「…というのが俺のやってきた経緯だ。」
平行世界の英堵の惨劇に一同は涙を流す。
「すまなかった…!俺が不甲斐ないばかりに…!エイに迷惑をかけてしまった…!」
「来牙さんは悪くないわよ…!悪いのは美洲華と真利名と鹿角よ…!」
「同感だあ…!絶対に許さねえ…!」
「美洲華くんは悪くないです…!ああ、ややこしいです…!」
「まーま、まーま…」
「もごごご…もごごごご…!」
「明ちゃん…!寿司食ってからなんか言ってくれ…!分からねえよ…!」
平行世界の英堵が宥めて、落ち着きを取り戻した一同は今後について考える。
「うーん…明ちゃん、何日徹夜したら平行世界へ移動できる機械を作れる?」
「信頼してくれるのは嬉しいですが無理ですね!
どんな理論で平行世界を観測して、移動するのか全く分かりません!」
流石の発目と言えど、無理なものは無理なようだ。
「発目ちゃんが無理なら他のサポート科の子も無理ね…」
「兄弟子、彫巣さんに頼んで霊道の力を借りるのはどうだ?」
「改心した私達ならともかく、去年みたいなことする人は無理だと思います。」
「だろうな。俺としても奴の力を借りたくはない。だが…」
「むー…」
八人寄ってもいい知恵は出なかった。
平行世界の英堵がにっと笑った。
「まあ、考えても出ない時は出ないです。だったら…クリスマスパーティーを再開しましょう。
俺の分のグラス用意してもらってもいいですか?久々に楽しみたいです。」
こちらの世界の英堵が困惑しながら準備する。
「寿司7人前しか用意してませんよ?そっちの俺の分まであるかどう」
再びピンポンとインターホンが鳴る。
「わーたーしーが…今年もやってきた!良い子の皆にプレゼントだ!」
モニターにはトナカイの格好をしたオールマイトがいた。
「オールマイトおじちゃんです。折角ですし何か買ってきてもらいましょう。」
「いいわね。トナカイの格好をしているからちょうどいいわ。」
「トナカイ同士で買い物に行くのも悪くないな。俺が行ってきます。」
「兄弟子、カルビ頼む。もっと食いたい。」
「私の分もお願いします!カルビのお寿司も悪くないですね!」
「…あの人元No.1ヒーローで、雄英の教員なんだよな…?」
「ええー!?!?!?平行世界の西村少年んんん!?!?!?」
買い出しから帰ってきたオールマイトはリビングに入って大いに驚いた。
「そんなことがあったのか…!辛かっただろう…!いっぱい食べるといい…!」
そして、平行世界の平行世界の英堵の話を聞いて大いに涙を流した。
「うるさいなあ…カルビ買ってきてくれたから許す。」
「お寿司ではなくてカルビ丼になりましたね!でもおいしいです!」
「どの店も混んでいてな…近くの牛丼屋で買ってきたんだ。」
「おいしいけれど…これを楽しめなくなる時が来ているのね…」
「そういやミッドナイト先生って三十」
「女性に年齢の話はダメだぞ俺。…俺も気を付けないとな…」
「平行世界の英堵くんは…20代後半ですね。ケアは若いうちからです。」
「うー…くー…」
オールマイトのおかげで盛り上がったクリスマスパーティーもお開きになる。
一同は就寝準備に入る。
「それではおやすみなさいです。…芽楼ちゃんがいるからほどほどにしてくださいね。」
「兄弟子と英堵、お前らに言ってるんだからな?」
「大丈夫です!防振に防音道具はいっぱい持ってきましたから!」
「流石ね、発目ちゃん。内申点にサービスしておくわ。」
「睡さん…警察官の前で堂々と不正発言をしないでください…」
その時、こちらの世界の英堵が発目に頼みをした。
「あー、それなんだけどさ明ちゃん…そっちの俺と一緒に寝てくれない?」
