─────翌日以降も、璃奈は特訓を続けた。
最初は見るに堪えなかった歌や踊りも、同好会メンバーの指導の元、璃奈は短期間でライブが出来るようになるまで成長した。
─────そして、週が明けた木曜日の放課後。
かすみはタオルで汗を拭いながら、璃奈へと言う。
かすみ「ダンス、大分いい感じになってきたね、りな子!」
璃奈「そう………かな?」
璃奈はほんの少し、自信なさげな様子。
だが、せつ菜がその自信を焚きつけるように言った。
せつ菜「ええ─────この調子で頑張りましょう!」
すると─────このタイミングで璃奈のクラスメイトである、浅希や今日子、色葉の三人が偶然通りかかり、璃奈へと話しかける。
浅希「あっ!天王寺さーん!」
璃奈「!」
色葉「練習頑張ってるね!」
浅希「明後日のライブ、絶対見に行くから!」
今日子「新しいPVもすっごく可愛かった!今からライブが楽しみだよ!」
璃奈(今の私なら……きっと……)
璃奈は勇気を出して、一歩踏み出そうと、浅希達に話しかける。
璃奈「あっ……あの」
浅希達「?」
璃奈「もし……よかったら………もしよかったら………私と……!」
次の言葉を言おうとしたその時、璃奈は見てしまった。
─────否、見えてしまったんだ。
硝子に写る自分の無表情の顔を………
璃奈「─────」
中々、次の言葉を発さない璃奈に色葉が声をかける。
色葉「天王寺……さん?」
璃奈「─────何でもない」
璃奈はそう言って浅希達へ背を向け、歩き出す。
─────否、歩くどころか、少し駆け足気味だ。
そんな璃奈の様子を、不審に思ったせつ菜とかすみは言う。
せつ菜「璃奈さん!」
かすみ「何処いくの?!」
璃奈「ごめんなさい………今日は帰るね……」
康太「テメェ後出ししただろ?!!」
弘「してねぇよ糞ボケ!!!」
─────翌日の放課後。
康太と弘は屋上でじゃんけんをしていた。
その理由は、負けた方に頭の上にボールを乗せ、虹ヶ咲学園の女子生徒達にそのダサい姿で見せるという罰ゲームだ。
それを狡したと思った康太は、弘に文句を言っていた。
弘「まぁ………似合うんじゃねぇの?王子様みたいだしな─────アホ王国の」
バコンバコン!!!
バコンバコン!!!
その瞬間─────康太と弘は殴り合いをした。
昼休みが終わるまでにずっと殴り合いをしていたのであった。
─────同時刻。
英二と一也達・スクールアイドル同好会は、天王寺璃奈を待っていた。
なのだが、その本人が来ていなかった。
彼らの空気は今、澱んでいた。
明日は璃奈のライブがあるのにも関わらず、当の本人が練習どころか学校にも来ていない。
そんな空気の中、果林が口を開く。
果林「─────もう練習始める?」
侑「!……でもまだ璃奈ちゃんが……!」
果林「来ないでしょ?連絡しても繋がらないんだから」
ドライな感じで果林は言うと、重い空気がこの場を支配した。
かすみ「何でですか?!!りな子のライブは明日なんですよ?!!あんなに頑張って準備したのに!!!」
果林「─────決めるのは璃奈ちゃんよ」
かすみ「うぅ………」
確かにその通り。
これは璃奈の気持ちの問題
だが、英二と一也は知ってる。
璃奈はどんな想いでここまで変わろうと、必死に努力していたことなのか。
だから、二人はこの想いを努力を無駄になんかさせたくないと思っていた。
果林「今日はもう解散にしない?」
侑「えっ?!」
英二と一也、エマはとあることを見据えた。
もしかして、果林は─────
英二「─────果林先輩、アンタは拗ねてる?」
果林「な、何で私が?!」
エマ「確かにそうかも─────だって明日はモデルのお仕事入れないようにしてたもんね」
一也「本当は璃奈のライブ、楽しみにしてたんじゃないのか〜?」
三人は果林の心を見透かし、それを彼女は頬を紅く染める。
果林「わ、私はライブの内容に興味があっただけよ!」
英二・一也「へいへ〜い」
果林「この二人………!」
愛「アタシ、ちょっと行ってくる!」
愛が引き金となり、続々とついて行くことになるスクールアイドル同好会メンバー。
明日、無事にライブができるのか………