新人トレーナーの日常   作:サラダ味

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40話

「おぉっほほほほほほww!!」

 

「弁償が遅れて申し訳ありません。どうぞ自由にお使いください」

 

「マジで!?やったー!ありがとう!」

 

ヴィルシーナからびっくりなプレゼントを頂いた。それは何と、今まで使ってた奴よりも2倍くらいは高いであろう全自動雀卓を頂いてしまった。こんなものを貰えるとは思ってもみなかったので子供みたいにはしゃいでしまった。

 

「ヨシ、折角だし打つか。シュヴァルとヴィブロスって空いてたりする?」

 

「今の時間なら大丈夫なはずです。ちょっと呼んでみますね」

 

シーナが携帯をポチポチしてから10分くらいでドアがノックされる。早いな結構。

 

「開いてっぞー」

 

「どうも、お久しぶりです」

 

「奥沢さんこの前スカイさんに追われてたけど大丈夫だったのー?」

 

「ギリギリ生きてたよ。人生で3番目くらいにヤバかったけど」

 

「かなりヤバかったんじゃないですか」

 

そりゃそうだ、刺されたんだから。

 

「まぁそんなこといいじゃねぇか。東風だけでもやろうぜ?」

 

電源を入れてガチャガチャとスイッチをいじると麻雀台の下から山とか手牌とかドラがめくられた状態とか直ぐに始められる状態で出てくる。

 

「すげーーーーー!!!」

 

今までの台は山だけ出てきてサイコロ振って山を分けてそこから手で取ってやっとスタートだったのでつい叫んでしまった。

 

「前と比べるとすごい進化ね。やっぱり高級なだけはあるわね」

 

「プロ仕様は伊達じゃねぇのな。よぉし、負けねぇぞぉ」

 

そこからは牌の音や小さい独り言のみが部屋に響く。…あーこれはやべぇな。だめだこりゃ。良くて1シャンテン行くかどうかじゃねぇか?作れても立直ドラ1しかねぇぞ。…あぁそうだ、ギムレットへのお礼何がいいかな。消え者の方が良いかな。よく女性へのプレゼントはアクセサリーの類がいいとか聞くけど、それ特別親しくないと成立しなくねぇか?世の中のプレゼント考える人、もう少し万人向けのプレゼント考えてくれねぇか?…ちょうどいいのがいるな。

 

「打ってる所悪いけどさ、知り合いがギムレットの世話になったっぽくてさ。お礼に何か送りたいってんで考えてるらしいんだけどなんかいいのある?…あ、甘栗食べる?」

 

「ギムレットさんですか?…すいません、あまり接点がないので何がいいか分かりませんね。1つ頂きます」

 

「私も~」

 

「じゃあ3つほど。あと僕もあまり…でもこの前、『アヴァロンの果実は私には甘すぎる』って言ってました」

 

「なんだそりゃ。…あ、それポン」

 

アヴァロン…楽園か。楽園の果実…りんごか?甘すぎるってことはあまり好きじゃないって事か。…あの柿リンゴほどじゃねぇけど思いの外甘いぞ?あの類の甘さは苦手って事か?

 

「みかんか甘栗でも買っとけって言っとこうかな」

 

「それかお菓子なんてどうですか?」

 

「お菓子ならカヌレ、いやマカロンかしら。良いお店を知ってますよ。良ければ紹介しましょうか?」

 

「それっていつも行ってるお店!?お姉ちゃん、シュヴァち、明日行かない?」

 

「良いけど…僕は調整中だから買わないからな。…立直で」

 

「お前らがいい店って言うからには結構いい店なんだろうな。…これは通るだろ」

 

「ロンです。立直一発チャンタ發の満貫です」

 

台に突っ伏す。東で当たるとは思わなかった。しかも地獄待ちって嘘だぁ。ちなみに符計算はしていない。だってめんどいから。

 

「早速振り込んだ…。シュヴァル待ってろよ~取り返すかんな~」

 

ボタンをポチッと押して牌を真ん中に流し込み、次の局へ移る。ドラ表示は白ですか。

 

「よっしゃ出すぞ~お手軽満貫出すぞ~。俺はこの字が好きすぎておでこに書いたくらいだからな~」

 

「んぐっww」

 

配牌を捲ると見事にドラは無かったがそこは関係ない。引き寄せればいい。

 

