時は少し遡り英堵と緑谷が雄英に戻った日の深夜である。
英堵と発目は…えーっと…風呂掃除をしていた。
(本当です!本当に掃除しかしていませんから!)
「…そうだ、明ちゃんにはまだ言ってなかったな。」
「何を言ってないんですか!私と英堵さんの仲です!隠し事はよくないですよ!」
発目は興味津々に尋ねる。
「そうだね。いつか話すつもりだったから話そうか。
俺が『宇宙一のヒーロー』を目指したきっかけを。」
あの日はクリスマスだった。ケーキはチョコケーキがいいって泣いてねだってたな。
「分かった分かった。大きなの買ってやるから。」
「あらあら…変幻自在『曼荼羅』が手も足も出せないなんて…」
「そういう、不壊なる『ダイアモンド』もプレゼントでいっぱいじゃないか。」
どんなヒーローもなく子には勝てないなって笑ってたな。
で、帰ってくる途中にそれは起こったんだ。
「お前…『曼荼羅』と『ダイアモンド』だな?」
サンタのコスプレをして、剣を背負った半魚人みたいなやつが現れてさ。
「…サンタクロースにしては穏やかではないな?」
「…英堵、お母さんから離れちゃだめよ。」
二人の顔が『敵と対峙するヒーロー』の顔になったんだ。
「この子に手は出させん!」
「うるさいなあ…殺すぞ?」
「二人とも逃げるんだ!『ゴリラ・フィスト』!」
父さんは腕をゴリラの腕に『変身』させて殴りかかったんだ。
でも、敵は軽々と避けて父さんの腕を切ったんだ。
「金属に変える判断はよかったが…間に合わなかったなあ?」
父さんの変身は本当に何でもなれるんだ。一瞬で変身できる。
でも、変身から元に戻すときは『自分の体が触れてる場所』からしか戻せないんだ。
肩から金属に変えていたけど…肘から先がなくなってた。
「…っ!」
「そしてもう一つ…ソード『アクアリウス』!」
敵が口から水を吐き出して父さんの頭を貫いたんだ。
「曼荼羅!お前はいろんなものに変身できるが、『頭部』はその限りじゃないらしいな!」
本当は頭部も変えられるんだけど…
変身から戻した後の顔を見て俺が『パパの顔じゃない!』って大泣きしたらしい。
それ以降、頭部の変身は出来なかったんだ。
「…見ちゃだめよ英」
「逃げるなよ?」
母さんは俺を抱えて逃げてたけど…直ぐに敵に追い付かれた。
「…!なんでこんなことをするの!」
「メリークリスマス…いい子のところにプレゼントを渡しに来たのさ。」
随分洒落た言い回しをする敵でね。…今でもクリスマスがちょっと怖い。
「この子に手は出させない!」
「うるさいなあ…殺すぞ?」
母さんは俺をぎゅっと抱きしめた。
母さんは『傷がついた瞬間から修復される』"個性"だった。
誰かを守るのに最適な"個性"だったけど…母さんの抱きしめる力がなくなっていたんだ。
「傷が付かなくても…首が閉まったら意識はなくなるよなあ!」
そして母さんはコロンところがされて…
「メリークリスマス…坊主、プレゼントだ。受け取れ。」
修復を上回る速度で母さんの首を撥ね飛ばしたんだ。
「アッハッハッハ!!!最高のクリスマスだなあ!!!」
高笑いしながら敵はどこかに行ったんだ。
俺は父さんと母さんに駆け寄った…流石に子供でも分かった。
死んでるって。助からないって。
「いやだよ…いやだよ!パパ!ママ!」
「君!?大丈夫か!?」
この時駆け付けてくれた警察の人が…来牙さんなんだ。
「この傷…『修復を上回る剣術』…美洲華か…!」
そう、俺を狙ってる敵…北点美洲華が犯人だったんだ。
「お巡りさん…僕どうすればいいの…パパもママもいなくなって…」
両親を失って絶望した。だから俺はこういったんだ。
「死にたいよ…僕…」
その時、来牙さんが怒ったんだ。
「馬鹿野郎!パパとママが守ってくれた命を無駄にするんじゃない!
『諦めなければなんとかなる』!だから生きるんだ!」
当時の俺には理解できなかった。だから聞いたんだ。
「お巡りさんは何で諦めないの…?もしかして強い"個性"があるからなの…?」
来牙さんは首を横に振ってこう答えたんだ。
「違う。『正義は絶対勝つ』からだ。
どんなことがあっても諦めないで正義を信じる…
それができればどんなことも乗り越えられるさ。」
この姿に憧れて俺は警察官になろうと思ったんだ。
「…ちょっと待ってください…」
発目は泣きながら英堵に質問する。
「…『宇宙一のヒーロー』じゃないんですか…?」
「まあまあ、ここからが大切だから。話を戻すよ。」
来牙さんが俺を育てるようになったある日、俺は来牙さんに言ったんだ。
「俺、来牙さんみたいな警察官になる!」
「ほう…どうしてだ?」
俺は胸を張って答えた。
「来牙さんみたいに困っている人を助けたいから!」
来牙さんは楽しそうに笑ってくれたよ。
「はっはっは。それは嬉しいな。だがな、エイ…それは違う。」
でも、すぐに真面目な顔になった。
「困っている人を助けるのは『警察』の仕事じゃない…『ヒーロー』の仕事だ。」
「ヒーロー…来牙さん。俺、ヒーローになれるかな…?」
そしたら来牙さんはにっと笑って答えてくれた。
「なれるさ。しかもただのヒーローじゃない。」
「『宇宙一のヒーロー』になれるさ。」
嬉しかったね。そしてこうも言ってくれた。
「そうだな…ヒーローになるには…まず笑顔の練習だな。
笑顔のヒーローを見たらなんとかなるかもって思えるからな。」
「笑顔…どんな笑顔がいいかな…」
「悩んでいるな。…うまく笑えない時のおまじないを教えよう。」
…これはもう明ちゃんも知ってるよね。
「『1+1は…にっ!』…こうやって笑うんだ。」
「おかげで俺はこうやって『宇宙一のヒーロー』に」
「英堵さあああん!!!」
「うひゃあ!?」
発目は大泣きしながら英堵に抱き着く。
「なれます!英堵さんは『宇宙一のヒーロー』になれます!」
「ははは…もうなってるけどね…」
英堵は困ったように笑った。
「でも…」
「でも?」
「こういう時に…『こういう反応』するのはよくないと思います…」
発目は何かに気付く。
「その…明ちゃんがかわいいから?」
「…もう少し掃除したいです…」
「…そうだね。まだ…あるからね、『衛生用品』。」
Episode36
「英堵くん!お久しぶりです!」
「久しぶりだなあ!兄弟子!」
「俺は…君を助ける!」
「俺は…お前を止める!」
次回、モータル・エイド 次回、君のハートにターゲットロック!
英堵の過去回です。このあたりで挟まないとちょっとまずいので。
三話連続こういうオチにしたのには理由があります。
本編だけだと重すぎるからです。重い話の後にはこういう話がしたくなるものです。
にしてもまだイチャついてますねこの二人。二人のベイビーができるのも時間の問
「小説家神剣狩刃…今回はデリート不許可だ。俺も発目ちゃんとベイビー作りたい。」
「え、英堵さん…///それは大人になってからでお願いします…///」
「なあ爆豪…どうしてオイラの相棒はああなっちまったんだ?」
「てめぇの胸に手ぇ当てて考えろや。」
「どの本のせいだ…?」
「全部だよブドウ球菌!」
R18編いる?
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いる
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いらない