなあ!?どの口で言ってるんだ!?」
職場体験以降Mt.レディーの大ファンになった英堵はグッズを買いあさっていたのだ。
しかし、Mt.レディーはミッドナイトと並ぶセクシーヒーローである(英堵談)ため
英堵は人目につくところに置くのを躊躇していたのである。
なお、意外性があったため第一回部屋王の一位になったらしい。
就寝前、爆豪救出に参加した6人は梅雨ちゃんに呼び出される。
「私は心を鬼にして辛いい方をしたわ。それでも皆行ってしまったと今朝聞いて…
とてもショックでいろんな嫌な気持ちが溢れて…
みんなと楽しくおしゃべりできそうになかったのよ。」
梅雨ちゃんの目に涙が浮かぶ。
「でもそれはとても悲しいの。
だからまたみんなと楽しくおしゃべりできるようにしたいと思ったの。」
ついに梅雨ちゃんはけろけろ泣きだす。
「何言ってんだよ…!?梅雨ちゃんが謝る必要ないだろ…!?俺達のためを思って…!
泣くぐらい辛い思いをしたって言うのに…!謝んなきゃいけないのは俺の方だ!!!
何が『敵はお前の方だ』だ!!!感情だけで一人突っ走ってみんなに迷惑かけて!!!
俺の方がよっぽど敵だ!!!
本当に…本当にごめん!!!許さなくてもいいから!!!謝らせてくれ!!!」
英堵は大泣きしながら頭を何度も地面につける。
「俺もそうだ!!!もとは俺が言ったからなんだ!!!ほんとすまねえ、梅雨ちゃん!!!」
切島も地面に頭をつけて謝る。
「蛙吹さん!」「蛙吹…すまねえ。」「梅雨ちゃん君!」「あす…ゆちゃん!」
「…これなら大丈夫そうやね梅雨ちゃん。」
「…ケロッ。」
梅雨ちゃんの顔から涙は消え、ケロッとした笑顔が浮かぶ。
明日からはまたヒーローになるための日常が始まる。
戦え、西村英堵。超えろ、西村英堵。
Episode20
「必殺技を考えてもらう。」
「ちょっと…見てもらってもいいですか?」
「俺の"個性"って…何なんでしょう?」
「『破壊拳 ブレイクフィスト』!」
次回、アンレスト・ブレイク 君のハートにターゲットロック!
前回の話からこの話を書くまで罪悪感が半端じゃありませんでした。
本当にごめんね、梅雨ちゃん。