「雄英体育祭が迫っている!」
「ユーエイハイスクールスポーツデイ!」
敵襲撃から数日がたち身も心もまだ休まり切らぬ中
生徒たちに報告されたのは青春の匂いだった。
雄英体育祭。
かつてのオリンピックに代わりスポーツの祭典とも呼ばれる。
ただの学校行事にとどまらず、全国のトップヒーローもスカウト目的で見るほどである。
二週間後に控えた祭典に向けてそれぞれ準備を始める。
そして時間はあっという間に過ぎ体育祭が始まる!
「せんせー…俺が一位になる!」
「待ってました豪チン君!相変わらずツンツンだね!よっ、1-Aの性格特別指定凶悪犯!」
「縁起でもねぇ略称作ってんじゃねぇぞクソウニ!
あと人を勝手に犯罪者扱いするんじゃねぇ!」
爆豪の大胆不敵な選手宣誓が終わり第一種目が障害物競走に決まる。
計11クラスが外周約4㎞のコースを回る。
コースさえ守れば何をしたって構わないという。
「それじゃあさっそく…緊急変身、レッドモード!」
コールを受けた英堵の個性因子が活性化し、微粒子状に分解され拡散される。
そして英堵の体の表面に定着し英堵スーツとなるのだ!
「フェイスオン!」
スタートと同時に轟が足元を凍らせる。
難なく避けた英堵だが、轟によって凍らされたロボインフェルノが倒れてくる。
英堵は臆することなく両手を合わせて指先を向ける。
「ハイブリッドマグナム!ストライクアウト!」
指先から大きなエネルギー弾が発射されロボを打ち抜き爆発する。
「これにて一件コンプリート…なんて決めてる場合じゃないよな!次の関門は…」
落ちたらアウト、命がけの綱渡り…ザ・フォールであった。
「うっそー!?俺の個性そこまで活躍しないじゃん!?」
いくら身体能力向上しているとはいえ綱の上を走るのは不可能である。
できるとすれば猿が木から木に移るように綱を渡るぐらいである。
「フフフフフフ来たよ来ましたアピールチャンス!」
傲岸不遜な笑い声に思わず英堵は振り返る。
そこにいたのは…ありとあらゆる機械を体にまとった少女であった。
「おっ、おおお…!!!」
「さあ見てできるだけデカい企業ー!!」
少女は胸部からワイヤーを射出し向こう岸へ差し込む。
「私のドッ可愛いぃ…ベイビーを!」
ワイヤーを巻きながら飛び込み、足部から空気を放ち見事着壁する。
「か、かっけー!!!俺もああいうの欲しい!!!」
英堵は少女の一連の動作に一目惚れしてしまったのだ。
「こうしちゃいられねえ!あのドッカワちゃんとデートの約束をしなきゃ!
うおおお!!!待っててねドッカワちゃん!おすすめの焼肉屋紹介してあげるからね!」
「簡単に追い付けたな、ドッカワちゃん!」
「おや!私のことでしょうかピンクの人!」
いつの間にかピンクモードになった英堵はドッカワちゃんと交渉を開始する。
「なあなあ!ドッカワちゃん!俺と組まない!?」
「フフフフ…いいでしょう!私はサポート科の発目明!
ピンク色の人!あなたのことは知りませんが立場利用させて下さい!!」
数秒で決まる即決であった。
「よし!順風満帆!緊急変身、レッドモード!それじゃ、発目ちゃんは俺につかまってて!」
「おお!今度は赤色の人になりました!よいしょ…これでいいでしょうか!」
「おっ…!?意外と…あるな…!?」
様々な武装をした発目は意外と重く気安く背負った英堵も驚きを隠せない。
だがそれ以上に驚いているものがある。
それは背中に当たっている発目の胸部装甲である。
英堵は様々な機械に目を奪われて気が付かなかったのだが、発目は『ある』人間なのだ。
「どうしたのですか赤色の人!早くしないとおいていかれてしまいますよ!」
「…っと、そうだよな!一気に行くぜ!!!」
英堵は綱の上を走り出す。恋は人を動かす。不可能すら可能にしてしまったのだ。
「おお!すごいですね!流石に今の私のベイビーではここまで早く動けません!」
「でしょ!だから体育祭が終わったらデー…」
爆発音に会話がさえぎられる。最終関門の地雷原に到着したのだ。
「これはどうやって攻略しましょうか、赤色の人!」
「なーに、こうするのさ!どーんといってみよー!どーん!」
英堵は地面に向けてレッドマグナムを乱射する。たちまち地雷は爆発していく。
「どーん!どーん!どーん!!!」
「おお、遠距離攻撃で地雷を処理してしまうのですね!流石です!」
「狡兎三窟、明哲保身…プロとして当然だな。」
処理した地雷原を一気に駆け抜けていく。ゴールが見える。
勢いそのままに駆け込もうとした英堵だったがゴール目前で油断してしまった。
足元からカチリと嫌な音が聞こえる。処理しそびれた地雷があったのだ。
どーん!と爆発し体が宙を舞う。
「おおお!?これも作戦ですか赤色の人!?」
「んなわけあるか!っ!危ない!」
英堵は咄嗟に発目を庇いながら地面を転がる。
「…大丈夫か!?」
「…流石ヒーロー科ですね!私もベイビーも無傷ですよ!」
英堵は一安心する。だが、次の一声でその安心は消え去る。
「オイオイ!見せつけてくれるじゃねえか!
人生のゴールも決めちまったのか!?そういうのはプライベートでやってくれよ!」
第三者から見ればいつの間にか変身が解けた英堵が下からドッカワちゃんに抱き着き、
密着している状態になっているのだ。
「あっ!いや、その…これは…!」
英堵はすぐさま立ち上がり誤解を解こうとするが…
「やりましたよ!私たちゴールしましたよ、赤色の人!
あれ、いつの間にか赤色の人じゃなくなってますね!ウニ髪の人になりましたね!」
ドッカワちゃんが英堵に抱き着いて喜ぶ。観客席から黄色い歓声が沸き上がる。
「うえええ!?あ、いや、えっとこの子のベイビーのおかげです!」
慌てた英堵は訳の分からないフォローをしてしまう。
寄りにもよって一番まずい言葉を選んでしまった。
「「「「「ベイビー!?」」」」」
「オイオイ!?ちょっとそれは問題発言じゃねえか!?英雄色を好むにもほどがあるぜ!?」
「おい、西村。話がある。後でこい。」
英堵の体育祭の幕開けは波乱万丈のものとなった。
果たして英堵は無事に体育祭を終えられるのか。
戦え、西村英堵。超えろ、西村英堵。
Episode6
「君と組むぜ、緑谷君!」
「私も一緒ですよ1位の人!」
「やばい…!取られる…!」
「今のは一体…何だ…?」
次回、ピース・オブ・ブレイク 君のハートにターゲットロック!
メインヒロインは発目明でした。
恋愛描写に関してはあまり自信がありませんが、頑張ります。
4/10追記 誤字修正