元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん―   作:ヨシMAX

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第6話 俺、脱走します

 

 

 俺は侯爵の策略にはまり魔力封じの腕輪を付けられ色んな意味で強固な扉や壁の牢獄にぶち込まれた。

 普通であれば魔力は封じられどうしたって脱出は無理な状況であるね。

 そう、俺を除いてはね。

 

 俺は魔力封じの腕輪をもぎ取り床に放り投げた。

 それを見ていた女神がクスクス笑った。

 

 

 『弱いねー、それ。あなたを捕まえるなら能力100倍位の呪い級アイテムじゃなきゃ無理だねー』

 

 

 おいおい、人を化け物みたいに言うなや。

 50倍位高出力なら少しは手間取るかもしれないじゃないか。

 

 

 「まー、この程度ならね」

 

 ばきぃっ!!

 

 俺はそう答えながら扉のノブを掴み、力任せに扉ごと引っこ抜いて外した。

 

 

 『十分、人外な能力だねー。魔王だしねー、閉じ込めてるのがバカバカしくなるねー』

 

 

 人外はどうかと思うけども確かに壁の魔法陣もちょっと動きづらいなー位しか俺には効果がない。

 伸びや屈伸運動等を行いそれでもほぼ行動の制限にならない事を確認する。

 

 よしっ! いけるで。

 

 

 「ほれ、一緒に来るなら早くしてください、女神様。行きますよ」

 

 『レティシア♡』

 

 「はっ?!」

 

 『私の名前ですよ、特別に魔王様にはレティちゃん、と呼ばせてあげます』

 

 「……アルビットです。私もアルビーで良いですよ、レティ」

 

 『知ってます、アルビー♪』

 

 

 ですよね、調子が狂うぞ。

 

 

 「暗闇でも大丈夫ですね? 行きましょう」

 

 『あーい』

 

 

 レティは俺の肩に乗っかる、神様って軽いんだな。

 いや、実際にすげぇ小さいんだけどね。

 

 俺達は暗闇の牢獄を出て階段を上って行った。

 

 

 ☆★☆★☆★

 

 

 階段の先は狭い踊り場で扉が一つ。

 さすがにこちらは普通の鉄製の扉だ。

 だが、もちろん鍵がかかっている。

 

 ばきゃあっ!

 

 はい、面倒なので再び力任せに開ける。

 しかしこの程度のセキュリティで大丈夫なのかな、伯爵の館だよね、ここ。

 

 扉を薄く開き先の様子を伺うが見張りはいなかった。

 人手不足なのだろうか。

 

 

 『この先に大きめの部屋がありますねー。数人の気配があります。動いていないので起きてるかはわかりませんねぇー』

 

 「そんな事わかるんですね、レティ」

 

 『あなたも分かってますよね? アルビー』

 

 「……まあね」

 

 

 数人か……、一気に仕留められるけど島から出る為の船がないか聞いてみたいな。

 でもそう簡単にはおしえてくれんよな……。

 船は必要だ、魔法で飛んでいくのも海が広すぎてもたんし……。

 

 くそっ、侯爵と学園長め、金がないぞ。

 取るだけ取って閉じ込めるなんて汚い。

 金の一つでも掴ませれば貴族の見張りなんてどうにでもなるのに。

 

 面倒だから全員叩きのめして船も強奪するか……?

 いや、だめだ。

 貴族の屋敷で暴れまわってその情報が出回ってしまったらその後のスローライフなどあり得ない。

 千切っては投げ作戦かな。

 

 

 『随分と慎重ですねー、魔法でどうにかしては?』

 

 「そう言う……人に作用する魔法は苦手なんでね……」

 

 『ふふっ、あなたにも苦手なものがあるんですね』

 

 「そりゃ、ありますよ……エイミーに任せてたからな」

 

 『では今度も相方に任せてはいかがですか?』

 

 「魔法……使えますか?」

 

 『私の下界での能力はクソですよ♡』

 

 「なら言うなや!」

 

 『私が言っているのは部屋の反対側からこちらに向かっているあの子ですよ』

 

 

 へっ?

 

 何言って……、本当だ。

 誰か来ているな。

 

 この魔力反応は……まさか……

 

 ……何をしているんだ、マリアは!

 貴族の屋敷に忍び込むなんて前代未聞だぞ。

 

 

 『可愛い子ですね、助けに来たんじゃないですか?』 

 

 

 どうして俺の近くにいる奴らは無茶ばかりするのか。

 くそっ、せっかく戻ってこれたんだ。

 この人生で身内を不幸にしてたまるか!

 何が何でも俺が守るぞ。

 

 

 『あ、捕まりますよ。捕まる、捕まる、捕まったー』

 

 

 あー! もう、展開速すぎぃーっ!

 俺はネンダーテイル君との勝負の時より数倍の力を込めて駆け出した!

 

 廊下の向こうに部屋につながるドアが見えてきた。

 

 ばぁあああんっ!!

 

 そしてドアに激突、ぶち抜いて止まる。

 

 

 「うわぁっ! なんだぁ!」

 

 「あ、アルビー君、見つけたぁ!」

 

 「見つけたぁ……じゃないわ! 何しとるんだ、君はぁ!」

 

 「そんなに怒る事ないじゃん、せっかく助けに来たのにぃ!」

 

 

 恥も外聞もなく言い合う俺達に見張りの三人が怒り狂う。

 見張りの内の一人の大柄な男がマリアの首に手をまわし後ろから拘束してる。

 

 

 「くそっ、訳の分からんガキが侵入してきたと思ったら今度は脱走かよ!」

 

 「お前らっ! 大人しくしろよ! 暴れたら……」

 

 「おいっ! 早く拘束しろっ! お前っ! 動くなよ、動いたら……」

 

 「動いたら……どうするんだ? お前ら……俺さんが話してるだろうが……」

 

 「「「……ひぃっ?!」」」

 

 

 見張りの三人は俺の凶悪な雰囲気に震え上がった。

 

 

 『あ、キレましたか? これはキレましたか?』

 

 「あ、アルビー君?! 私、大丈夫だから……落ち着いて……ね?」

 

 

 あ、いかん、レティはともかくマリアが死にそうな顔しとる。

 一気に終わらすか。

 

 俺は一瞬でマリアを拘束している男の目の前に現れ殴り倒す。

 

 

 「ぐへぇっ!」

 

 

 男が回転しながら倒れる時に男の手が解けたのでマリアが抜け出す。

 そして逃げ出す時に倒れてしまったので俺が見張りと彼女の間を遮る様に立った。

 

 うーん、船の事を聞きたかったけどここでこれ以上騒がれたり増援を呼ばれるのはヨロシクないな。

 

 ならばこうだぁーっ!!

 

 俺は左腕を薙ぎ払う様に動かす。

 見張りは何をしているのかわからなかった様だが直ぐに理解する事になる。

 俺の左薙ぎ払いは衝撃波を生じさせ見張り2人を壁にめり込む程にぶち当てた。

 

 

 「ぐぼぁあっ!!」

 

 

 そして動かなくなった……生きてる……よね?

 さて……、

 

 

 「マリア、どうしてここに?」

 

 「いやあ、なんかアルビー君がネンダー君と勝負して勝っちゃったから捕まったって友達から聞いてわけわからなくてさぁ」

 

 『確かにそれは意味不明だねー』

 

 

 女神、うるさい。

 

 

 「で、考えたんだけど、この島で侯爵を敵に回して無事でいられる訳もないし……どうせこの学園も親に無理やり入れられたのでアルビー君を連れて逃げようかな、なんて」

 

 おいおい、この子は何を言ってるんだ?

 

 

 




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