元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん―   作:ヨシMAX

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第63話 俺とみんなとアーチデーモン

 

 はい、おはようございます。俺です。

 久しぶりの登場だけど俺の気分は優れない。

 

 それはそうだろう。

 俺は今ほとんど関係ない人物に対して恨みを晴らそうとしている。

 先日の戦場で捕らえた捕虜であるユーリート氏に未来でマリアが死んだ原因はほぼ無い事は俺にも分かっている、当たり前だ。

 

 ただ、どこかしらで俺の中で決着をつけなければ自分は前に進めないだろう。

 俺はそれにユーリート氏を巻き込んだ……と言う訳だ。

 

 俺は自分とマリアの辿った悲しい記憶を誰かに知って欲しかったのかもしれない。

 さて……、そのユーリート氏なのだが……。

 

 

 「どうだったかな。80年後の記憶は?」

 

 「……」

 

 

 ユーリート氏は滂沱の涙を流しながら無言で俯いていた。

 

 実の所、彼の仕打ちにはちょっとした手違いがあった。

 本当ならばマリアの記憶を追体験してもらおうと思ったのだが、どうやらこの魔道具は本人がその場にいる場合、その記憶しか体験できない様だ。

 つまりマリアが死んだその日その場所にユーリート氏が居た場合、彼は自分の記憶しか体験できないという事だ。

 あそこで神聖国の将校を捕らえる事なんて想定外だったので良く知らん魔道具を使ってしまった弊害が出た形だ。

 

 

 「これは……俄には信じられないが私の未来なんですね」

 

 「そうですよ、あなたが……あなた方が殺したマリアの記憶です」

 

 「彼女には先ほど会いました。あの方がマリアさんでしたか……でも、陛下も分かってらっしゃると思いますが……」

 

 「……わかってますよ。あなたの存在自体が直接にマリアの死の原因にはなっていない事は。彼女は……自らを死地に追いやった。そして私が彼女を守れなかっただけの話だ。ただ、それだけの話なのだ。なのに君に八つ当たりをしてしまった。君に罪悪感を植え付ける為に無理に余計な記憶を見せた。……すまないな」

 

 

 はぁ――っ。

 俺は一体何をしているのか。

 

 俺が大きな深いため息をついて自らの行いを顧みていると扉が開いてマリアが門番姿のまま入ってきた。

 マリアはユーリート氏に目線を合わせると無言で会釈だけ交わし俺の近くに歩いてきた。

 

 

 「で、陛下。彼の処遇は如何いたしますか?」

 

 「……うん、それなんだけどな」

 

 

 俺が口を開いた瞬間、扉の向こうから鋭い声で報告が届いた。

 

 

 「陛下っ! 会談中に申し訳ありません! 火急に報告したい事が!」

 

 

 俺が目線を送るとマリアが素早い動きで扉を開けて伝令を部屋へ迎え入れる。

 伝令はマリアに促されて俺の手前まで来ると膝をつき待機する。

 

 

 「構わない。この部屋に人払いが必要な人物はいない」

 

 「……はっ、ではっ」

 

 

 伝令は少し戸惑った様子を見せながらも気を取り直し報告を行う。

 

 

 「神聖国方向よりアーチデーモン率いる悪魔軍団が帝都へ向かっているとの事、その数、約1,000!!」

 

 「なんだってっ?!」

 

 

 伝令の報告に俺とマリアよりも先にユーリート氏が激しく反応した。

 それはそうだろう、アーチデーモンと言えば良く言って災害級、悪く言っても災害級、そして元々はこの世界に具現化する事は無く特殊な――呪われた――魔道具でしか生み出されない悪魔……。

 特に懲罰に使われる事の多い曰く付きな魔道具と言う噂もある。

 

 そこはかとなく……嫌な予感がするのも仕方ないだろう。 

 この男に逃されたラスカンティア将軍の行く末を思い浮かべて。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 こう次から次へと我が帝国が襲撃を受けるとは……。

 私が皇帝陛下とイチャイチャする暇もないでは無いですか。

 

 今回の敵軍は悪魔の群れが1,000。

 本来、悪魔は1匹いるだけで街が幾つもの滅びる程の化け物です。

 おまけにその凶悪な軍団を率いているのがアーチデーモン。

 

 こんな状況は以前の私であれば絶望してしまったでしょう。

 ですが今の私は親愛なる皇帝陛下の妃、兼、軍師という立場。

 簡単に心を折る訳にもいかないし……今はそんな心配もないのですが。

 

 

 「白雪、戦闘準備が整ったよ」

 

 「ミツキ、戦時は私の事は軍師殿と呼びなさい」

 

 「えっ、や~よ、白雪は白雪でしょ?」

 

 「ハツキ、……それはそうだけど規律が……」

 

 「軍師殿……、ぷぷっ、くすくすっ」

 

 「お姉ちゃん! 何がおかしいのよ?!」

 

 「おかしくないっすけどね~、普段、陛下とイチャイチャしてる時のだらし……幸せそうなお顔を見てると軍師殿と言われても……って感じっすね~」

 

 「陛下も常日頃から気負わずに普段通り戦う様に……と仰られてますからね」

 

 「……チュルカの言う通りですかね。それはそうとフェルメイル……、私の顔に何か言いたい事でも?」

 

 

 フェルメイルはマズい、と言う表情をしたが目線をそらして口笛を吹き始める。

 ……ごまかすのヘタクソ過ぎやしないですか。

 

 

 「白雪は味方を威圧しちゃいけないの。そして早くした方が良いと思うの。陛下がさっきからお待ちかねなの」

 

 

 陛下をお待たせしてはいけませんね。

 それにしてもこの娘が陛下の全権委任司令官とは……。

 アナスタシア将軍……、あなどれません。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 さて……引き続いて俺なのですが。

 相も変わらず前線に出してもらえません。

 

 今回の相手は悪魔軍団だし何よりリーダーであるアーチデーモンの存在が大いに不気味であるのだ。

 俺が出撃する理由としては十分だと思うのだが……。

 

 もちろん俺は強固に出撃をアピールしたのだが却下された。

 なので妥協案としてアナスタシアを軍勢に紛れ込ませておいた。

 

 なぜか彼女に全権委任を要求されたので許可を出しておいたのだが。

 はたしてどうなる事やら……。

 

 

 




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