発目はぎょっとした顔で驚いている。
「なぜですか!?私今日を楽しみに」
「そっちの俺は…もう明ちゃんと寝れないから…今日だけは、ね?」
発目はハッとして平行世界の英堵を見た。
「…いいかな、明ちゃん?」
涙を湛えながら頼む平行世界の英堵をみて、発目は力強く頷いた。
「…世界が違っても英堵さんです。いいですよ。」
「…ありがとう、明ちゃん。」
発目は平行世界の英堵と一緒にベッドに入る。
「…抱き着いてもいい?」
「いいですけど…エッチなことはダメです。私の英堵さんに申し訳ないですから。」
「ちょっと期待してたんだけどな…」
平行世界の英堵が発目と向かい合い、抱き合う。
「…温かい…温かいよ…明ちゃん…」
平行世界の英堵が大粒の涙を流しながら抱きしめる。
「…大変でしたね。今は…私に甘えていいですから。」
発目は幼子をあやすように彼の頭を撫でる。
「明ちゃん…!守れなくてごめん…!俺が弱いせいで…!」
彼は発目の胸の中で声を上げて懺悔する。
「大丈夫ですよ。私はここにいますから…」
「…ごめんね!明ちゃん!本当にごめん!!!」
その叫びは、二人だけにしか聞こえなかった。
翌朝、リビングにやってきた二人にこちらの世界の英堵が駆け寄る。
「ヤってないだろうな!?俺は気になって一睡もできなかったんだよ!?」
「大丈夫です。こちらの英堵さんを裏切るようなことはしていません。」
「安心しろ俺。寝てきたらどうだ?」
平行世界の英堵の笑みに、こちらの世界の英堵が吠える。
「気が気じゃないから寮に行って寝るよ!行くよ、明ちゃん!」
こちらの世界の英堵が発目の手を引いて行く。
「平行世界の英堵さんはこの家にいてくださいね!説明が大変ですから!」
慌ただしく出て行く二人を平行世界の英堵は見送った。
「うるさいなあ…芽楼ちゃんが起きちゃうだろ…」
「でも、そろそろおっきの時間です。芽楼ちゃん、おはようございます。」
「んー…ぱあー…」
下りてきた三人家族に平行世界の英堵は質問する。
「来牙さんとミッドナイト先生は?」
美洲華とトガちゃんが気まずそうな顔をして口を開く。
「…多分、降りてこないです。降りてこれないが正しいかもしれません。」
「お盛んだなあ…防音突き破ってたぜ…」
「あー…なるほどね?」
何があったのかは皆の想像にお任せしよう。
家を出た英堵と発目は雄英高校に向かっていた。
「俺だって楽しみにしていたんだよ…3-Aのクリスマスパーティ蹴ったのに…」
「事情が事情なので仕方ないですよ。…この埋め合わせはあとで」
「なんで僕が雄英に入れないんですか!?制服も生徒手帳もありますよ!?」
「いや…何でだろうね…?本物なんだけどなあ…」
校門の前で警備員と雄英の制服を着た赤い坊主の少年が揉めていた。
「おっと…一年生かな?ちょっと話してくるね、明ちゃん。」
「はい!『宇宙一のヒーロー』としてズバッと助けちゃってください!」
英堵は少年に向かって駆けだし、声をかける。
「よう、一年!それぐらいで雄英の門はくぐれな」
「僕は小さいけれど三年生の先輩だよ!ほら!」
少年が突きつけてきた生徒手帳には三年生と書いてあった。
しかも、3-Aと書いてあった。英堵は動揺が隠せなかった。
「えっ!?嘘だろ!?でも…本物の手帳だ!?」
しかし、名前の欄に書いてあるのは全く見知らぬ名前だった。
「『相心創』…!?」
「そうだよ!"創造"と"想像"カップルの『相心創』だよ!」
自分で言うのも何ですが、面白くなってきましたね。
彼が誰か知らない方は、私の作品を今すぐ読んでくださいね。