【僕のヒーローアカデミア】志村転弧ヒーロールート トロフィー【IF..】獲得チャート 作:ぃぃぃぃん
小学生ン時、変なやつを見かけた。当時、私──兎山ルミは修学旅行で広島から東京まで来ていた。んで自由時間で抜け出して面白しれぇモンがないか。一緒に観光をするわけでもなく、特に行きたい場所もなくて、その辺の公園に寄ったんだ。
公園のベンチで一息ついていると、5歳くらいの男の子が一目散にトイレへ駆け込んで行くのが見えた。ソイツ、何回かトイレを行ったりまた戻ったりしてたんだ。手を押さえて、髪の毛もぼさぼさで、服もボロボロ。あたしは不思議に思ってトイレから出たタイミングで声をかけた。
「オイ、どーした?ンな面して。」
最初に声をかけた時、明らかに何かを抱えている感じがした。普通のヤツじゃねぇっていうか、私みたいな生意気だったガキとは違う、なんだか暗ぇ感じ。でも、それを無視するわけにもいかなくて、あたしは無理やり話しかけてみたんだ。
「私、兎山ルミってんだ。オマエなんつー名前?」
そしたらソイツは一瞬ビクッとしたけど、すぐに名前を教えてくれた。「志村転弧」って名前だった。ちょっと変わった響きで面白れぇ、そう思った。公園のベンチに座り、主に私からくだらない話を振って会話をしていると、突然転弧は立ち上がる。どうしたのか尋ねると彼は交番はどこにあるのかと聞いてきた。
「ん、どうした?」
「えと……僕、おまわりさんたちトコ行きくて…。」
「……はぁ!?何でだよ!?」
私が聞くと、転弧はぼそぼそと答えた。何でも、自分の個性で家が崩れ、崩れると分かったうえで父親に触れた、というのだ。それを聞いて、最初は信じられなかった。でも、彼の顔を見ているうちに、なんかすごく不安そうにしてるのがわかった。彼は家族を自分で殺害してしまったことを悔いているのか、幼いながらにそんな印象を抱いた。その時、私は気づいたんだ。転弧が本当に一人ぼっちで、困っているんだって。だから私は思わず言った。
「うっし決めた!私も一緒に行く!!」
その時はどうしてもコイツを助けたくて、そんな言葉が出てきたんだ。
「え…?」
転弧が驚いたように聞き返したけど、私はもう引き下がらなかった。このまま1人で行かせたら、ヤベェことが起きると思ったから。
「オマエだけじゃ上手く喋れねぇだろ。……オイ、ちゃんと目ェ見ろ。」
そう言うと、渋々承諾したため、私は彼の腕を掴み、一緒に市街地まで移動した。市街地を歩いていると、2人組の警官が私たちに近づいてきた。ここら辺で家が崩壊した、そのようなことを警官が口にすると、転弧がすぐさま答えた。
「僕……、知ってるよ。」
「そっか。……じゃあ、ボクのお名前、聞かせてもらえる?」
「……志村転弧。」
「………ハイ、ありがとね。なにか知ってること──」
「家、僕が壊したの。モンちゃんも、華ちゃんも、おかあさんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも。………触ったら崩れちゃうの分かってておとうさんわざと触ったの。」
「バカッ!なんで今言うんだよ!?」
「──ん?……どういうことかな?」
彼は突然、自分がすべてやったと話した。私は慌てて彼の肘を小突き、小声で咎める。途端、顔を険しくした警官2人。私は慌てて彼らの間に入ろうとした。瞬間、女性が声をかけた。声のした方向を見ると、そこにはプロヒーロー、レディ・ナガンがいた。ピンクとダークブルーのバイカラーの髪をポニーテールにした彼女は私たちに声をかけた。
「どうしたんだ、君たち。こんなところで何やってる?」
その後、転弧は彼女にも同じように話すと、彼女はもう大丈夫だと言い、警官2人を呼んだ。
「…………そうか。よく話してくれた。もう大丈夫だ。2人とも、少しいいか?」
ナガンと警官たちの話が終わると、一応関係者として私の話も聞きたいと言われたため、話し終えると帰って良いと話された。空の色はオレンジ色になっており、私は慌てて、外で待っていた転弧に集合場所に戻らなければいけないことを伝えた。転弧は、初めて笑顔を見せると、私に一緒に来てくれてありがとう、と礼を言った。年齢に合った表情も出来るのかと私は内心驚いた。
それ以来、アイツとは会えていない。
一軒家が突然崩壊したという通報を受けパトロールをしていると、2人組の警官とウサ耳の生えた小学生の女の子、そしてまだ5歳になろうとしている子供を見つけた。
通報が入った時、状況はあまり良くなさそうだと感じていた。家が崩れたという情報に、私はヒーローとして警戒心を持ちつつも冷静に対処する必要があった。そこでは、警官二人が何か話していた。そして、その周りにいたのは、見知らぬ小学生の女の子と、さらに驚くべきことに、年端もいかない子供が一緒にいるではないか。その子供は、どこか頼りなく服が汚れているようにも見えた。何かあったのだろうか?私は警官に近づき、まず状況を確認した。
「どうしたんだ、君たち。こんなところで何やってる?」
警官はすぐに話しかけてきた。
「ええと…その、この子の個性で家が崩れたようです。それと…。」
言い淀む警官を一瞥し私はその子に名前を尋ねた。
「君の名前は?」
「…………志村転弧。」とその子は答えた。
私は一瞬、彼の目を見つめた。その目は、今までに見たことがないほど疲れていて、でもどこか決意を感じるものがあった。何かを背負っている子供のようだと感じた。彼は私に、家を崩壊したのは自分だと伝え、崩壊すると分かっていながら自身の父親に触れたと言うのだ。その時、私の直感が働いた。この子を放っておくわけにはいかない。大きな問題が背後にあるのかもしれない。その後、警察官の2人と共に彼と、一緒に来たという女の子に話を聞き、どう対処するべきか頭を悩ませた。数時間後、警察の見解を伝えるべく女の子を見送った彼に近づく。なるべく威圧感を与えないように屈んで目線を合わせる。
「転弧くん、少しいいかい?」
そう言って、私は彼に声をかけた。彼は少し驚いた顔をした後、頷いた。私はなるべく分かりやすい言葉で説明をする。
「君のお家のことなんだが、個性が出たことによる事故として片付いた。でも、君にはまた何日かここに来て話をしてもらう。」
「………でも、僕、家ないよ?」
私は彼に、自分の家でしばらく暮らさないかと提案した。
「もし、君さえ良ければ、私のお家でしばらく暮らさないか?それに、個性も上手に使えるようになりたいだろ?」
その瞬間、彼は一瞬迷ったが、やがて決意を固めたのか、私の提案を受け入れてくれた。その後、転弧は私の家で生活することになった。彼にとって、あの時の選択がどれほどのものなのか、私にはわからない。しかし、私は彼にとっての新しいスタートを提供できたことを、少しだけ誇りに思った。私と過ごす時間が、彼の成長にどう影響するのかはわからない。彼には、明るい未来が待っていることを願うしかない。そんなことを考えていると、不意に彼は声を上げた。
「あ、あの!!……僕、ヒーローなりたいの。こんな個性でも、ヒーローに、なれるかな?」
見れば、彼は何かを求めるような表情をしていた。彼は夢を否定されてきたのだ。求めるものは一つだけだろう。私は力強く答えた。
「勿論。君は、ヒーローになれる。」
これは、彼がヒーローになる物語。