目指せ人生一発逆転~アラサーがネット小説書いてみた 作:kuroe113
ネット作家あるある
一日一更新しようとして挫折する。
「うおおおぉぉぉおおっ~~! 唸れ指先ぃ!! 俺ならできるううぅぅぅっ!!」
狭い部屋のなか。一人の男が
さて、この
答えは、僕だ!
さて、どうしてこんなことをしているのかといえば……。
執筆に疲れました。
疲れたから、大声を出して自分で自分を
「うるさい!」
その声は部屋の外にまで響いていたらしい。
妹に怒られた。
皆さん。
自己応援は
こんな常識的なことですら、守れない痛い大人というレッテルを張られますよ。
そう、僕みたいに。
「もう、短編のネタきれた。
なんもアイディアが思いつかないぞ」
日間ランキング一位を獲得するって決めたのに。
疲れ切った僕には休息が必要だった。
「仕方がないな。
長編を先にやろう」
ここに
Kore117
もう短編飽きた、長編書きます。
読み専1
まぁ、金貰ってるわけでないんやし、いいんでない。
読み専2
自分で言っといて即座に手のひら返すとかWw。
読み専3
読み専4
認めろよ、あんたも俺たちと同じ三日坊主であるってことをよ!
読み専5
少なくとも、毎日ここで更新してる時点で三日坊主ではないやろ、プ-クスクス
読み専6
ああ、やんのか。
読み専7
5,6。お前ら落ち着けよ。
読み専8
それでどこまでできたん。
Kore117
今設定を練ってるとこ。大体ノートの半分くらいは埋まった。
読み専9
うわ! すげぇ!
読み専10
よく、そこまで書けんな。ワイには無理や。
読み専11
設定房。
読み専12
ようわからんけど、それってすごいことなん。
読み専13
さぁ、でも短編書きまくってこれだけ進んでるんやし、すごいんちゃうん。
読み専14
まぁ、ワイらがやっとる宿題よりかは数倍大変だと思うで。
頭を掻きむしりながら、執筆に対する不満を口にするも……。
その間サボるような真似はしない。
隙間時間にコツコツと書きだめした設定集がノート半分を埋めている。
『いや~怖い』
マジで自分の優秀さが怖い。
こんなにあっさりと設定集が出来上がるなんて!
間違いない!
小説家デビューもそう遠い未来ではないはず。
サルもおだてりゃきに上るというがサイトからの応援の声で自分はハイになっていた。
もうすぐ設定集も終わることだし、一気に片付けよう。終わるまで休まないぞ!
まぁ、終わらなかったんだけど。
20XX年5月〇〇日
夕方。
仕事から帰るとともに、パソコンを起動する。
会社員である自分は仮の姿、その正体は未来のカリスマ作家。
そんな風に自分に言い聞かせ。
作家業を開始。
もちろん付き合いなんてしないし、特に誰かと話すこともしない。
それはもともとやってきたことだろう! はい、そうですね。まぁもっとも、そんな不愛想な態度にきちんと理由が出来たわけですけど。
今日こそ、今日こそ何があろうと設定集を完成させるぞ。
あと少しなんだ、たとえどんな邪魔が入ろうとも止まることはない。
「兄貴!! 漫画借りに来たぞ!!」
「ひゃああぁぁっ!!」
その覚悟は秒で破られた。
画面に集中していたのが裏目に出た。
パソコンだけではなく、ノートを広げているというノ―ガード状態。
そんな油断しきった所にそいつは侵入してきた。
ノックもなしにこの部屋に入ってくる人間は二人だけ。
そして女は一人だけ。
まぁ、声を聞けばわかるんだけどね。
金髪の髪を揺らしながら、年が離れた妹、
妹から、せめてこれだけは、これだけはとノートを必死に覆い隠す。
「隠した、隠したってことはエロか、エロよね!」
見っともなく悲鳴を上げたせいで、妹は僕のノートに興味を持ってしまった。
男子高校生のようなノリでこっちに突貫してくな。
「やめて、マジでこれはやめてくれ!」
本当に勘弁してください。
うわ、マジでエロ同人みたいな展開になってる。
でもこの展開、普通男女逆じゃね。
いや、でも最近は貞則観念逆転世界が流行っているしそんな世界なら……。
そんな風に喧嘩のさなかに余計なことを考えていたのと、ノートが破れると困るので十分に力を籠めることができなかったことが重なり、僕はノート争奪戦で敗北した。
「ふーん、へーえ」
小説の設定集。
またの名を黒歴史ノート。
それが妹の手に渡りじっくりと読まれる。
ここは『地獄』か。
「それで、これっていったい何」
「これから書く小説の設定集」
「なんでこんなもの書いてるの」
「その、なんというか。小説家になれたらいいなと思って」
――笑われる、絶対笑われる。
僕はこれから来るであろう嘲笑に備えて身構えた。
出来ればごまかしたかったが、ここまで証拠があるのだ。
ごまかしは……効かない。
「いつも部屋の中でこそこそ、何やっているのかと思ったんだけど、いろいろと頑張っていたんだね」
「え!!」
妹からの賞賛の声。
間違いない、こいつ偽物だ。
僕の妹は人の黒歴史を見て優しい言葉をかけたりしない。
あざ笑ってくるはずだ!
