菜々「彼女はもう─────此処には来ませんよ?」
歩夢・侑「え?」
英二・一也「は?」
衝撃の事実に四人は声を漏らした。
菜々「スクールアイドルを─────辞めたそうです」
侑「─────え?」
侑は数秒遅れて、声を漏らす。
彼女の顔は意味が分からない、と言わんばかりの顔になっていた。
菜々「彼女だけではありません。このスクールアイドル同好会は─────
菜々はそう言いながら、《スクールアイドル同好会》という扉に貼られた小さな看板を、片手で取った。
歩夢・侑「え?!!」
英二・一也「はぁ?!!」
菜々「─────失礼します」
菜々はそう言って、その場を去る。
侑は彼女の背中を見ながら、「そんな…」と小さく呟いていた。
そんな彼女に歩夢は何かを考え、心の中で
─────
四人は下校の帰りにベンチを座り、歩夢と侑はコッペパンを食べ、英二と一也は最近流行りの少年漫画を読んでいた。
英二「おい!ここ、凄くいいぞ!」
一也「熱くなってきたな、この
侑「美味しいね!」
歩夢「うん!………残念だったね」
歩夢は悲しい表情をしていた。
侑は「え?」と声を漏らした。
歩夢「せつ菜さん…」
歩夢のその名前に英二と一也は揃って、「ああ…」と返事をした。
しかし、歩夢は微笑んで言った。
歩夢「でも…学校にはいる筈だし、会おうと思えば─────!」
侑「─────それはいいよ。辞める理由には有っただろうし」
英二「まっ…そうだよな」
英二と一也はうんうんと首を縦に振って、頷いていた。
侑は顔を空に見上げながら、言い始めていた。
侑「やっぱり難しいのかな…《夢》、追いかけるのって…」
歩夢「…え?」
侑の言葉に歩夢は声を漏らした。
すると侑は座り直して言う。
侑「─────アイドルやるって、そういうことでしょ?」
一也「侑…」
侑「自分の夢は、まだ無いけどさ…夢を追いかけてる人を応援できたら、私も…何かが始まる…そんな気がしたけどな…」
侑の声は段々と大きくなっていたが、最後にまた小さくなっていた。
だが、彼女の宝石のような青緑色の瞳は輝いていた。
そんな侑に歩夢は見つめていた。
英二「まぁ…確かにそうだな。俺も今のところはないかな…?」
一也「お、やっぱり気が合うな英二。俺も無いんだよ」
英二「だってさ、夢とかそんなの考えたことないし…」
英二と一也は立ち上がり、歩夢と侑と共にその場を後にした。
それから、四人は帰路をつく。
すると、ただ一人がその場で止まった。
侑「歩夢?」
侑は歩夢が突如、足を止めたことに気付いた。
歩夢は顔を上げて、決意したかのように言う。
歩夢「四人で─────
侑「え?」
一也「ん?四人?まさか…」
英二「俺達にも─────含まれてる?」
歩夢「そうだよ!」
歩夢は声を張った。
英二と一也が歩夢の顔を見て、彼女の顔つきは真面目なようだ。
二人はそれを、黙ってしまう。
歩夢「私も見てたの、動画─────スクールアイドルの」
どうやら歩夢も侑と同じで、動画を見ていたようだ。
彼女は続ける。
歩夢「せつ菜さんだけじゃなくて─────沢山。本当に、凄いと思ったよ!自分の気持ちをあんなに真っ直ぐと伝えられるなんて・・・スクールアイドルって、本当に凄い!私もあんな風にできたら、なんて素敵なんだろうって!」
歩夢が此処まで喋ると思わず、英二と一也は目を見開いた。
そこに立っているのは、自分達の知っている歩夢ではなかった。
控えめで、自分を謙虚をする幼馴染と同一人物に見えなかった。
侑「歩夢……」
歩夢「ごめんね、最初に言えなくて。本当は私も、せつ菜さんに会ってみたかった。けど、会っちゃったら─────自分の気持ちが止まらなくなりそうで、怖かったの」
歩夢は拳を握りながら言う。
歩夢「それでも─────動き始めたのなら、止めちゃいけない。我慢しちゃいけない」
歩夢は握っていた手を胸に手を当てながら言った。
歩夢「私─────好きなの!」
それを聞いた侑は目を見開く。
侑だけではなく、英二と一也もそうだった。
今初めて、歩夢は自身の好きなものがあると、告白をした。
歩夢は更に続けていた。
歩夢「ピンクとか、可愛い服だって─────今でも大好きだし、着てみたいと思う!」
歩夢は侑の前まで歩き、そして彼女の左手を手に取る。
歩夢「自分に素直になりたい・・・だから、見てて欲しい」
すると歩夢は持っていた鞄を地面に捨て、近くにあった階段を駆け上る。
三人は駆け上る彼女を、見上げる。
歩夢「私は─────スクールアイドル、やってみたい!」
侑「!!!」
三人は見る。
歩夢は深呼吸をする。
今から想いを告げようとした─────
階段の上で幼馴染が歌っていた。
その時の歩夢は、幼い感じのピンク色のワンピースを着ているかのように見えた。
彼女は階段の上で楽しそうに、歌って踊っていた。
私は幼馴染として、歩夢の歌とダンスを見届けていた。
ただただ、彼女の歌とダンスを見届けて─────
侑「─────」
英二・一也「…………」
歩夢「─────」
暫く沈黙が続いていた。
歩夢はそのまま階段を降り、捨てていた鞄を持つ。
そして、鞄から何かを取り出した。
歩夢「今はまだ─────勇気も自信も、全然だから」
沈黙の中、歩夢はようやく口火を切った。
先程歌とダンスをしていたが、彼女の顔はまだ、自分に信じられないようだった。
歩夢「これが、精一杯。私の夢を─────一緒に見てくれる?」
歩夢はそう三人に、小さな声で尋ねた。
彼女の頬は赤らめ、瞳は潤んでいた。
─────侑は彼女が持ってる物をそっと両手で掴み、手に取り、笑顔で答えた。
侑「─────勿論!
英二「それだったら…俺達もだな」
一也「ああ、男としてやったるぜ!」
歩夢は三人の答えに涙を浮かばせる。
その涙は─────嬉し涙であった。
そして─────涙を浮かばせながら微笑む。
歩夢「うん!」
そして─────
《彼ら》の物語
ここからが始まったのであった─────
次回からはアニガサキ2話です!
個人的には早くアニガサキ6話まで行きたいです。
理由は後程で。