新人トレーナーの日常   作:サラダ味

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28話

「キングのクッキングヘイロー!今日も始めていくわよ!」

 

「おー」

 

前置きをすべてすっ飛ばしてこの状況になっている訳だけども、簡単に説明する。キングのトレーナーがご多忙ゆえの代打で俺が呼ばれたって訳。

 

「今日はトレーナーが来れないみたいだからスペシャルゲストとしてこの人を呼んだわ!さあ奥沢さん、ゲストの貴方にメニューを選ぶ権利をあげるわ!」

 

しかもこれ、配信されてるらしいっすわ。俺の顔面が全国区になってしまう。随分大昔になった事あるけど。

 

「お、選ばせてくれるのか。…メニュー表はどこだ?」

 

「あら?おかしいわね。トレーナーはキッチンに置いておくって言われてたのだけど」

 

軽く見てみても、本のようなものはない。だが何故かシンクの真ん中にDSが鎮座している。それ以外に調べられるようなものは無かったので開いてみることにした。

 

「メモが挟まってたぞ?何々?『ちょっと趣向を変えてみました。頑張ってください。』だとよ」

 

「キングに掛かればどんなレシピでも一流の料理にしてみせるわ!さあ、起動して頂戴!」

 

「あいよ」

 

電源を入れてスタート画面が表示される。するとカセットの名前が表示されるのだがその段階で帰りたくなってしまった。画面をカメラに向ける。するとコメ欄は…俺の期待を下回る反応を示す。

 

『DS懐かしいなー』『キントレまだですか?』『早くメニュー決めて、役目でしょ』

 

まさか、知らねぇのか?まぁ、バグってああなってるわけだからこのカセットがそうなってる訳じゃないからな。気を取り直していこう。

 

「早くしなさいな。尺だってあるのよ?」

 

「あるのか。ちょっと待ってろ」

 

急かされたのでゲームを起動する。頼む、何も起こらないでくれ。

 

「やるベシ!DSお料理ナビ!!」

 

「え、何よコレ…」

 

「ブッフオォ!!」

 

「おはようゴザイマス。キョウは、調リバサミが美味しい季節デスネ⤴!フライパンを和え⤵るのもイイデスガ電子レン⤴ジと合わせるともうたまりま⤴せん!」

 

ああ終わった、盛大にバグり散らかしてる。我慢できずに吹き出してしまった。これを実機で見ることになるとは思わなかった。ほんで実際見るとこんなに面白いとは思わなかった。いやひでえなこれ。

 

「ちょっと!どうなってるのよこのゲームは!」

 

「まぁカセットの出所は後で聞くとして…さて、どれ作るか」

 

メニューを見てもやっぱりバグってる。もう何が何だか分からない。ご飯とライスのライスかけライス丼ってなんだ?しかも小麦粉で作るらしい。どっちだこれ?…これにするか。文字化けしまくって読めすらしないが写真がトンカツっぽいから多分恐らくきっとまともだろう。

 

「よしこれにした。キング、頑張ろうな」

 

「まともに出来る気がしないのだけど…」

 

「さぁ、美味しいネアポリス風焼きトマトのリゾットの熱盛アイスクリームの磯辺焼きを作りましょう」

 

トンカツどこ行った?

 

「いったい何が出来るのよコレ…」

 

「知らん。コメ欄見てみろ、地獄だぞ」

 

『明らかゲテモノで草』

 

「まず、トマトを切ります。まな板と包丁を用意してください。クダサイイィィィィィィィ!⤴」

 

「あ、はい」

 

まだまとも。ちょっとだけ、本当にちょっとだけ安心した。絶対に使わないだろうけど言われたものをキングが用意する。

 

「次に、熱湯を1586分の1用意し、火にかケスグ⤴に捨て更にエビフライ⤵を微塵切りにします。これでポテトサラダがデキました。コチュジャンに氷を入れると、ごま油が発生ス⤵ルノデ、注意してください」

 

「クッ……クッ…!」プルプル

 

「何よこのへっぽこ機械は!」

 

『チートバグかミ?』『キントレはどこからこんなもの手に入れたんだ』『放送事故不可避』

 

理解しようとするだけ無駄だとすぐに察した。俺は笑いをこらえながら用意した包丁やトマトを元の場所に戻す。キングは怒り心頭な様子でDSにがっつく。

 

「次に、みりんとしおを、各大サジ50用意シ、5センチの幅に切って⤵くだ⤴さい」

 

「液体が切れる訳無いでしょ!」

 

「まあ落ち着け、取り敢えず読み進めてみようぜ、な?」

 

「これでお前は終わりです」

 

「貴方を終わらせてあげるわよ!」

 

「落ち着けぇ!!」

 

キングがめん棒片手にDSを破壊しようとするのを羽交い絞めして何とか止める。これを初めて見た人ってこんな感じになるんだ。怖いね。

 

「もう他のレシピ帳用意した方が良いんじゃないの!?」

 

「それはそうなんだけど、俺が興味あるから最後まで見せてくれ」

 

「ソレデハ、菜箸を炒めマス。ピーラーを用意シテクださい」

 

ハイ、のっけから意味分からない。というか調理器具を調理しすぎだろ。あと料理名に関連しそうな食材トマトしか出てねぇじゃねぇか。

 

「中央自動車道、小仏トンネル付近から八王子ジャンクションの間で約10キロの渋滞です」

 

「知らんわ!」

 

流暢にしゃべり始めたと思ったら全く関係ない情報を開示し始めた。あそこ性懲りもなくほぼ百パーセント混んでるけども。

 

「ツギニ、焼きニンニクヲ作ります。卵⤴を電子れんじに入れて2時⤵間加熱してクダさい」

 

「もうツッコまないからな。次」

 

「最後に、お皿に盛り付けたら出来上がりです」

 

「え、終わり?」

 

次へボタンを押すと本当に終わった。そこには茶鮭のチョコレートゴマダレ和えという料理名で碗蒸しの画像が貼られている。一切として何も合っていない。いやー酷いチートバグを見た。では、最後は様式美で〆るとしよう。

 

「アリアリアリアリアリした!」

 

「ありーヴぇ帰るチ!(さよナランチャ)」

 

……あ、クッキングヘイローがどうなったかって?事故ってアーカイブ入りしたよ。

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