「いや、その、笑わないの」
「いや、笑わないよ。というか、兄貴の中での私っていったいどんなイメージなわけ」
「それはその……」
正直に言おうと思ったが、絶対怒るから何も言わない。
「正直、兄貴のこと心配してたの。
何に対してもやる気があるのかないのか分からない態度を崩さないし」
「それはその……」
事実だから反論できないけど、せめて手心を。
「でも、安心した。
こんな夢みたいなことでも真剣にやってんのよね。そうじゃないとこれだけの分量なんて書けるわけないし。
だから、このことで兄貴を笑わない」
応援の言葉に、僕は思わずに自分の頬をつねった。
「いや、何やってるのよ」
「だってお前が僕に対して優しい言葉。あり終えない。絶対裏があるはずだ、もしくは夢」
「いや、兄貴の中の私ってどんな人間なわけ」
再び繰り返されるやり取り。
涼子はもう本格的に機嫌を損ねたのか、漫画を借りるとそそくさと部屋を後にした。
最後に振り替えるように、まぁ、がんばってと口にして。
僕も僕で妹の姿が見えなくなると、ああ頑張るよと、きっと聞こえないだろうけど、返事を返した。
20XX年5月〇〇日
そして、思いつく限りのことをノートに記載したのはそれからすぐだった。
「さぁ、書くぞ!!」
もう、プロットは書き終わった。
これからは小説を執筆していく場面だ。行くぞ!
目標は一日に一更新。
人気作家が必ず通る道だ。僕だって……。
と思っていた時期が僕にもありました。
20XX年5月〇〇日
「もう無理だぁ!!」
部屋の中ゴロンゴロンと寝転がりながら、みっともない声をあげる。
きっと辛いことがあったのだろう。その人物は周りの目なんてものを気にもせず情けない姿をさらす。
大人だから、もっとしっかりしろ。
きっと、その姿をしている誰かがいたら、僕はそういっただろう。
もっとも、僕がその人物に忠告することは未来永劫無いだろうが……。
何せ、それをやっている人物が自分だからだ。
日間総合ランキング一位を目指すって決めたけど……。
それって、短編じゃなくても長編でも構わないよね。
と、自分に言い訳し長編を書き始めた。
その本音は人気も出ず、変化も発見できない現状に嫌気がさし、何でもいいから違うことをしたいだけだった。
短編から長編。
同じ分野だが、確かな変化がそこにはある。
僕の日常は変わるだろうかと、不安とも期待とも言い切れない思いを胸に抱えていたのだが……。
意外や、意外。今この段階では僕がやるべき行為に一切の変化が生まれてなどいなかった。
短編執筆時と同じルーティーンを繰り返していた。
ノートに設定を書き込む。
推敲、あるいは清書の為に、それをパソコンに打ち込んで。
しばらく時間が経過したのちに、再度見直した後に大丈夫そうならばそれを小説という形で出力する。
正直、短編書いていたころと手順が変わらない。
なのに進まん!
「おかしい、やっていることは短編書いている時と変わらないのに」
もちろん理由は分かっている。書く分量、情報量が圧倒的に異なるせいだ。
でも、設定のほうはすいすいと進んでいく。実際もうノートほとんど埋まったし。
でも、小説のほうがあまり進まない。
ネットで人気作を読んでいると、これくらいなら自分でもと思ったのに……。
その自分でもと思える文章を書き連ねるのは想像以上に大変だった。
「けどまぁ、小説書いてなかったら、妹の評価が上がることはなかっただろうし」
まだまだ書籍化への道筋が見えないけれど、それでも、妹からの敬意という金では買えないものが手に入った。
それだけで僕には十分だった。
妹が優しくしてくれる、それだけで十分な報酬のはずだ。
「うっさい!!」
そして妹の怒りの声が部屋に響く。
ごめんなストレスのせいで騒いじゃって!
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