元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん―   作:ヨシMAX

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第26話 俺、世界の勢力図に手を加えようと思う

 

 

 はい、こんにちは。俺です。

 

 今、俺は白雪の部屋に来ている。

 エロい事をしに来た訳ではない。

 まあ、望めばいけそうだったが……。

 そんな事は今はどうでもいい。

 

 

 「君は……ベレルメーゼン皇帝の身内だね?」

 

 

 俺はずっと疑問に思っていた。

 普通、奴隷の適齢期は種族にもよるが一桁後半歳から10~13歳位までと言われている。

 それ以下やそれ以上だと奴隷に好まれる能力や作法が身に付きにくいとの事だ。

 白雪は俺と同じか、少し上だと思われる。

 

 まず俺は思った。

 白雪はなぜ奴隷になったのか。

 まあ年齢がずれてる奴隷はいない事もない。

 

 次に俺は思った。

 やけに俺にベレルメーゼン帝国に攻め込む様に進めてくるなぁと……。

 彼女には言ってなかったが俺はあくまで世捨て人同然の形でこの島に流れてきた。

 まあ、そんな事情を知らないなら仕方ない部分もあるが頻繁に提言されると俺も不審に思う。

 少女達の中でも白雪だけがベレルメーゼンへの報復を強く進めてきた。

 不審には思ったが疑念までたどり着くまでに少しかかったのは白雪が有能ゆえだろう。

 

 最後に思ったのは彼女は頻りにベレルメーゼンを攻めろと言う割に滅ぼすのは良しとせず俺に統治をしろと言う。

 そして事ある事に……俺に子種をくれとせがんでくる。

 

 あとはもう俺の勘だが……。

 彼女はベレルメーゼン皇室の人間であるが、あまり良い扱いはされていなかった。

 恐らく彼女は側室の1人であったが政争に巻き込まれ他の側室にはめられて奴隷に落とされたか……って所か、想像だけどね。

 

 彼女は復讐を誓った。

 元々聡明な彼女がそんな思考になるとは思えないがそこは何か理由があるのだろう。

 自分には直接戦う能力はない、だから強い人物に取り入り国を攻め落とさせ、その妃になる事で返り咲こうとした。

 最悪、強い人物との関係性は皇帝についてもらえなくともそいつとの子供さえ成せたら良しというのが最低ラインか。

 

 そんな感じの事を俺は直接に白雪の部屋を訪ねて聞いてみた。

 

 

 「さすがアルビー様、優秀でございますね」

 

 

 俺の予想は白雪の過去とこれからしようと考えている事にほぼ合致していた。

 まじか、5割合ってればと思ったけど……。

 自分の優秀さが恐ろしいぜぇ。

 

 

 「確かに私はベレルメーゼン皇帝の第5夫人でした。ただそれも白龍族の里を守る為に無理矢理連れ去られての事。それならば何とかもっと自分の地位を上げたいと奔走した結果、策を労しすぎたのか他の夫人に連合を組まれてしまい政争に敗れ奴隷まで落とされたと言うわけです」

 

 「白雪、君は子供はいるのか?」 

 

 「いえ、生憎まだ……」

 

 「良かった、あんなカス皇帝の子に地位も名誉もやりたくないからな。わかった、君が女帝になれ。俺も全面的に協力する」

 

 「えっ?!」

 

 「そうすれば白龍の里も安全だろ? 1度君は言ったな、滅び行く白龍族は自分には関係ないと。……無理をするな、俺は君が望むなら君も里も守ってやろうじゃないかと思っている」

 

 「……なぜ、私が里を気にしていると?」

 

 「勘だが」

 

 「へっ?!」

 

 「と言うのは冗談、そうだな、君の俺を慕っている()()が悲壮感にまみれていたから……かな」

 

 「……そう、見えましたか」

 

 「うん、最初に会った時からね」

 

 「参りましたね」

 

 「そうだな」

 

 

 俺は涙を流して立ち尽くす白雪をそっと優しく抱き締めた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 「よし! 総員、準備は整ったな!」

 

 「アルビー君、総員と言っても私達以外は全部自動操縦の飛行機達だよ」

 

 「あー、もう分かってるよ。浪漫がないねぇ」

 

 

 傍らで白雪とアナスタシアが俺達のやり取りを見て笑っている。

 そうだ、それで良い。

 この時代で俺に関わった人達は全員笑っていれば良い、後は俺が何とかする。

 

 飛行挺団は次々と離陸し最後に指揮機である俺達の乗る飛行機が静かに空に向かい旅立つ。

 

 留守役のレティ、ミツキとハツキ、チュルカが屋敷の庭から見送ってくれたがその姿もどんどん小さくなっていく。

 

 やがて上空1万5000メートルの空域に到着し飛空艇団は標準巡航速度で飛び始める。

 ここまで来るとほとんどの雲は眼下を流れていく高さとなる。

 これから始まる凄惨な戦い前の最後の憩いの時間かもしれない。

 

 まあ、俺がいれば戦い等すぐに終わるがな。

 現状のベレルメーゼンの政局中心にいる連中には根こそぎ退場して貰うが国民には安全を担保しなくてはいけない。

 飛空艇の戦い方が重要になるな。

 

 

 「アルビー君、この感じだとどれ位であっちの国に着くのかな?」

 

 

 マリアがベレルメーゼンまでどれ位時間がかかるかを聞いてきた。

 こいつが時間を気にするのは珍しいな。

 

 

 「なんだ、マリア。急ぎたいのか?」

 

 「いや、そんな事はないけど……アルビー君も高いとこ苦手なのに良く飛行機で行こうなんて考えたなーと思ってさ」

 

 「……思いださせんな。上空でも一切揺れない高度な機能性を持たせた意味がないだろ」

 

 「あ、やっぱり怖いんだねw」

 

 「申し訳ございません、アルビー様、私のせいで……」

 

 「あー、違うわい! 飛空艇団にしたのは俺自身の浪漫と時短の為だっつーの! そんなに言うんならもっと速度をあげたるわい、後悔すんなよ!」

 

 「ちょっと、ちょっとアルビー君、なんでそんなにムキになってんのさ」

 

 「うるさい! 全機、アフターバーナー点火! 最大戦速!」

 

 「ちょっと今から最大戦速なんて出してたらもた……うわぁぁぁぁああっ!!」 

 

 

 これだけ大きい飛空艇が全速力をだせば当然後ろ向きに激しいGがかかる。

 マリアが後方にすっ飛んでいった。

 

 俺と白雪は着席してたので何とかなったが立ち上がっていたらマリアの様に後方に飛ばされていただろう。

 ちなみにアナスタシアは俺の膝の上だ。

 

 その日多くの人が無数の飛行機雲がベレルメーゼンの方角に伸びていくのを目撃した。

 

 

 




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