「出すぞ出すぞー」

 

「それ…本当にドラで合ってますw?」

 

「え?……あ、違う…ww」

 

「だよねぇ!なんかおかしいなあって思ってたんだよw!」

 

「額に發…w。結構珍しい人になっちゃいますよw?」

 

「ずぅっとラーメンマンしか考えてなかったw。やべぇw…もうダメw」

 

もうおかしくてしょうがない。完全にツボに入った。完全な自滅だ。3巡くらいまで笑って麻雀どころではない。ヴィルシーナが言った額に發のせいで想像してしまう。

 

「ンフフフフフフフフwww」

 

「めちゃ笑うじゃないですか」

 

「あーダメだこりゃ。こんな勘違いしたの初めてだ。…という訳でビリの罰ゲームは今日1日おでこに發な」

 

「えぇ~~!?そんな恥ずかしいことやりたくないよぉ!」

 

「急に負けられなくなったわね…」

 

何時にもなく真面目に打ち始めてしばらくするとドアがノックされる。

 

「開いてるぞー」

 

「遊戯中失礼する、姫君たちよ。奥沢、少し聞きたいことがある」

 

「どうした?俺に何を聴こうってんだ?甘栗いる?」

 

「頂こう。…それで聞きたい事とはだな…サクラブロッサムは今どこにいるか分かるか?」

 

渡そうとした甘栗を落としてしまう。なぜ俺にそれを聞く?俺は情報屋じゃないんだぜ?それにさぁ…。

 

「さ、さぁ?人探しならもっと適任がいるんじゃねぇか?」

 

「いや、お前にこそ聞きたいんだ。お前なら確実に知っているだろう?」

 

言葉では言えないなぁ。だって目の前にいるんだもん。どうにか誤魔化すか。

 

「何にも。見つけたらLANEするわ。面倒かもだけどちょっと待っててくれ」

 

「私達も手伝いましょうか?」

 

「人探しなら人数が多い方が良いでしょうし」

 

「いや、その必要はない。奥沢、顔を見せてくれ」

 

「ふぇ?」

 

ギムレットが俺に急接近。そのまま顎に手をあてがわれる。おいやめろ、いい顔で迫るんじゃあない。真っ赤になってついでに惚れちまうだろうが。

 

「ふむ、いい顔になったじゃないか…ブロッサム?」

 

「え?」

 

「お、奥沢さん?どういう事?」

 

「ハァ…なんで分かるんだよ」

 

髪を解いてウマ耳カチューシャを装着。あんま人前で見せたくないんだよ。

 

「お前の個性(インディビジュアリティ)を活かした変装だったが、俺には通用しない。あの時俺は言っただろう?お前の事をアルターエゴとな」

 

「あーそれそういう意味?じゃあ最初っからじゃん。ああそうだ。礼も兼ねて甘栗1袋持ってってくれ。500で買ったら案外入ってて食べ切れないから頼んだ」

 

「すまんな、ありがたく貰って行こう」

 

栗を受け取ったギムレットはそれで要件が終わったのかそのまま帰っていく。それを見ながら髪を結んでカチューシャを取って元に戻る。さて、再開しますか。

 

「…ん、どうした?俺の顔になんかついてるか?」

 

「い、いえ。何でもないです。さぁ、始めましょうか」

 

 

 

(もしかして、康くんのお友だち!?)

 

ヴィルシーナの頭の中で反芻するセリフ。彼の髪を解いた顔は、どこかで見覚えがあるなんてものではなかった。それは他二人も感じていたことだ。元々女性的な体つきや顔立ちをしているとは思っていた。

 

「やべぇよ…やべぇよ…。このままじゃ發って書く羽目になる…」

 

(そっかぁ、何だか安心するなぁ。康くんがトレセンでもうまくやれてるって再認識出来て嬉しいよ)

 

焦る彼から彼女のような感じは一切感じない。他人の空似というものなのだろうか。だが、何かがおかしい。空似で片づけるには…あまりにも…。

 

(私?私は桜上吉花!康くんの~~…自称恋人だよ!)

 

彼女…桜上吉花に酷似しすぎていた。

 

「ロン!立直タンヤオ対々和ドラ2!跳満直撃!」

 

「嫌だああぁぁぁぁぁぁぁぁ生き恥晒したくねぇえええええ!!」

 

…そうでもないかもしれない。

 

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