─────現在。
あの出会いから、約二ヶ月経った六月。
その間でもエマはスクールアイドルを続けていた。
だが、その六月もあと数日で終わる。
エマ「はむ!はむ!」
そんな中、エマはおにぎり片手にフランスパンといった、炭水化物ばかりを美味しそうに食べていた。
エマ「どっちもボーノ!」
幸せそうな笑顔をするエマ。
そんなエマの食べる姿を、クスリと眼の前から微笑むように見守る果林。
果林「フフッ─────相変わらず食べるわね、エマ。」
エマ「だって美味しいんだもん!ウフフッ♪」
もうかれこれ、約二ヶ月。
変わらずこの席に座り、エマが食べる姿を見ながら、一服するという日常。
この変わらない日常に思い馳せながら、果林は呟く。
果林「─────今日も………同好会?」
エマ「うん!メンバーも増えて、最近すっごく賑やかで。それにね、ソロアイドルをやろうってなってから、皆ますます張り切ってて!」
果林「そう」
どこか素っ気ない相槌の果林だが、エマはそれに気づかないまま、続ける。
エマ「果林ちゃんも一緒にやれたら良いのになぁ〜……」
果林「………あ」
僅かに声が漏れた。
果林はそれを誤魔化すように、顏を窓へ背けながら言う。
果林「そういう賑やかなのは苦手って知ってるでしょ?」
エマ「そっかぁ……」
残念そうに呟くエマ。
果林と一緒にやれたら良いなと思っても、肝心の本人がやりたくないのなら仕方ない。
すると果林はエマを置いて、この場から立ち上がる。
果林「じゃあ私、そろそろ行くわね」
エマ「え?果林ちゃん……?」
早々に話を切り上げ去っていく果林の背中に、エマは妙な違和感を覚えた。
昴「─────前の方、座っていいか?」
エマ「え?うん………」
すると、果林とすれ違うように見知らぬ青年がエマの目の前に座る。
彼はブラックだけという、それ以外の食べ物がなかった。
彼女はそんな彼に聞く。
エマ「昼食とか……摂らないの……?」
昴「別にいらん─────アンタ、三年生なんだな」
エマ「うん………そうだけど………」
昴「そっか……」
昴は窓の方を見る。
ミステリアスで、しかし孤高を感じられる青年だった。
その雰囲気に、エマは見惚れながら聞いた。
エマ「ね、ねぇ………あなたもスクールアイドルって、知ってる……」
昴「……スクールアイドルか……知ってる……」
先程までの声とは違い、何処か懐かしそうにする昴。
そんな彼に、エマは首を傾げていた。
エマ「あなたの名前は……?」
昴「─────中野昴だ」