元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん―   作:ヨシMAX

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第17話 俺と可哀想な海賊

 

 はい、おはようございます。私です。

 

 私、リアマリア・ヴァイオレットは現在絶賛誘拐されておりまぁす。

 いきなり屋敷の敷地内に入ってきてさー。

 私の友達のゴーレム君を次々と撃破したんだよ、酷いよねー。

 

 貴様等の血は何色だぁ~~っ!

 ……何て言いながら闇雲に魔法を撃ったもんだから全部かわされちゃった(てへぺろっ)。

 そしてあろう事か私の腹にワンパン入れおって……、痛かったぞ。

 

 それにしても腹にワンパンもらって気を失うなんて小説の中だけと思ってたよ。

 普通はさ、もんどりうって悶絶一直線じゃなぁい?

 ……と思ったら目の前真っ暗になっちゃって現在こんな事になってまぁす。

 

 しかし、こいつらは何者なんでしょうねぇ。

 こんな偏狭な無人島にわざわざやってきて探索した上に迂闊にも私を攫うとは……。

 まあこいつらはアルビー君の怖さを知らないんだから仕方ないかぁ。

 

 こんな感じでそろそろ10分程たつねぇ。

 そろそろ来るかなぁ~。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 はい、おはようございます。俺です。

 

 今現在俺は森を突き抜けて猛スピードで飛んでます。

 ……とは言え最高速で飛ぶと800キロなので木にぶち当たるよ、少し痛いし……。

 まあ、ぶつかった瞬間に木が粉みじんになるけどな。

 なので今は時速250キロで飛んでます、景色が瞬時に流れていくぜ。

 さて、レティから通信を受けてそろそろ5~6分たつが……。

 

 ……きたっ!

 

 無数の気配が数十、前方から突っ込んでくる。

 接触まであと3分。

 

 それなら……。

 

 俺は着地すると膝をついて地面に手を置き呪文を唱える。

 

 

 「母なる大地に乞い願う、偉大なる奔流の力を分け与えん、その優しき腕で迫りくる悪意より守り給え! ラフマグンスレイシ―!!」

 

 

 詠唱を終えた瞬間、前方に半円状の光が走り無数の悲鳴が森の奥から聞こえた。

 ふむ、何人かは逃れたか、素早いね。

 

 ……それなら。

 

 大地を蹴ると同時に右手に剣を出現させる。

 刀身に青白い光を灯した細身の剣、俺の自慢の武器「凄い剣」だ!

 ……なんか嘲笑や罵倒の声が聞こえた気がしたが……気のせいか。

 

 凄い剣を振るうと膨大な光の帯が刀身から放たれ敵がいた辺りに吸い込まれる。

 

 そして……。

 

 どぉかぁぁぁあああああーーーんっ!!

 

 一拍おいて辺りの空気をも揺るがす大爆発が起きた。

 発生したキノコ雲が天高く立ち上っていく。

 

 おやっ?

 キノコ雲を突き破り俺に向かって何かが凄い勢いで飛んでくる。

 飛んで……、飛んで……、剣を構えて、横薙ぎで……。

 

 

 「うぉぉぉおおおおおっーーーー!」

 

 

 払ってくる!

 

 

 「死ねぇええええーーーっ!」

 

 

 うぉっ! あぶなっ!

 前髪が少しだけ切れて風に舞った。

 

 

 「何を怒ってるんだ! マリア」

 

 「怒って当然でしょうが! なんで私ごと吹き飛ばしたの?!」

 

 「だって、仕方ないじゃーん。マリアちゃん、捕まってたやーん」

 

 「だからと言って普通は人質いるのに攻撃撃ち込まんでしょうよ! 死んだらどうすんじゃい?!」

 

 「地が出てるのかぃ? それはw」

 

 「笑ってんじゃないわよー! もぉー、呆れたわ。会心の出来で呆れたわ」

 

 

 そう言ってマリアは頭から落ちていったが地面直前に身体を反転させて着地した。

 それを見て俺も凄い剣を空間に収納し空中にとどまった。

 

