緊急変身 ヒーローアカデミア   作:神剣狩刃

35 / 79
Episode35 ブラッディー・メモリー

時は少し遡り英堵と緑谷が雄英に戻った日の深夜である。

英堵と発目は…えーっと…風呂掃除をしていた。

(本当です!本当に掃除しかしていませんから!)

 

「…そうだ、明ちゃんにはまだ言ってなかったな。」

「何を言ってないんですか!私と英堵さんの仲です!隠し事はよくないですよ!」

発目は興味津々に尋ねる。

「そうだね。いつか話すつもりだったから話そうか。

俺が『宇宙一のヒーロー』を目指したきっかけを。」

 

あの日はクリスマスだった。ケーキはチョコケーキがいいって泣いてねだってたな。

「分かった分かった。大きなの買ってやるから。」

「あらあら…変幻自在『曼荼羅』が手も足も出せないなんて…」

「そういう、不壊なる『ダイアモンド』もプレゼントでいっぱいじゃないか。」

どんなヒーローもなく子には勝てないなって笑ってたな。

で、帰ってくる途中にそれは起こったんだ。

 

「お前…『曼荼羅』と『ダイアモンド』だな?」

サンタのコスプレをして、剣を背負った半魚人みたいなやつが現れてさ。

「…サンタクロースにしては穏やかではないな?」

「…英堵、お母さんから離れちゃだめよ。」

 

二人の顔が『敵と対峙するヒーロー』の顔になったんだ。

 

「この子に手は出させん!」

「うるさいなあ…殺すぞ?」

 

「二人とも逃げるんだ!『ゴリラ・フィスト』!」

父さんは腕をゴリラの腕に『変身』させて殴りかかったんだ。

でも、敵は軽々と避けて父さんの腕を切ったんだ。

「金属に変える判断はよかったが…間に合わなかったなあ?」

 

父さんの変身は本当に何でもなれるんだ。一瞬で変身できる。

でも、変身から元に戻すときは『自分の体が触れてる場所』からしか戻せないんだ。

肩から金属に変えていたけど…肘から先がなくなってた。

 

「…っ!」

「そしてもう一つ…ソード『アクアリウス』!」

敵が口から水を吐き出して父さんの頭を貫いたんだ。

「曼荼羅!お前はいろんなものに変身できるが、『頭部』はその限りじゃないらしいな!」

 

本当は頭部も変えられるんだけど…

変身から戻した後の顔を見て俺が『パパの顔じゃない!』って大泣きしたらしい。

それ以降、頭部の変身は出来なかったんだ。

 

「…見ちゃだめよ英」

「逃げるなよ?」

母さんは俺を抱えて逃げてたけど…直ぐに敵に追い付かれた。

「…!なんでこんなことをするの!」

「メリークリスマス…いい子のところにプレゼントを渡しに来たのさ。」

随分洒落た言い回しをする敵でね。…今でもクリスマスがちょっと怖い。

 

「この子に手は出させない!」

「うるさいなあ…殺すぞ?」

 

母さんは俺をぎゅっと抱きしめた。

母さんは『傷がついた瞬間から修復される』"個性"だった。

誰かを守るのに最適な"個性"だったけど…母さんの抱きしめる力がなくなっていたんだ。

 

「傷が付かなくても…首が閉まったら意識はなくなるよなあ!」

そして母さんはコロンところがされて…

 

「メリークリスマス…坊主、プレゼントだ。受け取れ。」

 

修復を上回る速度で母さんの首を撥ね飛ばしたんだ。

「アッハッハッハ!!!最高のクリスマスだなあ!!!」

高笑いしながら敵はどこかに行ったんだ。

 

俺は父さんと母さんに駆け寄った…流石に子供でも分かった。

死んでるって。助からないって。

「いやだよ…いやだよ!パパ!ママ!」

 

「君!?大丈夫か!?」

この時駆け付けてくれた警察の人が…来牙さんなんだ。

「この傷…『修復を上回る剣術』…美洲華か…!」

そう、俺を狙ってる敵…北点美洲華が犯人だったんだ。

「お巡りさん…僕どうすればいいの…パパもママもいなくなって…」

両親を失って絶望した。だから俺はこういったんだ。

 

「死にたいよ…僕…」

その時、来牙さんが怒ったんだ。

 

「馬鹿野郎!パパとママが守ってくれた命を無駄にするんじゃない!

