新人トレーナーの日常   作:サラダ味

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25話

「あっち~…」

 

ゴルシ印の焼きそば片手に愚痴る。海なし県出身で初日や二日目ははしゃいでいたがもう今となっては特に何も感じない。むしろイライラが勝っている。なんでこんなにジメジメするんだよ。渚に立っているだけで体がしょっぱくなるし。

 

「待ってくれよマルゼーン」

 

「アハハ、捕まえてみなさーい」

 

…トレンディなものを見ても心が全く揺れ動かない。ぶちのめしたいとすら思えない。普段はリア充爆発しろ勢だがそんな事すら思わなくなるんだからいかに暑さにやられているかだ。…ダメだ我慢できねぇ。コンビニ行ってガリガリさん買ってくるわ。

 

 

 

 

 

「一時的すぎる……」

 

アイス食べてもどうにもならないほど暑い。というよりアスファルトの照り返しのせいで海にいた時より暑く感じる。ニュースじゃあこの先もっと暑くなるらしい。今でさえ暑いのにこれ以上暑くなったら普通に死人が出る。ギャグみたいに言ってるが実際問題熱中症でぶっ倒れてそのまま三途の川リゾートへの片道招待券を使う人が毎年かなりの数出ている。ウマ娘の皆がこうならないのはひとえにトレーナーの皆様方やトレセンの手厚い支援の賜物だろう。…はぁ、担当欲しいなぁ。

 

「暑いねぇお兄様~…」

 

「まだまだ続くらしいし先が思いやられるな…」

 

「はふぅ…おかゆみたいにとけちゃいそう…」

 

同じくコンビニから出てくるウマ娘とトレーナー。なぜおかゆで例える。想像しただけで暑くなるようなものを口にするのをやめろ。今摂取したアイスの効力が無くなってしまう。だめだ、もうこんな所にいられねぇ。合宿所に行ってエアコンガンガンに効かせて引きこもり開始だ。

 

 

 

 

 

「え、エアコン故障ぅ!?」

 

帰って来て早々沖野さんから信じがたい事実を宣告される。ここまで頑張って歩いてきたせいで暑さで死ぬ一歩手前だ。

 

「そうらしい。幸いウマ娘寮のほうは壊れてないらしいからそれは救いだな。兎に角、俺たちはエアコンが治るまではどっか違うところで寝泊まりしよう」

 

「………」

 

「おい、どうした?」

 

「ヒャッハー我慢できねぇ!エアコンが効いてるってんならどこへでも乗り込んでやるよぉ!」

 

「あっ、おい!」

 

もう無理、限界だ。だってね、コンビニから往復してきたんだぜ?こっちは暑さでアタマがおかしくなりそうなんだ。涼めるのなら俺はどこへだろうと行ってやる!

 

「ここなら効いてるかぁ!?」

 

「うわぁ!!?」

 

ウマ娘寮に乗り込み目についた部屋のドアを破壊する勢いで開け放つ。くつろいでいたウマ娘を驚かせてしまったがガン無視を決め込む。そして、くつろいでいるという事はつまり!

 

「あはあぁぁ~~~すずし~」

 

冷気が俺の体を包む。これだ。これを俺は求めていた。思わず満面の笑みがこぼれる。さて、コンビニで買ったお茶を出して床に横になって………整いました。

 

「おやすみなさい」

 

お昼寝タイム突入である。もう外行きたくない。だってくそ暑いんだもん。

 

「トレーナーさん、不法侵入は良いにしても、公然とサボっちゃって大丈夫なんですか?」

 

「ああ大丈夫大丈夫。俺暇だから。お前も暇なら寝ちまえ。寝る子は育つっていうだろ?」

 

「それもそうですね。じゃあ私も寝ますね~」

 

「そうはいかないんだな~これがな~」

 

「「んあ?」」

 

顔を上げると誰か立っている。多分…芦毛のコイツのトレーナーか?じゃあ百パー先輩じゃねぇか。人のことは言えないが、平気でウマ娘の部屋に入ってくるとはな。

 

「ミラ子よ、今日は遠泳トレーニングのはずだったよな?それにその恰好…外にすら出てないな?」

 

「あ~…それはその~…」

 

お前もサボりかい。だがまぁこの暑さだと外に出たくないのはよく分かる。着替えるために外に出るのすら嫌になる。

 

「さあミラ子、これをカンカンされたくなければすぐに準備しようか」

 

「えぇっ~~?そ、そこの人、何とかしてくださいよぉ」

 

「そんなこと言われてもなぁ…まぁまぁ旦那、そうカリカリなさんな。今日くらい休みにしてやってくだせぇ」

 

仕方ないので擁護してやることにした。いくら合宿とは言え休みなしではオーバーワークで逆効果になるだろう。

 

「君は昨日も一昨日もそう言って休んでいたじゃないか!今日こそはトレーニングしてもらうぞ!」

 

「そうだそうだー!」

 

「味方が一瞬で敵になった!?」

 

事情が変わった。そんだけ休んでんならトレーニングしろ。外出て体を動かしなさい。

 

「うぅ…分かりましたよぉ。今日はおとなしく観念します」

 

「物分かりが良くてよろしい。…さて、ついでだ、君も来なさい」

 

「え、おれぇ?」

 

藪から棒に名指しされる。俺が何したって言うんだ?

 

「沖野さんに頼まれてね、ウマ娘寮から連れ出してくれと言われてるんだ。さあ来るんだ」

 

「俺ここで涼んでるんですよ?逆に言えばそれしかしてないんですよ?」

 

「女子部屋に男がいるっていうだけで異常事態なんだよ。さあ来るんだ」

 

「いやだー止めろー放しやがれー!!俺はここで涼んでたいんだー!」

 

「こら、暴れるんじゃない!」

 

ドナドナドーナードーナーミラ子ととーもーにー

ドナドナドーナードーナー俺は引きずられー

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