新人トレーナーの日常   作:サラダ味

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23話

「すまないな、集まってもらって」

 

「いや、いいんすけど…なんかあったんすか?こんな面々集めて」

 

先輩トレーナーに呼び出されて現地に行くとゴルシ、ジャーニー、錯乱坊、後知らない人が一人。このメンツにいるって事は問題児なんだろうな。

 

「アンタとは初めてか。奥沢だ。アンタはどんなタイプの問題児だ?」

 

「問題児って決めてんじゃねぇよ。ナカヤマフェスタだ。っで、何の要件だ、メノのトレーナーさんよ」

 

あ、この人フェノーメノのトレーナーだったんだ。全然知らんかった。…って事は、あれか?

 

「君たちを集めたのは、フェノーメノのことなんだ。一カ月前くらいから連絡が取れなくなってしまったんだ」

 

「やっぱり、昨日バンブーに聞かされたっすわ。なんでも俺を張ってるとか」

 

「なんだよオメーかよぉ。じゃあアタシ達は関係ないな!焼きそば売ってくるぜ!この季節にジャリンジャリン稼ぐんでい!」

 

「ま、待ってくれ!奥沢君だけじゃなくて君たちからも話しが聞きたいんだ!」

 

「だそうですよ、ゴールドシップさん。それに、気になりませんか?あの生真面目なフェノーメノさんが何の連絡もなく行方不明になってしまわれた…。興味が湧きませんか?」

 

「た、確かにな!よし、話してみろマメちんトレーナー!」

 

ジャーニーがゴルシを何とか引き留めることに成功して先輩がノートを取り出して机に置く。そして話始める。

 

「約一か月前、フェノーメノは奥沢君を逮捕するために一カ月張り込みを開始すると言っていたんだ。だから俺は連絡が来ないこと自体には疑問に思ってなかったんだ。だが期間が過ぎても姿も現さないし連絡も取れない。だからアマゾンに掛け合って彼女の部屋を調べさせて貰ったら…このノートが出てきたんだ」

 

「こりゃ、日記みたいなものか?」

 

「察するにアンタの観察記録って所か…どうするんだ?読むか?」

 

「…読むほかあるまい。奥沢、貴様が読め」

 

「あいよ。さてさて、俺のことをどう書いているのやら」

 

期待半分怖さ半分でノートを開く。

 

『張り込み一日目

 

最近、奥沢さんの問題行動が目立つ。エアグルーヴさんや会長の手を煩わせていると聞く。ならば私が張り込んで、問題を起こす前に逮捕する。…今日の所は特に目立った行為はナシ。このまま観察を続ける。

 

張り込み二日目

 

対象に動き無し。監視を続ける。

 

張り込み五日目

 

オペラオーさんとオペラを開始。特段とした問題行為ではないためこのまま観察を続ける。その後中庭にて本のようなものを拾い、アグネスデジタルさんと一悶着、エアグルーヴさんに連行される。…私の仕事のはずがまた手を煩わせてしまった。次こそは迅速に出動せねば』

 

あっただろうが問題行動。オペラは問題じゃねぇってか。…問題だったらとっくの昔にしょっ引かれてるか

 

「どうかさないましたか?」

 

「いや、コイツちゃんと仕事してんのかなって。続けるぞー」

 

『張り込み八日目

 

依然として対象に怪しい素振りは見られない。今日も今日とてあんぱんを食べる。

 

張り込み十一日目

 

サトノダイヤモンドさんとの取引を目撃。しかし前日の会話から中身はゲームギアと判断。しかし油断ならない。今後の行動を以て処遇を決める。…あんぱんの味に飽きが来ている。こちらも要対策だ。

 

張り込み十二日目

 

取引の中身はゲームギアで確定。引き続き監視を続ける。

 

張り込み十三日目

 

スカウト失敗、それ以外に変わりなし。あんぱんにも変わりなし。

 

張り込み十七日目

 

対象がDS片手に歓喜の声を上げる。恐らくダイヤモンドスライムの作成を終えた模様。次はヒヒュドラード作るぞと意気込んでいる。しかし既にネットサービスが終了している今、モンスターのタマゴも無ければわるぼうを入手する手段もない。すぐに意気消沈してしまうだろう。』

 

「うるせえなぁ!分かってんだよそんなことはよぉ!」

 

突然無念をえぐられて憤慨する。DSのネットサービス終了するの早過ぎないっすか?PSPですらダウンロード機能だけは生きてるんですよ?