『諦めなければなんとかなる』!だから生きるんだ!」

当時の俺には理解できなかった。だから聞いたんだ。

「お巡りさんは何で諦めないの…?もしかして強い"個性"があるからなの…?」

来牙さんは首を横に振ってこう答えたんだ。

 

「違う。『正義は絶対勝つ』からだ。

どんなことがあっても諦めないで正義を信じる…

それができればどんなことも乗り越えられるさ。」

この姿に憧れて俺は警察官になろうと思ったんだ。

 

「…ちょっと待ってください…」

発目は泣きながら英堵に質問する。

「…『宇宙一のヒーロー』じゃないんですか…?」

「まあまあ、ここからが大切だから。話を戻すよ。」

 

来牙さんが俺を育てるようになったある日、俺は来牙さんに言ったんだ。

「俺、来牙さんみたいな警察官になる!」

「ほう…どうしてだ?」

俺は胸を張って答えた。

 

「来牙さんみたいに困っている人を助けたいから!」

来牙さんは楽しそうに笑ってくれたよ。

「はっはっは。それは嬉しいな。だがな、エイ…それは違う。」

 

でも、すぐに真面目な顔になった。

「困っている人を助けるのは『警察』の仕事じゃない…『ヒーロー』の仕事だ。」

「ヒーロー…来牙さん。俺、ヒーローになれるかな…?」

そしたら来牙さんはにっと笑って答えてくれた。

「なれるさ。しかもただのヒーローじゃない。」

 

「『宇宙一のヒーロー』になれるさ。」

 

嬉しかったね。そしてこうも言ってくれた。

「そうだな…ヒーローになるには…まず笑顔の練習だな。

笑顔のヒーローを見たらなんとかなるかもって思えるからな。」

「笑顔…どんな笑顔がいいかな…」

「悩んでいるな。…うまく笑えない時のおまじないを教えよう。」

…これはもう明ちゃんも知ってるよね。

 

「『1+1は…にっ!』…こうやって笑うんだ。」

 

「おかげで俺はこうやって『宇宙一のヒーロー』に」

「英堵さあああん!!!」

「うひゃあ!?」

発目は大泣きしながら英堵に抱き着く。

 

「なれます!英堵さんは『宇宙一のヒーロー』になれます!」

「ははは…もうなってるけどね…」

英堵は困ったように笑った。

 

「でも…」

「でも?」

「こういう時に…『こういう反応』するのはよくないと思います…」

発目は何かに気付く。

 

「その…明ちゃんがかわいいから?」

「…もう少し掃除したいです…」

「…そうだね。まだ…あるからね、『衛生用品』。」

 

Episode36

「英堵くん!お久しぶりです!」

「久しぶりだなあ!兄弟子!」

「俺は…君を助ける!」

「俺は…お前を止める!」

次回、モータル・エイド 次回、君のハートにターゲットロック!




英堵の過去回です。このあたりで挟まないとちょっとまずいので。

三話連続こういうオチにしたのには理由があります。
本編だけだと重すぎるからです。重い話の後にはこういう話がしたくなるものです。

にしてもまだイチャついてますねこの二人。二人のベイビーができるのも時間の問

「小説家神剣狩刃…今回はデリート不許可だ。俺も発目ちゃんとベイビー作りたい。」
「え、英堵さん…///それは大人になってからでお願いします…///」
「なあ爆豪…どうしてオイラの相棒はああなっちまったんだ?」
「てめぇの胸に手ぇ当てて考えろや。」
「どの本のせいだ…?」
「全部だよブドウ球菌!」

R18編いる?

  • いる
  • いらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。