新人トレーナーの日常   作:サラダ味

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9話

「これで良し…誰が掛かるかな?」

 

人気が少ない花壇の辺りに玉手箱を置く。だがもちろん普通の玉手箱じゃあない。開けるとG(もちろんおもちゃ)が飛び出る仕組みを施してある。開けた奴がどんな顔をするのかが楽しみだ。

 

ぐぅ~~

 

…腹減った。なんか食べに行くか。人気も少ないし、そう簡単に掛からないだろう。…そうだ、街を歩いているとこに少し気になったラーメン屋を思い出す。さて、行くか。

 

 

 

「……………あれ~~~~?」

 

おかしい、このあたりだったはずなんだがどうにも見つからない。そもそも気になったと言ってもあそこおいしそうだな~程度にしか覚えていないせいで店名すら覚えてない。という訳で風景だけで探しているものの、絶賛迷子中なうである。

 

「あれれ~どの辺りにあるんだろう?…あ、そこの方!この辺りに麵屋八方ってお店があると思うんだけれど、どこにあるか知ってるかしら?」

 

「いや~俺もこの辺りの事は…いや、待てよ?多分アンタと俺行先一緒だぞ」

 

「うそ!?偶然だね!」

 

なんとも不思議な偶然があるものだ。同じ店を探して巡り合う男女。恋愛ノベリティなら長い期間をかけてそういう関係になること間違いなしだ。

 

「だがよぉ、店の名前知ってるんなら携帯で調べればいいんじゃあないのか?そうすりゃ俺に聞かなくても一発なのに」

 

今の時代、行先なんて携帯で調べればルートから口コミまで何もかも出てくる時代だ。

 

「それが、スマホの地図アプリがよく分からなくなっちゃって…シャカールなら分かるかもしれないけどとにかくおかしくなっちゃって」

 

「それなら俺の携帯で調べよう。多分このあたりのはずだけどな」

 

地図アプリに店の名前を打ち込んで検索すると……俺の真横に目的地のピンが差される。それに従って横を見るがそれらしい暖簾は出ていない。というか…こんな見た目だったっけか?

 

「なぁ…これっぽいぞ?」

 

「暖簾は出ていないね。でも営業時間ないみたいだよ?」

 

「…入ってみるか」

 

「それはいいけど、ここから入ればいいのかな?」

 

「そうするしかないだろ。虎穴に入らずんば何とやらだ。初めて公開される俺の名前…奥沢康、突貫するであります!」

 

そうしてやっているのかもはや潰れているのか分からない店のドアを開ける。するとその中は。

 

「へいらっしゃい!空いてるとこ座んな!」

 

ふっつーにやってた。

 

 

 

「とんこつ二つ」

 

「あいよぉ!」

 

ファインと席に座ってこの店の看板メニューを注文する。ファインが少しばかり冒険しようとしていたが初見だから様子見はした方が良いと止めた。

 

「にしても普通にやってるとはなぁ。もう少し分かりやすくても良かったんじゃあないの?」

 

「でも隠れた名店って聞いてたから聞いた通りだよ!どんなラーメンが出てくるのか楽しみだよ!」

 

「どんなラーメンっつってもとんこつだけどな」

 

「はいとんこつ二つおまちどぉ!」

 

少し雑談しているだけでラーメンが到着する。とんこつだからか、典型的な博多ラーメンの見た目をしている。だからといって味までちゃんと良いと決まったわけじゃない。名店だからと言って俺はそんな忖度はしない。しっかりとレビューしなければ。さて、まずはスープを頂こうか。

 

「…うん、美味い」

 

博多で一度食べたことがあるが、それに近い味だ。麵の固さは不思議な事に選べなかったが、ゆで加減にも自信があることがうかがえる。麺をすすると少しばかりバリカタよりの麺がスープを掴んで口に運んでくる。

 

「流石、隠れた名店だな。ファイン、お前はどうだ?」

 

「………………」

 

「…ファイン?」

 

麺をすすったファインが下を向いたまま固まっている。まさか、口に合わなかったか?聞いたことも無いが博多とんこつの味とか匂いは人を選ぶかもしれない…。その類か?

 

「す…」

 

「す?」

 

「すっごく美味しいよ!スープと麵の相性がばっちりでいくらでも食べられそうだよ!それでいて口の中のしつこさも無くて味としてすとんとお腹に落ちていくようなこの感覚!癖になりそうだよ!」

 

素晴らしい食レポをどうもありがとう。だがその通りだ。味のしつこさというのは案外バカに出来ない。味が極上でも口の中で嫌な残り方をされると悲しい気持ちになってしまう。だがこのラーメンにそれは無い。濃い味なのにすっきりしている。

 

「そんなに褒めてくれるたぁ嬉しいねぇ!味玉サービスしてやるよ!」

 

「わぁ!ありがとう存じます!」

 

…それにしても美味そうに食うな。味玉頬張った時の笑顔。守りたいこの笑顔とはよく言ったものだ。そんなこんなで食べ終わり、会計をして店を出る。

 

「美味しかったねー!毎日でも来たいくらいだよ!」

 

「毎日は…流石に勘弁してほしいけど食べる物に困ったら来てもいいかも知れないな」

 

「だよね!今日はありがとう!ご馳走もしてもらっちゃって助かっちゃったよ!それじゃあごきげんよう!」

 

「ああ、ごきげんよう」

 

そうしてファインと別れる。東京に来てから街中を歩く機会はかなりあるけどそれでも知らないことは数多い。もう少し外出する時間を増やしてもいいかも知れないな。さて、やることも無くなったしゲーセンにでも寄って帰るか。

 

…………なんか忘れてるような……まあいっか。

 

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