元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん―   作:ヨシMAX

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第4話 俺、凄いんで

 

 

 さて、面倒な事に俺は課題もそこそこに学園トップクラスの実力の持ち主ネンダーテイル君と決闘……じゃないか、対決?する事になってしまった。

 

 俺とネンダーテイル君は学園のグランドにあるトラックのスタートラインに付いた。

 

 

 「あれっ? ネタンデール君一人でいいのかい?」

 

 「ネンダーテイルだっ!! なめた口もそこまでだ……。お前など俺一人で十分、だいたい俺に身体能力で勝てると思ってるのか」

 

 「思ってますけど……」

 

 「うるさいっ!! ハンデなんてふざけた事をよくも……」

 

 「あらら、ハンデも要らないのかい? じゃあ勝負は一瞬だね(ニッコリ)」

 

 「黙れ、……殺すぞ、そんなもの、要らんっ!!」

 

 

 おっと、とうとう彼は俺の胸倉を掴んで凄んできた。

 

  ……煽りはこんなもんで良いか……。

 ちょっとやり過ぎたかな(テヘッ)

 

 

 「お、おい。そこまでにしようぜ」

 

 

 ネンダーテイル君の取り巻きの一人が仲裁に入ってくれた。

 別に苦しくはないが服が伸びちゃうんだよね。

 早く止めておくれよ。

 

 

 「うるさいっ! 子爵風情が俺に指図するなっ!」

 

 

 わぁーお、

 侯爵で偉いのはお前の父上だろうが。

 それにお前次男だから後を継ぐのは兄貴だろうが。

 何もない一般生徒に等しい君がよく言う。

 

 子爵子息君。

 もういいよ、有難うね。

 子爵子息君を振り払う時にネンダーテイル君の手が離れたしね。

 

 さて、これ位まで煽っておけば彼も思いっきり俺をつぶしに来てくれるだろう。

 そうなれば多少きつめに俺がやり返しても、もしかしたら同情論が出てくれるかもしれない。

 べつに何か問題を起こして退学になっても良いけど爺さんに迷惑はかけたくないしな。

 

 

 「位置について」

 

 

 俺とネンダーテイル君はスタートの体制に入る。

 

 

 「用意……スタート!!」

 

 

 スタートと同時にネンダーテイル君と俺は駆け出す。

 ……っと、ネンダーテイル君、流石に速いじゃないか。

 身体強化魔法も無しであのスピードは大したもんだ。

 

 どんどん加速してグングンと俺との差が開いていく。

 あっという間に半周位、離されてしまった。

 

 

 「いいぞぉ! ネンダーッ!」、「いけいけっ! ネンダーっ!」

 

 

 彼の取り巻きが物凄い勢いで沸いている、なんかスマンナ。

 

 そろそろ俺も行くとするよ。

 せーの、えいっ!

 

 足に力を込めて強く地面を蹴りだす。

 一瞬の内にトップスピードに乗った俺はネンダーテイル君を射程に捉えた。

 ……と思ったらファッ!? という間に置き去りにした。

 俺が地面を蹴る度に凄まじい砂煙が舞い上がる。

 

 

 「おっさきにいぃぃぃーーーっ!!!」

 

 「へぇっ?!」

 

 

 良いぞ、魔王時代と変わらない身体能力だ。

 距離が短すぎてカーブが大変だが力強い蹴り足でグリップを保つ。

 思ったよりも調子が良いのでこのまま周回を進めるとしようか!

 

 

 「早くっ!」

 

 「本気をっ!」

 

 「出さないとっ!」

 

 「終わってっ!」

 

 「しまいっ!」

 

 「ますっ!」

 

 「よっ!」

 

 「もうっ!」

 

 「10周目だよっ!」

 

 

 と言う訳で、ゴォーーール♪

 

 さて、ネンダーテイル君はどこかなぁ?

 追い抜くたびに声をかけたんだけどな。

 

 うむ、俺が置き去りにした場所でこちらを見ながら呆然としている。

 俺の快勝だけどどんな反応をするかな~。

 彼の方に歩いていくとなんか細かく震えてプルプルしている。

 風邪でもひいたかな?

 

 

 「ネンダーテイル君、僕の勝ちだけどどうする? 一応ゴールするかい?」

 

 「い、い、い」

 

 

 んっ? どうした?

 

 

 「インチキだなあああああっ!! 貴様、身体強化魔法を使ったんだろう! 汚い奴だ!」

 

 

 いえ、使ってませんけど?

 走る程度の運動で魔法なんて使うわけないでしょうが。

 

 

 「正式な試合でこれは許せない行為だ! なにか弁明はあるかぁ?! あっても聞かないがなぁ!!」

 

 

 聞かないんかい。

 それなら聞くなや。

 ……と、彼は後ろに飛び退きなんと魔力を生成し始めた。

 単純な魔弾の様だが手加減なしで撃つつもりの様だ。

 

 あほか、そんな出力で撃ったら後ろの見学民と校舎も吹き飛ぶぞ。

 幸い彼の後ろには植樹やフェンス位しかない。

 それなら……、

 

 

 「古き伝承より消えし偉大なる風の精霊に命ずる、汝の力は遥かなるエレボスの地に届く、静寂に包まれたかの地では刻も動きを止める、タラムフ・レオッター!」

 

 

 ……俺が呪文の詠唱を終えるとネンダーテイル君の魔力は霧散した。

 早く撃ってこないから俺の詠唱の方が先に終わっちゃったよ。

 まあ、これ位の魔法なら無詠唱でも出来るんだけど魔法の詠唱はロマンだよね。

 

 ネンダーテイル君はこれでもかっ! という位に目を見開いて固まっている。

 そりゃそうだよね、俺の放った魔法は範囲内の魔法無効化と沈黙を同時に発動させる。

 ネンダーテイル君程度の魔力なら簡単に霧散させられるのだよ。

 

 そして! この魔法の仕上げはぁ! これっ!

 俺が手を握り締めて捻るとネンダーテイル君に向け凄まじい暴風が巻き上がり彼を弾き飛ばす。

 

 ……だってさ、あいつ、俺を含めて後ろのみんなも消し去ろうとしたじゃん。

 報いは受けてもらわないとさ、いけないじゃない?

 ……とは言ってもあの程度なら片手で弾き返せるけどさ。

 

 ネンダーテイル君は背中から石壁に激突して気絶していた。

 元々は無効化と沈黙だけだった魔法の効果に加えて俺が改造して付け加えた暴風の効果だ。

 

 コマ先生や取り巻きが彼の方に走っていきしっかりしろと声をかけている。

 すっきりしたけど侯爵家の次男を叩きのめしたんだからタダでは済まないだろうな。

 元はと言えば彼が魔弾を撃ち込もうとしたのが悪いんだろうけど聞いてくれんだろう。

 

 実際に俺はその後に学長室に呼ばれて謹慎を言いつけられたのだが。

 ……どうせなので自主退学する事にした。

 これ以上、ここにいても得るモノは何もないと考えたからだ。

 

 早い所、こんな孤島から抜け出してリゾート地の近くかなんかで自給自足、悠々自適、晴耕雨読……は少し違うかもしれないが、のんびり生きる事としよう。

 

 

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
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