目指せ人生一発逆転~アラサーがネット小説書いてみた 作:kuroe113
ネット小説家あるある。
ペットに小説を書かれるのに邪魔されるけど、ペットこそが最大の憩いでもある。
にゃんにゃんパラダイス
ここで文章の骨組みを学ぼうと思い立った、僕の日常を語ろうと思う。
1 猫の法則を読み進める。
2 本内のこまごまとした文字を映していく。
3 猫が現れて餌をよこせと妨害開始。
4 猫にえさを与え執筆再会
5 こまごまとした作業に疲れ切る。
6 猫吸いをやって気力を充電。
そして、
1 猫の法則を読み進める。
以上エンドレス。
「猫に始めって、猫に終わる。正に、にゃんにゃんパラダイス!!」
寝ても覚めても、仕事をする時間以外は猫猫猫。
「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃー」
「ニャー」
ワンに向かって話しかければ返事をしてくれたが、何言ってるのかわからん。
ワンも同じだろう。当然だけどね。
「兄貴! 大丈夫。なんか変な声が聞こえたよ」
『あのこれはですね、ただネコと戯れているだけで……』
何とか釈明しようと、早口でまくしたてたのがいけなかった。
心の中ではいいわけができているのに、舌がもつれ上手く反論ができない。
「なぁ、妹よ。お兄ちゃん、真理を見つけたんだ。
僕は猫で、こいつは猫で、宇宙は猫で……」
涼子の表情が絶対零度の冷たさを持ったとき。僕は反論は無意味だと感じ、はっちゃけることに決めた。
我ながら何を言ってるんだろう。
「悪いこと言わないからさ、病院に行ってきなよ」
「この大発見をバカにするか!」
ならば戦争だ。
見せてやる秘儀!
肉球ぺちぺち。
説明しよう。
この必殺技はねっこの肉球で相手をぺしぺし叩き、魅了する。
「わー、やめて、やめろ!」
その証拠に、涼子はやめてといいながらもまんざらでもなさそうだった。
「シャアァァ!!」
だが、僕は失念していた。
決して怒らせてはいけない存在を。
はい、猫神様から天罰を食らいました。
「いたぁ!」
怒りの爪牙が皮膚を切り裂き、僕は悲鳴を上げてしまう。
ゆるんだ手からワンが手から脱出し、神速で扉から飛び出した。
「大丈夫、血が出てない」
「出てるけど、かすり傷だ。
問題ない」
通説ではつばを付ければ治る程度の傷だ。
唾は使わない、バッチイので。
水道水で傷口を洗い、ティッシュを押し付ければすぐに傷跡はふさがった。
20XX年9月〇日
こんな風に猫で学び、猫と遊び、ときにはウザがられ反撃を食らう。
そんな日々が続く。
具体的に言うと三ヶ月くらい。
「猫怖い、猫怖い、猫怖い!」
今、僕が何をしているかといえば……。
部屋の隅で体育すわりをしたうえで、力なく同じ言葉を連続で口にしていた。
ちなみに、『ネコの法則』は使えそうなところをメモしただけで、最後まで記載するのは諦めた。
『ざーこ、ざーこ』
と、ここ最近の流行キャラ。メスガキにあおられても仕方がない事態ではあるが、それでも言わせてほしい。
これは仕方が無かったてことを。
「もう朝から晩まで猫づくしの生活は嫌あああぁぁぁ!!」
もう僕の体は限界だ。
ネコという言葉を聞くだけで拒絶反応が起きてしまうのだから。
それほどまでに、三ヶ月のにゃんにゃんパラダイスは苦行だった。
「ニャー」
ワンが扉の外で餌をよこせと訴えかけている。
普段なら開けてやるが、今の僕は憐れみを誘う声を聞いても動こうとも思わない。
嵐が過ぎ去るのを待つように、扉ではなく、耳をふさぐ。
聞こえているのに、お前の声など聞こえない!
と、嘘をつく。
僕は一つの感情に支配されていた。
すなわち、猫怖い!
「部屋の前でワンが泣いてたけど、どうした訳」
心を貝に、扉は固く閉ざされた。
ワンが入る隙間などないはずなのに、城塞も内部からの手引きには無力だ。
軽い足取りで入ってきた涼子が、僕の平穏な部屋を地獄に作り替えた。
「ぎゃぁぁぁ!!」
悲鳴を上げ、涼子のついでに我が物顔で侵入してきたワンを見て僕は悲鳴を上げた。
今の僕は精神的ネコアレルギーなんだ。
「いや、ワンが部屋の前で」
「神様、仏様、大にゃんこ菩薩様!
どうか、どうか、この身をお守りください」
「兄貴、小説の執筆のしすぎでついにここまで……」
急いでベットにダイブ。
布団にくるまり、身を守る。
涼子にはワンを部屋の外に連れ出しておくれとお願いした。
願いが聞き届けられたのを確認してから、僕は布団から這い出た。
「かくかくしかじか」
と、涼子に事情を説明する。
「そんなにトラウマになっているのに、大にゃんこ菩薩って……」
妹はツンデレヒロインみたいに僕をジト目で睨め付けてくる。
知ってるかい、もうツンデレ系は時代遅れなんだぞ。
やはりというかなんというか主人公に暴力振るったり殴ったりするのは不快に思われるらしい。
だから、僕を甘やかして、今だけでいいから!
「その病気、絶対仮病だよね」
しかし、現実世界にネット小説の中のような賞賛系ヒロインはいないようだ。
ツンツン系妹はいるけど。
あれ、デレはどこに行ったんだ?
「これを見てもか?」
仕方ない。
こちらを疑っている涼子に証拠を見せるべくシャツをめくる。
「うわ、すっごい鳥肌」
身体の変化を見て、ようやく信じてくれるようだ。
半眼に細められていた瞳が、いつもの大きなネコ目に戻った。
「なんか大変そうだよね。
コーヒーでも飲む」
「お金がかかりそうだからいらない」
「よく考えてみて、これは等価交換だよ。
代金を払って、目当てのものを得る、いつも飲んでいるものだし、実際一切損失はないよね」
理屈としては正しいだろうが、もうその手にはのらん。
金出してまで誰かが買ってきたコーヒーを飲みたいとは思わないのでね。
あのコーヒー事件以降、こいつが差し出してくる品物を受け取らないことに決めている。
金とられたらたまらないしね。
「それにしても、昨日まであんなにかわいがっていたのに、いきなり限界が来るなんてね」
同情してくれているところ悪いが、僕はこの体質になったことを後悔していないのだ。
「そうだね、きっと執筆の技術と猫の愛とをこのコーヒーみたいに等価交換したんだよ」
そう、自分の中で、猫への愛が消え去ったが、それに比例するかのように執筆意欲は非常に高揚していた。
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