元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん― 作:ヨシMAX
はい、おはようございます。俺です。
俺と白雪は帝都国民の前で戴冠の儀式を一通りこなす事が出来た。
戴冠式、兼、結婚式が滞りなく終わり、今俺達はどこにいるかと言うと……。
風呂だ。
フェルメイルではなく何故かレティが監修した俺達用の入浴施設だ。
公衆浴場の裏手に一般人が入れない施設がデカデカと建てられていたのだ。
あの女神、バッカじゃあないのか?!
どんだけ広い風呂を作れば気が済むんだよw
魔王時代の屋敷の風呂の10倍は広いかもしれん。
石造りの柱に支えられた浴室は白系の明るい色調でまとめられ下品にならない程度にそこかしこを貴金属の金で装飾されている。
浴槽はピカピカに磨かれた薄い橙系に着色された石が使われ温かさが強調されている。
さすがに無人島の頃の様に温泉が出る事はなかった為、魔導式のボイラーで沸かしてお湯を循環させている。
あいつ、自分が女神なのを良い事に祝福を授けた聖水を使っているという触れ込みで浴場をオープンさせており公衆側の施設は初日から大繁盛の様だ。
……聖水って沸かして良いんだっけ?
ん?
そもそも元魔王の俺が祝福を受けた聖水風呂に入って大丈夫なのかって?
あっはっはっは。
今時そんな事を言っているのはこれを読んでいる君達位なもんさ。
そういうのは営業用なのさ。
その方が神達の有難みが増すだろう?
魔族が聖水を苦手にしているというのは演出に過ぎないのだよ。
それ位はとうの昔に克服してるんだよ。
「アルビー様? どなたと話されてるのですか?」
おっと、白雪に怪しまれてしまった様だ。
俺と白雪は今、この贅沢風呂に一緒に入っている。
なんだと!? 爆発しろとは少々失礼じゃないか!?
だ、だって俺達は夫婦なんだから、良いだろ!
「い、いやぁ、少し緊張しちゃってさ……」
「何を仰るのです。私と一緒に湯に浸かるのは2度目ではありませんか。私は全てをアルビー様に晒しました。アルビー様も私に晒してください♡」
さ、晒すって……、若い娘がそんな生々しい表現を使ってはいけません。
あ、湯船を移動してきて隣にくるなり俺の右手を胸に抱え込んではいけません。
ああ、柔らかい。
なにがと問われれば「全てだ」と答えなばなるまい。
要はこの世の天国と言う事だ。
「ふふっ、とても良いお顔をされてますね。あと一息でしょうか」
「なにがあと一息なの……ひょえぇぇぇ――っ!!」
続いて白雪は俺の足の間に背中側から座ってきた。
所謂、背面で並ぶ感じでこれはとっても密着感が深い。
更に白雪は俺の手を取り自分の胸の前でクロスさせる。
もうアカン。
メッチャ柔らかくて凄くいい匂いがする。
俺は魔王時代も側近の女性達とは節度を守った付き合いをしてきた。
お陰で実の所、女性に耐性がないのだ、全くと言って良い程にね。。。
えっ?
英雄は色を好むというだろうって?
そんな事言っても俺が英雄だからって俺を好きになる保証なぞないだろうがぁ!
俺の地位や名誉を好きになられるのは絶対に嫌なのだ。
所詮は世界に生きる皆は全員赤の他人だ。
信用して裏切られる位なら最初から距離を空けてた方が精神衛生上よろしい。
俺は――他人を信用しない、出来ない。
「アルビー様はお辛い過去でもあったのでしょうか……」
「へっ? どうしてそんな事を?」
「アルビー様はいつでも強く……紳士的で……頭も切れて……自分が負ける事はあり得ないという自信家で……そして、誰よりも優しい男性だと思います。私はまだ出会って日は浅いですがそれ位は知っております。……ですがアルビー様の瞳はいつも後悔をされてるのか……悲しい色をしています。とてもとても深い、何者も寄せ付けない様な暗い闇を携えております」
この娘は……。
白龍族が長命種族とは言え、この娘はまだ若いはずだ……。
どうして俺の心の中を覗いた様な事を言えるのか。
大したものだな……俺の正妻に相応しいと言えよう。
「大丈夫だよ、白雪。俺の
嘘は言っていないぞ。
俺の過去にそんな悲しい事は存在しない。
言いえて妙だが俺は――未来を後悔しているのだ。
二度とあんな辛い未来を迎えて堪るもんか。
士官学校から抜け出したお陰で俺の人生は大分変ったはずだ。
沢山の仲間――全て女性であるが――に出会えて帝国で皇帝の位に就くなんて想像も出来なかった。
この素晴らしい過去から繋がるであろう未来を手放すなんてありえん。
俺の邪魔をしない奴の事はしらん。
だが俺の邪魔をする奴は今後も徹底的に叩く、絶対にだ。
その結果、再び俺がこの世界の覇者になろうが……まあ、いいか。
俺は決心した。
白雪は俺がそれ以上何も言わないので心配そうな顔をして見上げていた。
「白雪……俺は基本的に仲間、……身内しか信じない事にしている。お前は俺を絶対に……裏切らないな?」
白雪は俺のいきなりの質問に少しだけ驚いた顔をした。
しかしすぐに全てを悟ったかの如く目を細めて俺の頬に手を当て答えた。
「……この身が滅ぼうとも……いえ、滅んだ後であろうと私が
なん……だ……と。
俺の不躾な質問に対する白雪の回答は想像を超えるものだった。
言ってしまえば少し重い、重すぎる。
これが白龍族って奴かぁ――。
ここまで読んでくださり有難うございます。
アルビーは白雪と話してある事を決心したようです。
引き続きアルビーの活躍をお楽しみください。
しかしこの二人、隙あらば二人でイチャイチャしとるな。
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