新人トレーナーの日常   作:サラダ味

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32話

「立直よ!」

 

「ふふ、残念。それでロンですわ」

 

バァン!!

 

「お姉ちゃん…」

 

「もうこれで3回ハコ下…」

 

無言の台パンほど怖いものってないと思うの。…あ、どうも。俺の部屋が遂に待機所みたいな感じに扱われてるんじゃないかという疑問を感じざるを得ない今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。今日は何と、ヴヴヴ三姉妹にあのジェンティルドンナまでそうそうたる顔ぶれ。何故揃ってしまったか?担当トレーナーが上手い事ちょうどいないんだって。バーカ。

 

「ジェンティル……ドンナ…!!」

 

「もう一度やるのかしら?」

 

「盛り上がってるところ悪いんだけどさぁ、台だけはぶっ壊すなよ?自動雀卓案外高いんだから」

 

「分かっています!さぁ、もう一度よ!…あ、あら?」

 

ヴィルシーナがどれだけボタンを操作しても雀卓はうんともすんとも言わない。何故か?理由は分かってる。

 

「ま、まさか…壊れてしまったの?」

 

「あらあら…」

 

「ヴィルシーナに15万請求っと…メモメモ」

 

あんな台パンかませば何であろうが基本ぶっ壊れる。暫くは手積みかぁ。

 

「べ、弁償はしますから!あと一局だけ!やらせてください!」

 

「それはいいけどさぁ、お前らメシはどうするんだ?」

 

「カフェテリアで取ろうと思ってます。姉さんとジェンティルさんがこんな感じなのでこの後になると思いますけど」

 

「お姉ちゃん頑張ってー!」

 

……シュヴァルにヴィブロスよぉ、お前らも打ってるからヴィルシーナが負ける要因はお前らも作ってるんだけどな?まぁそろそろメシ時だ。なんか食べに行くか。…ふと、疑問に思った。こいつらってボンボンだよなぁ。って事は俺らのような庶民が普段食べてるような外食チェーンって行ったこと無いんじゃないのか?…ということで。

 

「これが…牛丼」

 

実際に連れて行ってみた。今回ご協力いただいたのは近所の牛丼屋。取り敢えず普通の牛丼並盛を注文した。後日インタビューに答えていただいたが、その時の回答をここに置いておく

 

「いやいや、あの三姉妹にジェンティルドンナがこんな所に来るとは思わないじゃないですか。マジにビビりましたよ。今思えば、サイン貰っておけば良かったなぁ」

 

そうか、こいつらよくよく考えたら有名人なんだな。さて話を戻して、どんな反応をするのか。

 

「キタさんと何回か来たことあるけど…やっぱり美味しい」

 

お、シュヴァルは来たことあったか。キタちゃんも結構庶民派なのか?いいもん食ってそうだけどな。

 

「お肉の脂がしつこい~…」

 

「いったいどこのお肉かしら…」

 

「安いだけね」

 

こいつら3人はあの世に送る。やはり貴族共とは味覚が合わないようだ。連れてきたのははっきりと間違いだったやもしれん。さて、どうぺしゃんこにするか。

 

「でも美味しいかも!」

 

お?

 

「こういう味も悪くないわね」

 

お?お?

 

「あら、こういう味が好みなの?」

 

ジェンティル、お前だけは殺します。いい流れだったじゃん。…よし、この文言を使う時が来たようだな。ちょいと変えさせてもらうけど。

 

「お前はそう言うけどな、まぁこのご時世だ。100グラム1万円の松阪牛だの、1柵5千円のマグロだの、高いモンはあらかた食べてきたけど…こういうチェーンの1杯450円の牛丼が一番うめぇ。ホント、カネってのは何なんだろうな」

 

大人になって高いものを食べた後になって、この言葉がどえらい位染みるようになった。ボロイ屋台の80円の大根も今なら物凄い美味しく感じるんだろうなぁ。さあジェンティル、どう返す?

 

「お金とはなにか?簡単ですわ。それ即ち、力。何でもできるとは言いませんが、手札としては有用ですわね」

 

「…なるほど、確かにその通りだ。…あの時、金があったら俺もああはならなかったのかな」

 

「え、それってどういう…」

 

「…何でもねえ、ただのボヤキだ、気にするな。ほら、まだ腹いっぱいじゃねぇだろ?どんどん食え」

 

 

 

 

 

 

「意外とイったな…」

 

どんどんと食わせていったら会計が案外バカにならなかった。牛丼屋だったよなと思いながら店を後にする。どれくらいイったかは…樋口一葉さんはくだらないね。

 

「ご馳走様でした。貴重な体験でした」

 

「これがか?」

 

「だって私こういうの初めて食べたもん!こういうのがあるんだなって!」

 

「少しカロリーが気になりますが…まぁ、悪くはありませんわね」

 

「少し心配だったけど…姉さんたちの口に合って良かったよ」

 

貴族というのは分からんねぇ。というより、本当に牛丼を食べたことが無かったとは思わなかった。性質上上流階級のウマ娘が多いのは知ってたが…ファインとかファインとかファインとか。

 

「そう言えば、そろそろ時間ですわね。それでは奥沢さん、ごきげんよう」

 

「おう、頑張れよ~」

 

そういう訳で店前で分かれた訳だけども…あーやっとお守りが終わった。帰ってカセットテープ聞こ。どっか行ったときにいいのを買ったんだ。

 

「………ッ!!!あの野郎ふざけやがって!!」

 

見て一瞬で体が動いた。考えていない。恐らく反射だろうな。

 

「ヴィブロス!危ない!」

 

「えっ……?」

 

キキイイィィィィィィィッ!

 

信号無視しやがった車がヴィブロスに突っ込もうとする。ヴィルシーナが付き飛ばそうとするが…

 

「1手遅ぇ!」

 

それではヴィルシーナが代わりに轢かれるだけだ。だから俺が割って入る。発勁プラス鉄山靠でヴィルシーナとヴィブロスをまとめて安全圏へ吹き飛ばす。

 

「奥沢さん!」

 

これであいつらは安全だ。だがまぁ、1手遅かったのは

 

「俺もか」

 

ガシャアアァアアン!!

 

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