元魔王は平和に暮らしたい -俺が殺したい程に必要ないなら勝手にしろ ただしスローライフを邪魔するなら絶対に許さん―   作:ヨシMAX

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第72話 俺と先祖のとっておきの奥の手

 

 

 「さて、準備運動はここまでにしてお互いに全力で行くとしますか」

 

 

 まじかよ。

 あの威力の魔法を放っておきながらまだ本気じゃないっていうのか。

 ブラフにしたって程があるぞ!

 すると徐に教皇が右手の指をパチンと鳴らした。

 

 バタッ!

 

 

 「――っ!?」

 

 

 隣でクレメンティ―ネが倒れた。

 ――っと同時にその姿は消え次の瞬間には教皇の前に気を付けの姿勢で浮いている彼女に気付く。

 意識は無い様だ。

 

 

 「おいっ!? ご先祖っ!? どうしたっ!?」

 

 「二対一というのも不平等だと思いますのでクレメンティ―ネさんには退場頂きました。今は気を失っているだけですけど急がないと二度と目を覚まさないですよ」

 

 「なにをしたんだっ!」

 

 「私は面倒は嫌いです。ダラダラと決戦を延ばすのは向いていないのですよ。それに私と組むつもりがないなら滅するしかないのでね。所謂、神の奇跡と言うやつですよ。私は常に大地の守護神バスティアに見守られているのです。邪悪な存在には懲罰が降るのですよ、……こんな風にね」

 

 

 そう言うと教皇はクレメンティ―ネの首に魔法の刃を突き付ける。

 

 

 「どうします? 先祖を殺すなんて言う特別な経験を味わってみますか?」

 

 「……どちらが邪悪なんだか。神が聞いてあきれる」

 

 

 くそっ!

 まずいぞ、俺は神の絡む魔法はよく知らん。

 どうやって先祖の意識を刈り取ったのか、どうやって手元に移動させたのか、正直な話、全く分からんかった。

 

 もしも本当に時間を過ぎてもご先祖が2度と目を覚まさなかったら……。

 

 あれ?

 何か不都合があるかな?

 ご先祖の存在が最初から無かった事になるとかなら兎も角、眠って目を覚まさない、例えその後に死んだとしても俺の存在が消える事は無くないか?

 まあ、万一の場合はここでご先祖を見切るのも致し方なし……。

 

 

 (わ――っ!! 薄情なのだわっ!! 子孫のくせにご先祖を蔑ろにするのは到底許せないのかしら!!)

 

 

 びっくりした!!

 先祖、大丈夫なのかぃ、お前――っ!?

 

 

 (そんなに簡単にやられる私じゃないのだわ。でも質の悪い呪いの類を受けたんだわ! このままではせっかく会えた可愛い子孫と2度と会えなくなるのだわ!)

 

 止せ!

 急にそんなおかんみたいなセリフを吐くのは止めろ!

 ……とはいえ、こうして話ができるんならそんなに不便じゃなくないか?

 

 わ、やめろ、頭の中でコロスコロスと呪詛の様に唱え続けるのは止めろ!

 

 

 まあ、教皇の奴、嘘は言ってなかったんだな。

 ならばご先祖を早く助ける事が出来れば良いだけだ。

 

 

 「なにやら随分と余裕なご様子。どちらにしろこれが今生の別れになるでしょう。クレメンティ―ネさんとの思い出に整理はついたのですか?」

 

 「……」

 

 「ふふふ、はっはっはっ……。いいでしょう、ここで貴方にももう一度死んで頂きましょう。貴方はねぇ、最強と言われた割りに優しすぎるんですよ。魔王のくせに他人の命を大事で重いと考えすぎるのです」

 

 「……その考えを変えるつもりはない。何度、死んでもな。命は、重いものだ」

 

 「ふぅ……、わかりましたよ。愚かな魔王には私達の崇高な思いなど分からないのでしょう。先祖共々に歴史から消え去るが良いでしょう!!」

 

 

 教皇はクレメンティ―ネにかけた刃でその喉を掻き切ろうと視線を俺から外した!

 

 

 ここだっ! 先祖ぉ――っ!!

 

 俺は凄い剣に魔力を全開で流して光り輝く刀身を振り上げる。

 余りの威力に俺の周りの大気が震えるのが分かった。

 

 (わかってるんだわぁ――っ!! そぉいいっ!!)

 

 「むっ! ぐわぁぁぁああああ――っ!!」

 

 どかぁぁぁああ――――ん!!

 

 

 なんとクレメンティ―ネの身体が爆発した。

 とは言え、これは彼女の特殊魔法であり知っていればなんて事は無い。

 所謂、自爆魔法だ。

 

 彼女は体内の魔力を暴走させて自爆をする事が出来る。

 そして爆発の範囲もコントロールできる。

 今は教皇の顔に向けて爆発を収束させて発動させたのだ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 ――時は昨夜に遡る――

 

 

 「そんな事はどうでも良いのだわ。一つ、君に言い忘れた事があるかしら」

 

 「んっ? 何だよ、改まってさ」

 

 「君が本気になったらハッキリ言って教皇など比較にならない程に高いのだわ」

 

 「そりゃあ、ダメージコントロール無しで後先考えずに捨て身で戦えば勝てる……かな」

 

 「そうなのだわ。君が本気を出せばあんな奴はオーバーキルなのよ。君が教皇を押し切ろうかと言う、いよいよの場面で十中八九、まず間違いなく足手纏いになるのは私なのだわ。あいつは絶対に戦う相手のウィークポイントを攻めてくると思うのだわ、意地が最高に悪いなのだわ」

 

 「ひどい言われ様だな。いや、否定はしないが……」

 

 「そんな時に君は合図を出すんだわ。私にわかる様な強烈な合図を出すのだわ。そうしたら私はとっておきの魔法を使うかしら」

 

 「えっ? それって?」

 

 「私は自爆するのだわ。やつを道連れに爆発してやるのだわ。私が身を削るんでその間に君があいつを倒すかしら」

 

 「自爆って……それ死んでまうんでないの?」

 

 「大丈夫なのだわ、私は死んでも死なないから」

 

 「……ちょっと何を言っているのか分からんけど俺の先祖ならしぶといんだな?」

 

 「私が身体を失った程度で死ぬと思ったらそれは買いかぶり過ぎなのかしら」

 

 「ほんと、何言っているのか分からない」

 

 

 でも、本当に俺の先祖ならどうしたって殺せる自信は無いけどな。

 俺の先祖ならばね。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 「ナイスだぁ――――っ! ご先祖ぉ――――っ!!」

 

 (あいるびーばぁぁぁあくなのだわぁ――っ!!)

 

 

 突然、隣にいたクレメンティ―ネが爆発した教皇は完全に隙を突かれた形だ。

 

 視界の端で彼女が吹っ飛んで宙を舞ってるのが見えたが今は気にしない事にする。

 俺は振り回した凄い剣を引き戻して教皇の脳天目掛けて振り下ろした。

 

 

 「死ねぇ――――っ!!」

 

 

 「くっ……、ぐわぁぁぁああ――――っ!!」

 

 

 光の帯に吸い込まれるように教皇の姿が消えていく。

 凄い剣の刀身は教皇を消し飛ばしただけで飽き足らず後方の中央協会をも吹き飛ばしていく。

 

 

 ……。

 時が過ぎた中央協会前の広場に響くのは肩で息をする俺の呼吸の音だけだった。

 




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