元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん―   作:ヨシMAX

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第49話 俺の帝国、実は……

 

 はい、おはようございます。俺です。

 

 それはそうとお前達、俺が手に入れた――勝手に入ってきた――帝国の版図ってどの位か知っているかい?

 

 大陸の半分以上?

 最早覇者じゃないか、そんなにないぞ。

 では、大陸の25%?

 相当の大国じゃないか、俺がそんな面倒な国を取ると思うか?

 

 実際の帝国はその大層な名前とは裏腹にほとんど版図など無い。

 俺が作った――そして壊滅した――アルビーアイランドがある群島の北にある大陸の半島を含む一部の領地。

 

 世界から見たら芋の蔓みたいな細長い貧弱な国家。

 それが俺が手に入れた帝国なのだ。

 以前はもっと広大な領地をもった所謂大帝国だったのだが年月が流れるにつれて落ちぶれた。

 

 前にちょこっと話したかもしれないが帝国はそれはそれは悪どい事をしてきた。

 人攫いも含めた人身売買や違法薬物売買、兵器の密輸に闇魔法や魔法薬の開発、国境沿いの街や村の焼き討ち、或いは国同士の紛争を企てたという噂もあった。

 

 今も昔も天罰覿面という言葉がある通り、そんな事を続けていれば悲しみが疑心を呼び、恨みが復讐を招き当たり前の様に国は傾く。

 

 帝国は周囲の国々の顰蹙を買い袋叩きの様な侵略に遭い瞬く間にその版図を失った。

 一説には街や村だけに限らず砦や前線基地ごと兵士が離反した事も有るそうな。

 

 

 

 「……で、現在は半島を含む大陸の端の一部が帝国の領土な訳だね、アルビー君」

 

 マリアが俺に確認する様に声をかける。

 

 ここは帝都に新しく建てた城の会議室、円卓に俺を含めた9人が座っている。

 俺の左に白龍姉妹、マリア、ミツキにハツキ、チュルカ、フェルメイル、そして一周して俺の右側がアナスタシアだ。

 

 「そうだな、国力が弱く特産品や観光資源、貴重なダンジョンもない。ないない尽くしの最貧国、それがベレルメーゼン帝国の実情だ」

 

 「そうですね。城が建て直せたのはフェルメイル様が集めていた金塊をお借りした訳ですが……我々は今ハッキリ言って借金状態です」

 

 白雪が書類を見ながら軽い溜息をついて言う。

 

 やめて! 

 そんな家計簿を見て「今月も赤字ね~」みたいな……。

 嫁に苦労を掛けてるダメ夫みたいじゃん。

 

 えっ?

 以前、ダンジョンで見つけたクリスタルや貴重な金属等のお宝はどうしたかって?

 そんなのとっくの昔に人件費や帝国の運用費に消えたよ。

 フェルメイル曰く、そういったダンジョンのお宝は時間が経てばまた復活する様だけどあまりの乱獲は好ましくないとの事で採掘は一定期間を空けなければならない。

 

 と言う訳で我が帝国の財政は今現在超ド級貧乏状態なのである。

 

 えっ?

 ――みたい、じゃなくてダメ夫だって?

 金のない旦那はすぐに愛想を尽かされるだって?!

 

 くそうっ!

 お前等、そんなに寄って集って俺を虐めるなよ!

 わかった、そんなに言うなら俺の富国強兵策を実施してどこよりも強くていい国を作ってやろうじゃないか。

 

 ん……?

 スローライフはどうなったのかって?

 そんな話の根幹に関わる事をスッと聞いて来るんじゃないぞ。

 まあ、仕事が落ち着いたら、そのうちな。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 話はやや前後するが……城がまだ再建中の頃の話だ。

 

 結局、帝国は俺が手に入れた時点で超ド級の貧乏国家だった訳だが、そんな事よりも重要で最優先に実施しないといけない事が当時の俺にはあった。

 

 それは――食料問題である。

 

 どうやら前皇帝は食糧事情にも疎く国内の田畑が荒れるに任せていた様だ。

 それなら皇帝はどうやって国民を飢えから守っていたのか?

 

 帝国の実情を白雪に調査してもらった。

 

 すると何と帝国は中央新興国と不平等条約を結び援助を得ていたというのだ。

 全く……皇帝にはプライドというものが無いのだろうか。

 何やら外交問題の火種が思いもよらない所から見つかった気がするが後だ。

 

 とにかくその当時は食糧問題を何よりも先に解決しなくてはならなかった。

 実は俺の島も肥沃な土地とは言い難く作物を育てるのに色々苦労したのだ。

 だが、それでも様々な創意工夫の元に良く育った作物がいくつかあった。

 

 それは痩せた土地に強い品種の麦とジャガイモだった。

 その二つの作物の種を島から持ち出せたのは幸運だったな。

 

 俺達は予め、帝国の復旧に合わせて別タスクを開始し汎用ゴーレム君部隊を編成して帝国郊外の平原を様々な種類の麦畑用に改造していた。

 もちろん「魔王印の究極栄養剤」を散布済みである。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 そして時は戻り現在。

 俺達の作ったその麦畑は一面黄金色に輝いていた。

 風に吹かれると大きな穂をさざ波の様に左右に揺らしていた。

 

 さすが究極栄養剤の効果は抜群だ。

 マリアは未だに人体に影響はないのか効いてくるが心配があるはずがない。

 なぜなら俺が作った薬だからだ。

 

 人間は食べなくては生きていけない。

 それは魔族だって当然該当するし生きていくには食料が必要だ。

 

 その点、麦は色々な食料に加工する事ができるので非常に便利で使い勝手の良い作物だと俺は思っている、まあ、だから選んだんだけどな。

 

 

 まあ何にしてもこれで当面の食糧問題は解消できた。

 しかし、これも本格的な富国策がないとタダの時間稼ぎにしかならない。

 

 

 ん!

 ……そうか。

 100年後の食べ物を作って売りだしたらどうだろうか。

 今の時代に存在しない食べ物はもちろん売れると思うが……100年後の製法で色々と麦を使った食べ物を作ってみるか。

 少しズルい気もするがこの際、気にしてられんよな。

 

 

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
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