夏油リンクス!   作:かりん2022

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幼稚園の頃。幻聴に悩まされていた。自分の声に似たそれは、絶えず私に話しかける。

聞き取れるようで聞き取れない、半端な声。ノイズと声の中間。

七五三で神社でお祈りをした時。それは急にハッキリとした声となった。

 

【誰もー反応しないー ルルー  寂しいー♩ 消えちゃうー♪】

「変な歌」

【聞こえた!!】

 

 ビクッとした。その途端、頭に響く声の持ち主に捕捉されたのがわかった。

 波紋のような呼びかけは私にはっきりと繋がる線となった。

 

【私の名はスグル。見習いの神様だ! 波長の合う君には信徒になってほしい!】

「……ぼくも夏油傑だけど? 君はお化け?」

 

 お化けならば、なんとか取り込む事はできないだろうか。

 

【はぁ? 私はお化けではないぞ! 魔物十万体を使役して、しっかり神様の資格を取得したからな! まだ見習いだけど】

「魔物ってお化けの事? 十万体お化けを捕まえれば神様になれるわけ?」

 

 私は呪霊を思い浮かべた。それはスグルに伝わったらしい。

 

【ん……お化け? いや、なんだその気色悪い生き物。魔物ではないね。まあいいや。君が信徒になってくれれば、私は晴れて課題を次の段階に進める事ができると言うモノだよ】

「課題って何?」

【信仰を受け取り、信徒に力を与える事さ】

「お祈りすればいいの?」

【そう! そうすれば、私は力を得る事ができるんだ】

 

 そう言って、声の主は私をジロジロと観察する気配。

 

【驚いた。君は別世界の私だね。え? ってことは、私の世界には私の声を聞ける人はなしって事? そんなぁ……】

 

 声は嘆く。

 

【なんにせよ、信徒の契約をしてよ。私は信仰の力がないと死んじゃうんだ】

「そうしたら何をくれるの?」

【そうだね。色々できると思うけど、今はまだ力が足りないかなー。話し相手だったら出来るよ! 何せ私は暇だからね】

「つまり何も出来ないって事ね」

 

 とはいえ、声の主は自分でもある。それはわかった。そして、死んじゃうのが本当なのも。

 

「仕方ないな。いいよ」

 

 答えた途端、つながりがより鮮明になった。

 

【おお、君が集めた想いが私に流れ込んでくるのを感じるよ! 君が私の代わりに信仰を集めてくれたら色々捗りそうだ】

 

 それから、スグルにこの世界を案内した。

 何でもかんでも驚いてくれるスグルは面白かった。

 小学校でお悩み相談をして、感謝の気持ちを集めてスグルに協力した。

 その結果、スグルが呼びかけられる範囲が少し増えたらしい。

 

 そして、中学校の時。

 

“ああもう、なんだこのノイズは?“

[声が……聞こえる? そうだ、行かないと……]

【私の声が聞こえるかい? 聞こえるなら、私の信徒になると誓ってくれ】

 

 2人の別世界のスグルに接続したのだった。

 

 1人は、SF世界の“SUGURU“。

 1人は、ヒーロー世界の[スグル]。

 

 複数になって、あだ名をそれぞれつけあうことにした。

 SF世界の[俺]はハッカーだから[ハック]。

 ヒーロー世界の“僕“はヒーローだから“ヒロ“。

 神様の【私】は狐の獣人だから【コン】。

 そして私はお化け退治をしているから(バケ)。

 

 そうして、私達は、コンに協力する事を約束したのだった。




マシュマロ
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