「この人に敵意はない…失せろ。」
「大丈夫でしたか?」
「ひ、避難に遅れて…」
英堵と緑谷は襲われている大きな獣人の女性を助けていた。
「…怖かったです!」
女性は英堵に抱き着いた。
しかし、英堵は一切表情を崩さなかった。
「…温かい…抱いて寝たらいい夢見れそうです。では、お気をつけて。」
「僕たちが…元に戻しますから…」
英堵と緑谷は女性から去る。
「…でも…明ちゃんの方が温かかったな…」
その頃雄英高校では1-Aの生徒達がある決意をしていた。
「英堵くんと緑谷くんは友だちです。
友人が茨の道を歩んでいるのに明日を笑うことはできません。」
1-Aは英堵と緑谷を連れ戻すことを誓った。
「君たちの手で…連れ戻してあげておくれ。」
校長も彼らを送り出すことにした。突如、扉が開く。
「待ってください…私も…戦わせてください!」
白いパワードスーツに包まれた人物はそう叫ぶ。
英堵と緑谷がダツゴクを捕まえているところに1-Aとパワードスーツの人物は遭遇する。
「心配だから。」
「…心配しないで…離れて…」
「てめぇらは今笑えてんのかよ?」
「…今の俺は"個性"を無効化できる…君たちじゃ勝てない。どいてくれ。」
「どいてよ皆…!」
英堵と緑谷は1-Aの前に立ちふさがる。
「どかせてみせろよ宇宙一様とオールマイト気取りが!!!」
「西村くんと緑谷くんが変わらないのは知っている…やるぞ諸君!」
「英堵さんは私に任せてください!」
パワードスーツの人物が一瞬で英堵を連れ去る。
「…!その声は…」
普段の英堵ならこの奇襲は避けられた。
だが、パワードスーツの人物の声に動揺し対応が遅れた。
「英堵さん!今度は…私が英堵さんを助ける番です!」
その正体は1年サポート科、発目明であった。
「明ちゃん…!やめるんだ…!
いくらパワードスーツがあっても経験の差がありすぎる…!」
発目の攻撃は大振りで英堵にかすりもしない。勢いを殺せず転んでさえいる。
「それでも…それでも英堵さんを助けます!
今の英堵さんを助けられるのは私だけですから!」
何度攻撃を外そうと何度転ぼうと発目は諦めず立ち上がった。
「明ちゃんの…悪いところだ…!わがままで自分勝手で…!」
間違いなく英堵が優勢であった。しかし、動きが悪くなっているのは英堵の方であった。
「なんで…なんでそこまでして俺を助けたいんだ明ちゃん!
俺がいたら君が危ないんだぞ!?」
実際に英堵は美洲華に狙われている。あの性格の美洲華ならいつ来てもおかしくない。
「だって…だって…英堵さんは『私のヒーロー』じゃないですか!」
「私は英堵さんのことが大好きです!優しくて!
ちょっとエッチな目で見てるときもありますけどそれでもかっこよくて!
私を守ってくれるって言った時はとてもうれしかったです!
でも、急にいなくなって!危ないからって!そんなの納得できるわけないじゃないですか!
寂しかったです!怖かったです!英堵さんのことをずっと思っていました!
英堵さんは私のことを思っていなかったんですか!?」
発目の叫びに英堵は応える。
「そんなの…明ちゃんのことを思わなかった時なんてなかった!
死柄木と戦ってるときに3Sスコープが壊された時、明ちゃんが励ましてくれた!
俺が狙われているって知った時は本当に心配だった!
もし明ちゃんが襲われたらどうしようって!
だから俺は全力で戦ってた!明ちゃんを守りたかったから!」
「だったらなんで私の近くにいてくれないんですか!」
「そ、それは…」
英堵は言葉に詰まった。
「私は英堵さんの近くが一番安心します!だって英堵さんは必ず私を守ってくれるから!
もしかして私を守り切る自信がなかったんですか!?ふざけないでください!
『諦めなければなんとかなる』!『正義は絶対勝つ』!
『宇宙一のヒーロー』の英堵さんならできます!それでも不安なら私を頼ってください!
『英堵さんのため』ならどんなベイビーも作ります!それが私の『正義』ですから!」
「明ちゃん…」
「だから…だから戻ってきてください!英堵さん!!!」
「…本当に戻っていいの…?」
英堵は震え声で発目に尋ねる。
「誰が何と言おうと!私は英堵さんに戻ってきてほしいです!」
「…危ないかもしれないよ…?」
「『宇宙一のヒーロー』がいれば大丈夫です!」
「…こんな俺を受け入れてくれるかな…?」
「すべての人が拒もうと私が受け入れます!」
英堵は変身を解除する。
「…!英堵さん…!」
「…戻るよ。俺も…明ちゃんのそばにいたいもん…」
英堵の目には大粒の涙が溜まっている。
「…英堵さんの顔…久しぶりに見ました。」
発目は足元からパワードスーツを外していき、最後に頭部を外す。
「…!明ちゃん…その目…!」
発目の目元は真っ赤に腫れていた。
「…ごめんね!明ちゃん!本当にごめん!!!」
「…う、うわあああん!!!英堵さん!!!」
涙にまみれながら二人は抱き合う。
泣きながら発目が英堵に尋ねる。
「…な、何で泣いてるんですか、え、英堵さん…そんなに、っか、悲しいんですか…」
「なに言ってるんだ明ちゃん…嬉しいに決まってるだろ…」
「だったら…だったら笑ってください。」
「笑う…でも、今の俺は…うまく笑えなくて…」
「…うまく笑えないんですか?そんな時は…おまじないがあります。」
「…!明ちゃん…!」
「「1+1は…にっ!」」
二人の顔に笑顔が戻った。
Episode33
「俺、西村英堵!気取らない性格だからエイちゃんって呼んでくれ!」
「俺はこの学校で色んな困っている人を見てきた!」
「『宇宙一のヒーロー』になるということは!!!」
「緊急変身!!!」
次回、ザ・ベスト・ユニバース 君のハートにターゲットロック!
次回は働きながら考えましたが、思わず泣きかけるぐらい激熱の話です。