緊急変身 ヒーローアカデミア   作:神剣狩刃

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Ex Special3 クロス・ヒーローズ part12

英堵の体は七色に、いや、極彩色に輝くスーツに包まれていた。

 

「遠く遍く数多の世界にも…『宇宙一のヒーロー』が来た!

エイドモード『ザ・ベスト・オブ・ユニバース』!」

そして、本来の英堵は九玉に向けて指を差す。

 

「お前は倒さない…助けてやるぜ!」

その言葉に、九玉は反応した。

「…助けるだと…?戯言を抜かすな!」

九玉は高く飛びあがり、紅白の翼を広げた。

 

「これで終わりだ!『破壊の渡烏』!」

羽のようなエネルギー弾の豪雨が降り注ごうとしていた。

「ユニバース・マグナム!」

本来の英堵が両手を銃のように構える。

 

指先から虹色のエネルギー弾が連射される。

空中で羽と相殺し、虹色の爆発が起こる。

「へへっ、ちょっと目に優しくない花火だな!」

「これは防げまい!『壊滅の連閃』!」

九玉が連続で剣を振るう。凄まじい爆発が立て続けに起こる。

 

「『防御拳 バリアフィスト』!」

本来の英堵が突き出した拳から、虹色に輝く半透明の壁が出現する。

「さっきそれで防げなかったじゃな」

不安がる塩導に反し、爆発が虹色の壁を砕くことはなかった。

 

爆発を防がれた九玉は、苦しそうに言葉を吐きだす。

「猪口才な…!だが、地上にいる限りはどうにも」

「だったら飛べばいい!不可能を可能にしちまうのがヒーローなのさ!」

本来の英堵は背中から七色に輝く翼を生やし、空へ駆けた。

 

「意外とうまくいくもんだな!今度明ちゃんに作ってもらうか!

全く経験のない動きだが、本来の英堵は難なく飛んでいる。

「付け焼刃の翼で飛べるものか!イカロスのように落ちろ!」

「この羽は溶けないぜ!俺の心よりも熱くならないとな!」

本来の英堵と九玉が空中でぶつかり合う。

 

地上にいる一同は戦いの行く末を見守っている。

「早く止め差しなさいよ!早く帰りたいんだから!

「素手と剣ではリーチの差がある…攻めるのは難しいだろう。」

「でも、下手に手出ししたら、西村さんの足手まといになっちゃう…」

「しかし、射撃で援護しては…西村さんに当たってしまうかもしれませんわ。」

「だったら、こうすりゃいいだろ!英堵ぉ!こいつを受け取れ!」

 

土口が叫びながら、空に向かって愛刀ティラミスを投げる。

「ティラミスは『私を高みに登らせて』だ!『宇宙一のヒーロー』にピッタリだろ!」

それに気づいた英堵は翼を翻し、一気に刀を右手に取る。

「サンキュー精!行くぜ…『至高剣 ユニバースブレード』!」

 

左手を刀身にかざしていくと、虹色に輝くの剣になった。

「これで差は無くなったぜ、九玉!」

「あとで元に戻せよ!?一番隊で支給される奴じゃなくてオーダーメイド品だからな!?」

「悉く理を超えて…!我を侮辱する気か…!」

 

空中で二人の剣がぶつかり合う。虹色の火花が散り、爆発が起こる。

「理を守ることがそんなに大切なのかよ、九玉!?」

「そうだ…!理を超えた者は、必ずその身を亡ぼす…!」

九玉が理への執着を語る。

 

「我は数多の世界を見てきた…そのすべてが過ぎた力によって滅んでいった…

我の力ではどうすることも、助けることも出来なかった…!

だから我が理となって…世界を止める必要があるのだ!」

「そいつは間違っている!本当に正しい理なら、助けることができるはずだ!」

本来の英堵が九玉の間違いを正す。

 

「一人ができる事なんて、限られている!どれだけ強くても、どれだけ正しくてもだ!

だから人は助け合うんだ!一人の力が小さくても、集まれば出来ることがたくさんある!

大勢の人を、大切な誰かを、世界を助けることもきっと出来る!」

 

その言葉に九玉の剣が激しく唸る。

「黙れ!私こそが理だ!死んで理の内に消えろ!」

「それはお前の独り善がりの理に過ぎない!たった一人で、神様気分になったお前の理に過ぎない!」

「黙れ黙れ黙れ!我は理のために全てを捨てた!過去も、体も、我自身も!」

「捨てちゃいけないものまで捨てたから、お前の理は間違っているんだよ!

