英堵の朝は早い。5:00には目を覚まし、日課のランニングを済ませる。
休日は当然とし平日でも、雨でも雪でもこれを欠かさない。
1時間走り帰宅した英堵はシャワーを浴びる。
無駄な脂肪や筋肉がなく、全身が引き締まった実戦的な体だ。
汗を流した英堵は台所に立つ。
「お。エイか。おはよう。今日から雄英生だな。頑張れよ。」
「おはようございます!来牙さん!今日は目玉焼きの気分です!
ベーコンも食べたいです!」
「はっはっは、エイは欲張りさんだな。
それじゃあ、エイはスープを作ってくれ。俺はコンソメスープの気分だな。」
「分かりました!どーんと行ってみよー!どーん!」
発言の勢いとは裏腹に英堵は手際よくスープを作っていく。
英堵からしてみれば『宇宙一のヒーロー』になるなら
家事もできて当然と思い練習を重ねた。
そのおかげ今では一通りの家事は文字通り朝飯前なのだ。
あれよあれよという間にスープができ、ベーコンエッグができ
ついでにトーストも焼き上がり、朝食が宅に並ぶ。
「いただきます!」
「いただきます。」
こうして英堵の一日が始まっていくのだ。
朝食を終えた英堵は雄英高校の制服に身を通す。
「父さん、母さん…俺、『宇宙一のヒーロー』になるよ…!」
玄関の写真の中で笑う両親に改めて決意を固める。
そして宇宙一のヒーローへの道を歩み出す。
「なるほど…個性を使った体力テスト…!どきがむねむねしますな!」
「なるほど…なら、最下位は除籍だ。"Plus Ultra"さ。全力で乗り越えてこい。」
「えー!?そりゃないっすよ先生!?」
その道が今閉ざされようとしていた。
個性を使った体力テストで最下位を取ってしまったら除籍となる。
除籍となったら当然、『宇宙一のヒーロー』は夢となってしまう。
「…いやいや、艱難辛苦を起死回生!正義は絶対勝つ!緊急変身!レッドモード!」
コールを受けた西村の個性因子が活性化し、微粒子状に分解され拡散される。
そして英堵の体の表面に定着し西村スーツ(西村本人が名付けた)となるのだ!
「フェイスオン!」
50m走
「うおおお!!!」
英堵の高い身体能力に加えレッドモードでは運動能力向上するのだ。
記録は5.50。しかし、上には上がいる。
英堵の前を走った少年のタイムは3.04であり、爆発で飛んだ少年は4.13であった。
英堵に緊張が走る。
握力
「だあああ!!!」
レッドモードで運動能力が向上しているとはいえあくまで運動能力の向上でしかない。よって、特化した個性には劣ってしまうのだ。
とは言え80㎏を超えるのはなかなかの力であると言えるだろう。
立ち幅跳び、反復横跳び、ボール投げ、持久走…
一部反則的な記録を出す生徒(無限、1.2t、28㎞、1973㎝など)もいたが、
英堵は悪くない記録を出していた。
(少なくともあのミドリモジャ君よりは上…ダメだダメだ!
宇宙一のヒーローがこんなことを考えてどうする…!?)
英堵はヒーローらしからぬ邪な考えを振り払う。そして、最下位でないことを祈る。
「ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽。」
「オーマイガッ!アンビリバボー!」
なんと除籍はウソであった。
あまりの衝撃に英堵の口から変な英語が飛び出る。
とは言え、この学校を続けられることに安心を覚える。
明日からの授業に期待を膨らませる。
英堵の雄英生としての初日が終了し下校時間になる。
英堵は自分の髪型とよく似たガラの悪い少年に話しかける。
「よう、ボンバーアーチン君!」
「誰が爆弾ウニだ殺すぞ!?ああ!?
てめぇは…確かスーツ野郎…ってか人のことをウニ扱すんな!
てめぇのほうがよっぽどウニみてぇじゃねぇか!」
「俺、西村英堵!気取らない性格だからエイちゃんって呼んでくれ!」
「人の話聞けよクソウニ!俺にぶっ飛ばされねぇうちに消えろ!」
「なんか…いい!面白いな、爆弾ウニ!
よし、爆弾ウニ、どっちが『宇宙一のヒーロー』になるか勝負だ!」
「だから人の話聞けよ!つーか、この距離でその声でしゃべるな!
うるせえ!あと人をウニ扱いするんじゃねえ!お前もだろうがクソウニ!」
英堵にとって刺激物の様なこの少年はまるで見たことのない存在だった。
興味がわき、どんどん話したくなる…英堵は雄英高校で初めて友情を感じた。
「勝手に友情を感じてんじゃねぇよ!
あと、刺激物のようなって人のことを何だと思っていやがるんだ!?」
雄英高校ヒーロー科も教育機関である。午前中は必修科目や英語等の授業をする。
「おらエヴィバディヘズアップ盛り上がれー!!!」
「ティーチャーマイク…
テニスのスペルはtennisでnが一つ足りていないと思うのですが…」
「オゥ!?マジか!?流石だな、英堵リスナー!俺よりお前が教えた方がいいかもな!」
「ふふ、河童のリバーフロウ、猿も木からフォール、弘法も筆のミステイク…
それだけよくあることです。」
「ハッハッハ!こいつは一本取られちまったな!」
(((なんでついていけてるんだろう…)))
昼は大食堂で一流の料理を安価でいただける。
「やめなきゃいけない…やめなきゃいけないのはわかっているけど…
やめられないよー…!」
「だったら俺が息の根ごと止めてやろうかクソウニ!?
つーか、なんでわざわざ俺の横で食うんだよ!?」
「うーん…何とはなしに?」
「ぶっ殺すぞ!?」
英堵も友人との食事と会話を楽しみ満足そうだ。
「だから勝手に俺を友人扱いするんじゃねぇ!」
戦え、西村英堵。超えろ、西村英堵。
Episode3
「頑張ろうな、ボンバーアーチン君!」
「うるせえぞクソウニ!俺はクソナードをやる!」
「さあ、かかってきなバッドガール。」
「役的にバッドなのはそっちやろ!」
次回、コンバーティブネス・アーチンズ 君のハートにターゲットロック!
評価もらえてうれしいです。
ちなみに西村英堵の名前の元ネタはミステリー作家西村京太郎とティーエードです。
どちらも自分の身近にあったものです。
4/10 追記誤字修正