 

 「こらーっ! なんで浮いたままなの?! 降りてきなさーい!」

 

 

 マリアは両手をグーのままに振り回して怒っている、なんか可愛い。

 

 

 「なにがおかしいのだーっ!! 胸倉掴んで往復ビンタ喰らわせてやるーっ!!」

 

 

 前言撤回だ、なんか怖い。

 

 人質が居て助ける暇がない時は涙を呑んで丸ごと吹き飛ばす。

 魔族としては全くおかしくなく至極全うな思考ではないか。

 所詮この世は弱肉〇食なのだよ。

 

 ……むっ、いかん。

 俺は騒いでいるマリアの正面に着地し再び凄い剣を取り出す。

 

 

 「自ら降りてくるとはその意気や良し!」

 

 

 うわぁっ!

 後ろから抱き着くんじゃない、集中できないじゃないか。

 俺はマリアを背負いながら凄い剣で前方から飛んでくるナイフを弾き飛ばした。

 刀身に緑色のドロッとした液体が塗られていた、殺意高すぎん?

 

 

 「貴様っ! 俺達にこんな事をしてタダで済むと思っているのか?!」

 

 「はっ? それはこちらのセリフなんですが」

 

 「貴様……、何者だ?」

 

 「それも……こちらのセリフなのだが……」

 

 

 俺の凄い剣で放った一撃を2人の賊が耐え切ったらしい。

 服はボロボロでダメージも深そうだが何とか動ける程度の体力がまだあるらしい。

 タフだね、君。

 

 

 「バカだな、てめぇ。べレルメーゼン帝国にたてつ……」

 

 「バカはお前だ! 黙れ!」

 

 

 2人いるうちの頭の悪そうな賊がどうやらクライアントの名前を言ってしまったようだ。

 まさに「バカはお前だ! 黙れ!」だよね。

 

 お陰でマシな方の賊に殴り倒されて気を失ったようだ。

 言う通り、バカだね。

 

 

 「べレルメーゼン……ね」

 

 

 俺が魔王をやってた頃……っと、未来の話か。

 俺にとっては過去になるのだがややこしいね。

 

 楯突いたのは魔王である俺のいう事を聞かず奴隷の売買を辞めなかった彼の国なんだけど。

 こんな昔から人攫いまがいの奴隷商売をしていたのかよ、何世代にも渡って同じ事してんだな。

 本当に気が滅入るね。

 

 

 「大方、あそこの国王の命令で内密に女子供を攫っていたんだろ。確か俺が学生の頃だから……王の趣味は色気のある後家さんで、王子の好みは10歳前後の小さな子とエルフ族だったかな、虫唾が走るね。ばれて事が明るみになりにくい様に無人ではない群島を一島一島、巡るなんて手間のかかる事をさ、まめだよね。だけどこの時代にエルフはこの辺りにはいないと思うよ」

 

 「貴様……只の民間人ではないな。こんな無人島に住んでいるのも怪しい……が、戦力的に貴様の口を割らせるのは無理かもしれん。侮りがたい敵だ……ならばっ!」

 

 「わっ! まぶし!」

 

 

 賊のマシな方が彼我戦力差に気づき閃光手榴弾的な物を投げつけてきた。

 俺とマリアは完全に目がくらんじゃった、しまったね、油断したよ。

 その間に賊はまんまと逃げおおせてしまった、バカな方の賊を担いでね。

 

 まあ、俺は気配だけでも奴らを追えるのだがマリアを置いていけない。

 絶対に負けないだろうけど深追いは禁物だ。

 

 ちなみに他の賊は俺の攻撃で消し飛んじゃったみたい(デヘベロォオ)☆

 そんな訳で有ったかもしれない証拠は消し炭です♪

 

 この後、メチャクチャマリアに怒られた。

 戦い方が雑だってさ。

 でも全滅させればもう攻められないじゃん。

 逃がしちゃったからまた来るよ、あれ。

 




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