新人トレーナーの日常   作:サラダ味

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4話

「トレセン学園って結構本格的な道場あるんだな…」

 

暇に任せて学園内を散策してると見知らぬ建物を見つけていざ鎌倉の意気込みで潜入したらなんと立派な道場だった。学園の敷地自体広いと思ってたがマジでどんだけ広いんだ?とはいえ、誰もいないし中々広いから今日からここを俺のサボりスポットにしてもいいかも知れんな。…適当に体でも動かすか。

 

「フッ!ハアッ!」

 

中国拳法、空手…やったことなどただの一度も無いけど漫画とかゲームを見様見真似でやってみる。

 

「フン!ハァ…ハァ…ソイヤァ!…ハァ…」

 

開始一分、早々に疲れてしまった。体力の無さを実感する。ちょっと休憩したら昼寝としゃれこむか。

 

「セイ!」

 

ガラガラ

 

「あ」

 

「おや、先約がいましたか。これは失敬」

 

見られた、栗毛のウマ娘に明らかに見られた。おおよそ人様にお見せ出来ない正拳突きを…。人気が無いと思って油断した。だが本当に見ていたのかはまだ分からない。シュレディンガーの俺だ。

 

「もしかして…見た?」

 

「見たとは…空手の稽古の事ですか?」

 

「そうです…」

 

確定してしまったかぁ…それなら仕方ない。昔から気になってたことを実践させてもらおうか。

 

「くっくっくっ…見られたからには仕方ない。黒歴史保護の為に、この場で再起不能になってもらう!チェストオオオオォォォォ!!」

 

 

 

 

 

「襲われたから迎撃したが…良かったのだろうか…」

 

「きゅう~~~」

 

☆二秒で負けました☆

 

「のびている所申し訳ないのですが、なぜ突然襲うような蛮行に走ったのですか?」

 

「誰もいないと思っていたので…あと人様にお見せできるものではなかったので…」

 

「人に見せるも何もここは道場です。武を極める為に皆ここを訪れます。ですから初心者であっても恥ずべきことではありません。それに私の金剛八重垣流の型もまだ未熟…良ければ、ともに研鑽しませんか?」

 

何この子…俺の一極倍芯が固いじゃん。黒歴史を削除しようとしていた俺を恥じたいぶん殴りたい。こんなこと言われたら断るなんてできないじゃん。

 

「そうさせてもらおうかな。君の名前は?」

 

「ヤエノムテキです。では早速始めましょう!」

 

「押忍!ではまず空手について教えていただきたいです!」

 

 

 

 

 

「それなりに形になってきましたね」

 

「ヤエノが教えるのが上手いからだよ。格闘技経験ゼロでここまで出来るとは思わなかったよ」

 

「…先程から疑問だったのですが、トレーナー殿は本当に何もやってこなかったのですか?ここに来た時も正拳突きをしていたので経験者かと思っていたのですが」

 

「あぁあれ?恥ずかしながら漫画の見様見真似。格ゲーとかの真似もしてたりとか…言わせんなハズイじゃあねぇか」

 

経験者だと思われていたのか。そんなに本気でやってた訳じゃないからその道の人が見たら一瞬で分かると思うんだけど…もしかして、才能ありか?俺ってもしかして天才なんじゃ?

 

「道理であまり見ない体の使い方をするわけですね…。ですが呑み込みの速さは素晴らしいです」

 

「マジ?俺って才能ある!?」

 

「才能はあると思いますよ。ただ、貴方には特有の癖があるようだ」

 

「癖…?なんだよそれ俺ってなんかそんな変な癖あったか?」

 

「貴方は多分影響を受けやすい体質かもしれません。他の人の口癖だったりが知らないうちにうつっていたりとかしていませんか?」

 

心当たりしかない。方言とかが知らないうちに身についていたり…特に関西弁がうつっていたり…本当に無意識なんだけど思い返したときになぜこうなっているのかマジで分からない。いや本当に分からない。

 

「いえ、それが悪い事とは思いません。むしろそれがいい方向へ行っているんです。事実、私の金剛八重垣流の型を一目見ただけでそれなりの完成度になっているんです。素晴らしいですよ」

 

「えへへーそれほどでもありますなぁ」

 

(だが疑問が残る…。格闘技経験も無しにゲームや漫画の真似…いわば生兵法ならば基礎の鍛錬自体は全くしていないことになる。それでいて先程の正拳突きをだせるのだろうか…?)

 

「トレーナー殿、少しお願いがあるのですが」

 

「ん?何だい?」

 

「貴方の正拳突きを体験してみたいのですがよろしいですか?」

 

「いいよ、じゃあその辺立って」

 

物凄い変なお願いをされたがまあいいだろう。俺のへなちょこパンチじゃウマ娘の防御力は貫けないだろうから問題ない。

 

「…即答なのですね」

 

「真の男女平等主義者だからな。…それじゃ行くぜ?」

 

「ハイ、お願いします!」

 

ヤエノが腹筋を固める。そこまでしなくても君ならノーダメでしょ。さぁ、俺のへなちょこパンチ、とくと受けよ!

 

「フゥーーッ……無駄ァ!」

 

「フンッ!!」

 

ドゴンと鈍い音が道場に響く。殴った俺が言うのもなんだけど、生物を殴った音じゃあない。後無茶苦茶拳が痛い。全力で固めたはずだが確実に俺の方がダメージが大きい。だって泣きそうだもん。

 

「ど…どうだったかな?」

 

「悪くありませんでした。初心者とは思えないような正拳でした。やはり、何か鍛錬を?」

 

「本当に何もしてないよ。俺運動苦手だし」

 

「そうですか…折角ですし、継続的に鍛錬をされてはいかがですか?私もお手伝い致しますし」

 

「ありがたいけどねぇ、遠慮させてもらうよ。気が向いた時に気が向いたものを気が向いたようにやる。そんな気まぐれが俺に合ってるからな」

 

ヤエノには言わないけど、時間管理をし始めると面倒くささでアタマがどうにかなりそうだ。俺の記憶容量の少なさを甘く見るなよ。

 

「そこまで言うなら無理強いは出来ませんね。ですが、機会があればご一緒致します。では私はトレーニングがあるのでこれにて失礼します」

 

「おう、頑張ってなー」

 

ヤエノにもトレーナー付いてたのか…。いや、これまでスカウトした子、三十人のうち三人は既にトレーナーがいたんだ。それくらい普通だろう。…突然現実に引き戻されたような感覚がした。

 

「安西先生…担当が……欲しいです!」

 

 

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