 

「なんだよヒヒュドラード作りてぇならアタシのROMから引っ張ってやろうか?」

 

「わるぼうって交換できるのか?…出来たら後でくれ。続き読むぞー」

 

『張り込み二十日目

 

スカウト失敗、もはやいつもの光景だ。少し可哀そうにもなってくるが張り込みが対象にバレる訳にもいかない。そして私はあんぱんを食べる。

 

張り込み二十一日目

 

突然の腹痛に襲われる。買い込んでいたあんぱんの消費期限が切れてしまっていたようだ。次から気を付けなくては。

 

張り込み二十二日目

 

ゴルシさん、ナカヤマさんがビブラスラップを持って暴れているのを目撃、即座に確保。その間に対象を見失う。何という失態、反省しなければ。そして…今日もあんぱんを貪る。』

 

「おめぇら会ってんならそれ言えよ!」

 

「いやぁ、特に何も無いと思ってよ。行方不明なんてさっき知ったくらいだぜ?」

 

「同意見だ。第一、忠犬みたいなアイツなんだ。トレーナーのアンタが呼べばすぐに出てくるんじゃないのか?」

 

「何度も試したよ。でも駄目だったから君たちを呼んだんだよ」

 

まぁ…だわな。それよりも、日記の様子がおかしい…気がする。何故かあんぱんへの言及が増えている。張り込みの定番ではあるけど…続きと行こう。

 

『張り込み二十四日目

 

何故あんぱんと牛乳なのか?考えてみれば実に合理的だ。この二つがあれば糖分にエネルギー、カルシウムにタンパク質など主要成分を摂取できる。あんぱんのすばらしさを再度実感しながら私は…あんぱんを大空へ向けてスパーキング。』

 

「は?」

 

『張り込み二十五日

 

何故だ、何故対象はこんな時に限って問題を起こさない?もしかして、勘付かれたか?いや、その素振りは無い、引き続き監視を続け…あんぱんを壁に向かってスパーキング。』

 

「あらあら」

 

張り込み二十六日目

 

ドトウさんが放った机の椅子が対象を直撃、撃沈を確認。そののちに買い出しに出掛け…店員さんに向かってスパーキング!』

 

「マジか…」

 

『張り込み二十七日目

 

オルフェさんに向かってスパーキング!!!』

 

「何その状況金払えるくらいおもしれぇじゃねぇか」

 

「あぁ…あの時お前からあんこの匂いがしたと思ったらそういう事だったのか」

 

「あの時ばかりは面食らったがな。あ奴にも道化の才があるとは驚いたぞ。…早く続きを読め」

 

『張り込み二十九日目

 

どうしても昨日の記あんぱん憶が思い出せない。それどころか全身を強くあんぱん打ったかのように痛む。』

 

「おめぇなにした!?絶対ありえんくらいボコボコにしただろ!?」

 

「知らん」

 

『しかし張り込みをあんぱん中断するわけにはいかない。対象は合宿所に行ったらあんぱんしい。私も赴かなくては。』

 

「こう書いてるって事はこっちにいるんじゃないっスか?あと明らかに様子がおかしいっすけど」

 

「そうかもしれないな。それなら出てきてくれてもいいのに…」

 

とは言え、時期が近づいてきているのでかなりの手掛かりになるだろう。続きを読もう………!??!?

 

「どうした奥沢、なんかあったのか?」

 

「手が震えてるぞ?」

 

ページをめくったノートを机に叩きつける。こんなもの持っていたくない。その場の全員がそれを覗き顔を青くする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

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叩きつけた数秒後、俺はノートを閉じる。そして俺が採った策は…

 

「ゴルシ、ナカヤマ。お前ら一儲けするって言ってたよな?もう行った方が良いんじゃねぇか?」

 

「お、おうそうだな!ナカヤマ、付いてきやがれぇ!」

 

「アタシの作った焼きそばかお前の焼きそばか…ヒリついてきたじゃねぇか」

 

「ほら、お前らも用事あっただろ?俺も暇だしついてっていいか?」

 

「ちょうどオルとショッピングモールを巡ろうと思っていたんです。旅は道連れ世は情け…です」

 

「追い返すところだが…一時杖になることを認める」

 

「やったぜ。…そういう訳ですから、お邪魔しましたー」

 

逃走である。はい、無理です。ああなった人をどうにかすることも無理だし探したくもない。

 

「ま、待ってくれ!頼れるのは君たちしかいないんだ!」

 

「先輩諦めてください!フェノーメノはあんぱんの海に沈んだんです!俺たちに出来るのは追悼だけでっせ!?」

 

引き留めに来た先輩を引きはがそうと努力する…が、振りほどけない。クッソ、力強いなこの人!

 

「フェノーメノを召喚できるのはもう君だけだと思うんだ!頼む、この通りだ!」

 

ハァ、先輩に頭を下げられたら逃げるわけにはいかないか…。

 

「…分かりました。少しばかり手荒になりますけどいいっすか?」

 

「ああ、彼女が帰ってくるなら多少のことなら」

 

「分かりました。少し乱暴します。それじゃ先輩…」

 

隠し持ってたドスを抜いて刹那の内に距離を詰めて先輩の腹を貫く!…訳にはいかないのでスーツを掠らせるくらいにする。

 

「な、何をするんだ!?」

 

「ワリィが死んでくれ!」

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