夢も!希望も!大切な人も!世界も!全部守って正しい理なんだよ!」

 

「ならば!!!貴様を『理』の内に『収めて』やる!!!『破壊の理』!!!」

九玉の剣が空を焼くように紅く輝く。

「だから!!!お前を『理』から『助けて』やる!!!『ユニバース・スラッシュ』!!!」

本来の英堵の剣が空を覆うように虹色に輝く。

 

「西村英堵おおお!!!」

「九玉ううう!!!」

二人の剣が交わり、虹色の閃光が走る。

 

九玉の剣が粉々に砕けて地面に落ちる。

「馬鹿な…我の理は…間違っていたのか…」

「お前の負けだ。お前を縛っていた理から…解放してやる。」

本来の英堵が剣を軽く振り払う。九玉の鎧がバラバラになり、九玉の素顔が明らかになる。

 

脳無特有の黒い肌は全身『破壊拳』で砕かれながら、"超再生"で修復されている。

ふくらみのある臀部と胸部は、素体となったのが女性であるからだろうか。

そして荒れるように伸びた赤い髪から、紫の瞳が見えた。

 

「…意外と美人じゃねえか。でも、どっかで見覚えがあるような…」

「…殺せ。もはや我が生きる意味などない。」

その言葉を聞いて、本来の英堵の左手が虹色に輝く。

「…『至高拳 ユニバースフィスト』!!!」

その拳が九玉を貫く。九玉の体の破壊が収まる。

 

「…なぜ助ける?我は死を望んで」

「死んで助かるなんてあるわけないだろ。それに…

だって俺、『宇宙一のヒーロー』ですもん。

あんたを助けたいから助けたんだ。」

その言葉を聞いて、九玉は力なく笑う。

 

「…理不尽だな…ああ、全く理不尽だよ…」

「さて…何か下が騒がしいな…降りて色々話をするぞ。」

 

九玉を抱きかかえながら本来の英堵が下り、変身を解いた。

「見ろよ、結構な美人さん」

「終姉さんじゃないですか!?」

「もしかして終さんが脳無にされたのですか!?」

創と八百万は変わり果てた知人の姿に驚愕していた。

 

事情を知らない塩導と土口は首をかしげる。

「…誰?土口、あんた知ってる?」

「いや…知らねえ。少なくとも抱いた女の中にはいねえ。」

「平行世界にいる横暴ドM人妻だ。」

そんな二人に、平行世界の英堵が説明をする。

 

「…アタシでもドン引きね。というか敵じゃないのその人?」

流石の塩導も頭を抱えてため息をついた。

「横暴ドM人妻…!NTRプレイができるじゃねえか…!」

対し土口は目を金色にキラキラ輝かせていた。

 

九玉の話によると、

最初は平行世界の創と共に鹿角の手下をやっていた。

しかし、行き過ぎた秩序に疑念を抱き離反、

改造されて得た"個性"『世界移動(ワールド・シフト)』を使い逃亡した。

数多の世界で学び、世界を救おうと奮闘するも、力不足で救えなかった。

 

その中で葛藤し、『自身が理』になることを選んだ。

そして並外れた力をつけ、諸悪の根源である鹿角の秩序を壊そうとしていた。

そこでちょうど一同と出会い、理を超えた存在を倒すために戦った。

 

九玉の壮絶な過去と経緯に一同は同情した。

「平行世界の僕に殺され、自分を失って、間違った秩序に協力させられた…」

「あまりにもひどすぎますわ…」

「…平行世界を救う…やっぱり一筋縄じゃ行かないことだよな。」

「あんたも訳アリだったのね。アタシの所で引き取ってもいいわ。」

「遠藤ちゃんの所は止めた方がいいんじゃないか?でも、どこで引き取るか…」

 

「だったら…俺と一緒にこの世界に平和を取り戻さないか?」

平行世界の英堵が九玉に向かって手を伸ばす。

「俺一人ではどうにもならないが…お前がいてくれると心強い。」

「…そうだな。我も人の力を学ぶいい機会になるだろう。」

九玉がその手を握った。

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