「ダイヤモンドスライムの素材要求量エッグ…」
ジョーカー2プロの攻略情報を見ながら驚愕する。懐かしくなって段ボールから引っ張り出してやり始めたのはいいけど、これはなかなか厳しい。なんだよスライムベホマズン二十四体って。イカれてんのか。
…やるかぁ。どうせ暇だしなぁ。カフェテリアで昼食を取りながら素材集めしますか。
「あ、死んだ」
よそ見しながら素材集めしてたらHP無かったみたいで気付いたら強スライムがお亡くなりになってた。よそ見っていけないね。
「あ、DS!懐かしいですね」
後ろから声を掛けられる。今の子はDSそのものの存在を知らない子もいるらしいが、やっぱそれは迷信のようだ。だってこの前トランがPSP分かってたんだもん。
「でしょ。引っ張り出してきたんだけど昔のゲームはやっぱり面白いよ」
「ですね。私はソニックをやってましたね。あの時はやり込んでたなぁ」
「あーソニックかぁ。俺やったこと無いんだよ。やってみたいけど機会が無くってさ」
ドラクエとか龍が如くとかのシリーズ物はやってたけどハードがハードだったからかソニックは手付かずだった。どんなゲームかっていうのは大体わかっているんだけどなぁ。
「あ、じゃあ明日ゲーム機と一緒にソフトを持ってきましょうか?今はもう使ってないので」
「お、マジで?じゃあお言葉に甘えちゃおうかな~。…ワリィ、顔は絶対見たことあるはずなんだけど名前が出てこねぇ」
「お気になさらないでください。サトノダイヤモンドです。今日と同じくらいの時間にカフェテリアで待ち合わせましょうか」
「おk、楽しみにしてるよ」
次の日、大体同じくらいの時間にカフェテリアに着く。さて、昨日と同じ席が空いてるしそこで待とうか。
「なぇダイヤちゃん、その箱って何が入ってるの?」
「私が昔使ってたゲーム機だよ。あ、奥沢さん!こっちですよ!」
おっと、先についていたのはダイヤちゃんだったか。女の子を待たせてしまっていたのか。
「おうダイヤちゃん。待たせたか?キタちゃんもいたのか、チョイ失礼するぜ。…急かすようで悪いけど、例のブツは持って来てくれたかな?」
「はい!こちらに用意してありますよ!」
「いやぁありがてぇ。早速開けてもいいか?クリアしたら絶対返すから気長に待っててくれ」
「使ってなかったのでいつでもいいですよ」
さてさて、御開帳っと。お、これがソニックかぁ。カセットとはまた渋い…。ちょっと待て、何だこのカセットの形。ゲームボーイでもアドバンスでもない。ファミコンでも64でもない…。ダイヤちゃんはゲーム機もセットで貸してくれたはずだ。ゲーム機を確認しよう。そして、確認して絶句する。
「ゲームギア…だと…!?」
単三電池六本使って稼働時間三時間という圧倒的燃費の悪さを誇っているあのゲームギアが、俺の目の前にある!俺が遊んだ一番古いハードが64だがそれを超えるものが出るとは思わなかった。
「電池も入れておきましたので自由に使ってくださいね!」
箱の奥の方を見ると十本入りが三パック入っていた。しかもお値段がいい奴。わあすごい、コレなら安心…じゃねえんだよ!驚愕のあまり絶句しているとダイヤちゃんが心配したような声を掛ける。
「あの、どうかされました?」
「いや、大丈夫。ただ俺より若い子からここまで懐かしいゲーム機が出てくるとは思わなかっただけ」
「そうなんですか?私の家のものは昔はよくやっていたんですが…あと家にはメガドライブがありますね。クラちゃんとよく遊んだなぁ」
親がSEGAの回し者としか思えない。メガドラってマジか。あの口ぶりだとセガサターンもドリキャスもあるんだろうな。…ダイヤちゃんの家って宝の山なんじゃあないの?話を戻して、借りたのは事実。どんな弊害があったとしてもクリアしないといけないだろう。
「さて、俺はトレーナー室で早速プレイするかな。クリアしたら返すからな~」
「あぁ、待って!そこで電池切れないで!データが飛んじゃう!まって、止めて…よしクリアできた!セーブして終了!」
電源を切ってゲームギアの電池を交換する。電池の性能が上がっているのか、三十分も多く稼働した。コーヒーを口に流し込みながらふたを閉めてカセットを差して起動する。…そこで俺は今年一の衝撃を受ける。
「…セーブデータが…無い!」
何故だ!さっき確実にセーブしたぞ!いったい何が起こっている!?…試してみるか。ソニックの一面をクリアしてセーブしてから電源を切る。そして電源を入れる。そうするとセーブデータがやっぱり飛んでいた。セーブできないゲームってどういうことだよ。ドラクエだって訳の分からん復活の呪文形式だがセーブ出来たんだぞ。兎に角調べるしかない。『ゲームギア セーブできない』っと。
そこで俺は先ほどの今年一を上回る勢いの衝撃を受ける。
「ボタン電池?」
何とビックリ、カセットの中にも電池が入っているらしい。その電池でもっとセーブデータを保持しているようだ。衝撃だったが、これなら対処できる。借りている手前、少しばかり躊躇するがカセットばらすか。……ふっざけんなよ。
「こんなビットある訳ねぇだろ!!」
そこに鎮座していたのは何ていったらいいのかよく分からない兎に角へんてこりんなネジがそこにはあった。はい中断、ダイヤモンドスライムの素材集めよう。そう思いDSを開く…が、画面が真っ暗。嫌な予感がしてカセットを見ると見事に半分飛び出していた。多分カバンの中で当たったんだろうな。
「……………」
窓に肘を着き、お天道様を仰ぐ。そして今の心境をただ一言。
「クソがッッッ!!!!」