虹色の始まり   作:MLBU

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13話 侑と菜々

 

 

 

 

侑「♪~〜〜〜〜ん?どわー?!せ…生徒会長?!」

 

 

─────侑は彼女が優木せつ菜だと知らずに、驚いてピアノの席から立ち上がる。

そんな侑にせつ菜は音楽室に入り、歩いて近づいてくる。

 

 

せつ菜「高咲侑さん─────音楽室の使用許可は取ったんですか?」

 

侑「いや〜あのぉ~ ………ごめんなさい!」

 

 

侑は嘘ついてもバレると思ったのか、直ぐ様正直に謝罪をし、頭を下げた。

 

 

侑「あっはは……ちょっと弾いてみたくなっちゃって……」

 

せつ菜「はぁ………」

 

侑「でも、初めてだと全然駄目ですねぇ~………ところでさっきぃ、せつ菜ちゃんの曲知ってるみたいな感じだったよねぇ!」

 

せつ菜「えっ…?!」

 

 

侑はせつ菜の前に詰め寄り、更に彼女の手を取り、マシンガントークを繰り出した。

彼女の瞳にはハートが浮かんでいた。

 

 

侑「いいよねぇChase(チェイス)!動画とか見てたの?もしかして………会長、せつ菜ちゃんのファン?もう!そうならそうと早く言ってくれればよかったのに!せつ菜ちゃんのこと色々話そう?!あっ、そうだ!Chaseの他にオススメの動画あったら教えてくれない? 探してるんだけど全然見つからなくって! 」

 

せつ菜「ち─────近いです!」

 

侑「あっ! ごめんごめん~…」

 

 

侑があまりにも近い為、せつ菜はとうとう我慢できずに言う。

だが、代わりに彼女はここまでスクールアイドルのファンになったということだ。

それをせつ菜は、複雑な感情を感じた。

 

 

せつ菜「─────そういえば、先日お会いした時………優木さんに会いたがってましたね」

 

侑「うん!大好きなんだぁ!」

 

せつ菜「…………!」

 

 

せつ菜は目を見開く。

侑は続けた。

 

 

侑「この前、ライブやっててね………凄かったんだよぉ……せつ菜ちゃんの言葉が、胸にずしんってきたんだ……歌であんなに心が動いたの、初めてだったぁ!」

 

 

侑は笑顔で、青空が映る窓を見た。

彼女のその言葉には、興奮が滲んでいた。

 

 

侑「私、夢中になれるものとか、全然なかったんだけど─────あの日からスクールアイドルにハマって、今すっごく楽しいんだぁ!歩夢、英二君と一也君も一緒に同好会にも入ってね~!」

 

せつ菜「─────同好会?」

 

侑「そう!かすみちゃんが誘ってくれて─────あっ………」

 

 

侑はそこでまずいと思った。

そして慌てて言い始めた。

 

 

侑「ち、違うの!勝手に部活始めたわけじゃなくってね……」

 

せつ菜「特に問題ありませんよ─────スクールアイドル同好会は一度廃部になりましたが、新しく立ち上げてはいけないという校則はありませんし」

 

侑「え……?」

 

 

せつ菜は侑の言葉に怒らなかった。

それどころか、微笑んで、彼女達に「問題ない」と言う。

彼女は侑の隣まで行き、青空が映る窓を眺めた。

 

 

せつ菜「部員が五人以上集まったらいつでも申請に来てください」

 

侑「そうなんだ……」

 

 

その言葉はつまり、賛同をしてくれるようだ。

侑は内心で驚きながら、彼女に対する印象が変わった。

 

 

せつ菜「優木さんが聞いたら喜ぶでしょうね」

 

 

恐らく─────否、確実にそうだ。

何故なら優木せつ菜は侑の隣におり、その本人の内心では喜んでるからだ。

しかし喜びつつも、これまでのことに対するのも含めて、複雑な気持ちになっていた。

 

 

侑「だったら、嬉しいな!」

 

 

侑は微笑んだが、直ぐに顔を俯いて悲しい表情にする。

 

 

侑「─────何で辞めちゃったのかなぁ……せつ菜ちゃん。こんなこと思っても、仕方ないって分かってるんだけどね………きっとせつ菜ちゃんも、色々考えてのことだろうし……えっへへ!でも時々思っちゃうんだよね………あのライブが最後じゃなくて─────始まりだったら、最高だろうなって」

 

せつ菜「─────何でそんな事言うんですか?」

 

侑「え?」

 

 

侑の言葉にせつ菜は言った。

彼女の声には震えていた。

 

 

せつ菜「良い幕引きだったじゃないですか─────せつ菜さんは、あそこで辞めて正解だったんです。あのまま続けていたら─────彼女は部員の皆さんをもっと傷つけて、同好会は、再起不能になっていた筈です」

 

侑「え?そんなことは─────」

 

せつ菜「高咲さんは─────()()()()()をご存知でしょうか?」

 

侑「ん?スクールアイドルの全国大会みたいなやつだよね?」

 

 

侑の言う通りだ。

ラブライブとは、全国のスクールアイドル達が集い、野球やサッカー等といった他の部活動のように競い合う大会─────せつ菜は、それを侑に言う。

 

 

せつ菜「その通りです。ラブライブは、スクールアイドルとそのファンにとって、最高のステージ─────あなたもせつ菜さんのファンなら、そこに出て欲しいと思うでしょう?」

 

侑「…………」

 

せつ菜「スクールアイドルが大好きだったせつ菜さんも、同好会を作り、グループを結成し、全国のアイドルグループとの競走に、勝ち抜こうとしていました。勝利に必要なのは、メンバーが一つの色にまとまること─────ですが、まとめようとすればする程、衝突は増えていって、その原因が全部自分にあること気づきました」

 

 

せつ菜の言葉を、侑は黙って聞き続けた。

彼女はまるで、自分のことのように話をしていた。

─────本人であることは間違いないが、侑は知らない。

しかし、彼女も内心では何かを気づき始めていた。

 

 

せつ菜「せつ菜さんの大好きは、自分本位な我儘(わがまま)に過ぎませんでした………そんな彼女が、スクールアイドルになろうと思ったこと事態が間違いだったのです」

 

 

せつ菜は拳を握り締める。

そして、いつもの生徒会長として戻り、侑に聞いた。

 

 

せつ菜「─────幻滅しましたか?」

 

侑「─────」

 

 

─────それから沈黙が訪れた。

両者共に、何も言葉を発しなかった。

何かを言おうとした侑だったが─────その時、音楽室のドア付近に歩夢が様子を伺っていた。

歩夢だけではなく、英二と一也もいた。

 

 

歩夢「侑……ちゃん………?」

 

英二「何して─────生徒会長?」

 

せつ菜「─────失礼します」

 

 

せつ菜は侑にそう言い、入口に立っていた三人に声もかけず、その音楽室を後にした。

 

 

 

 

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