元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん―   作:ヨシMAX

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第46話 俺の戴冠式と金ピカ浴場

 はい、おはようございます。俺です。

 

 どういう訳か俺はベレルメーゼン帝国を手中に収めようとしている(不本意)。

 ……なんでなんでしょう、どうしてなんでしょう。

 

 俺はただただ孤島で平和に暮らしたかっただけなんだけどな。

 周りが俺の邪魔ばかりしてくるから最終的にこんなおかしな状況になってしまった。

 

 

 『どんな感じだい? アルビー、皇帝就任当日の気分はさ♪』

 

 「ぐぬぬ、俺は一人では倒れんぞ。お前らも必ず巻き込んでやるからな」

 

 「だからさー、私達も手伝うっていってるじゃん。全く、アルビー君はぁ」

 

 「そうそう、みんなで皇帝を支えるっすよー」

 

 「私は皇后のお姉ちゃんやしなー跡継ぎ問題も担当するよー」

 

 

 せんでいいよ!

 なんなんだよ、その聞き分けの良さは!

 こういう場合、普通は俺に面倒事を押し付けるんじゃないのかよ。

 それに全員一致で白雪を正室にして残りメンバーは揃って側室になるとか……。

 話が出来すぎ違うか?

 

 俺がそんな栓無き事を考えているとドアがノックされた。

 

 

 「アルビー様、戴冠式の準備が整いました。お願いできますか?」

 

 「……分かりました」

 

 「いよいよだねーっ、私が緊張して来たよぉ」

 

 「せやなぁー。アルビー様の一世一代やしねぇ」

 

 

 今日はベレルメーゼン帝国第12代皇帝アルビット・ルクシアス……つまり俺の戴冠式だ。

 そのせいで帝都の神殿は朝から上へ下への大騒ぎである。

 もちろん事前に式典の準備はされていたのだが久々の皇帝の代替わりとの事で神殿も浮足だっていた。

 心なしか呼びに来てくれた司祭の女性も楽しそうな表情をしている……気がする。

 

 帝都の国民が幸せな気持ちになってくれるなら……まあ、いいか。

 

 とは言え、なんとも複雑な気持ちではある――。

 

 この国の皇帝一族を呆気なく倒したこの俺が皇族正装に身を包み戴冠式に向かうハメになるとはね。 

 

 神殿の回廊を司祭に連れられ歩く俺の姿は果たして新たな皇帝にみえるだろうか。

 これからの俺さんの苦労を思うと可哀想で背中も丸まる思いである。

 荷馬車に載せられた子牛に見えない事を切に願うばかりだ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 「……神の名においてアルビット・ルクシアスを第12代ベレルメーゼン帝国皇帝として認めるものである。……アルビット様、頭を下げてください」

 

 

 俺の頭に王冠が収められる。

 思ったよりもずっしりとした重量が首にかかる。

 宝石や金がたくさん装飾されているのだから当たり前だな。

 

 俺の次に白雪も同時に皇后として戴冠を済ませている。

 なんて幸せそうな顔をしてるんだw

 

 白雪・ルクシアスと呼ばれた時には涙を流していた。

 うれし涙……だよな、そうだよな。

 それを見て神殿に駆けつけた国民も涙ぐんでいる人が多数。

 ……全く、みんな物好きだよね。

 

 大聖堂のステンドグラスを通して美しい光が差し込んできている。

 絶好の戴冠式日和だな……知らんけど。

 

 戴冠式と言うのは基本的に「承認」「宣誓」「聖油」「認証・戴冠」という流れとなる。

 

 承認は国民の前に姿を現し、即位の宣誓をし、聖油で身を清め祝福を受け、認証で皇族に伝わる宝物を受け取り最後に戴冠を受けるのだ。

 

 ……ん、知ってるか、要らん蘊蓄だったかな。

 

 右手に宝剣を持ち首から宝玉の首飾り、頭に王冠ときたら最早疑い様の無い皇帝である。

 

 そう言えば俺が魔王になった時もこんないい天気の日だったな。

 ご存じかも知れんが俺は士官学校に通っていたので下級士官で魔王軍に入隊した。

 

 そして自慢じゃないが優秀だった俺は順調に出世し魔王軍側近まで上り詰めた俺はある時、前任の魔王様に呼び出された。

 

 

 「アルビット、お前、魔王やらね?」

 

 「えっ?! 何言ってるんですか?! 魔王様」

 

 「もう、面倒なんよねー、みんな、俺の言う事なんぞ聞かんし自分勝手な事言うしなー疲れたんや。少し休みたいんや」

 

 「頑張りましょうよ、魔王様。俺達が支えますから……」

 

 「嫌や! 俺はリゾート地に移住してのんびり自給自足の生活をするんや!」

 

 

 思えば前任の魔王様のいう事は正しかった。

 人の上に立つ役職なんかに就くもんじゃない。

 後日、前魔王は俺に帝位を強引に譲り姿を消す事となった。

 

 彼は身をもって俺にその教育をしてくれてたんだなー。

 俺は帝国民のアルビーコールや白雪コールに包まれてそんな事を考えていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 「ぐぅぉぉぉおおおお――っ、つ、疲れた……」

 

 「そうですね。疲れましたけど、素晴らしい戴冠式でしたよ」

 

 

 俺と白雪は無事に戴冠式を終え控室でぐったりしていた。

 

 元々、白雪はあまり他者との関りを持たない白龍族だし俺も本当は大勢の前に出るのは苦手だ。

 今日はもう公的な行事は御免被りたいものである。

 

 

 ばぁあんっ!

 

 

 「うわっ、ビックリした」

 

 『アルビーっ! 遂に完成したよぉー!』

 

 

 本当にもう、どうして俺の身内はこうドアのノックすら出来ない奴が多いのだ。

 レティが控室の扉を吹き飛ばさん勢いで入って来たのだ。

 クソ雑魚能力の割に凄いじゃん、今の。

 本当は楽したいだけで凄いんじゃないの?

 

 

 『お風呂が出来たんだよ、アルビー、もっと嬉しそうな顔しなってば♪』

 

 「えっ?! あの贅の限りを尽くした頭の悪そうな浴場が?!」

 

 『……なかなかな言い方じゃん?』

 

 

 だって必要な素材を聞いた時点でこいつは文化遺産でも作る気かと疑ったもんだ。

 

 

 『良いから夫婦でお風呂でも入っておいでぇー』

 

 「うるさいぞ、駄女神ぃ!」

 

 「……グッジョブ」

 

 「どうした? 何か言ったか? しら……」

 

 

 この後、メチャクチャ風呂に入った。

 

 

 

 

 




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