魔女っ子傑はクラッシャーである。   作:かりん2022

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魔女っ子は年齢制限クラッシャー

夜蛾先生に呼び出され、深呼吸を繰り返す。

 

落ち着くんだ、傑。

これで上手くプレゼンできれば、ミッションコンプリートだろう?

失敗すれば火炙りだろうが。

 

ドキドキしながら話す。

 

「未登録の呪具制作者のコミュニティがあり、そこに所属していると聞いたが」

「呪具……とは違いますが、物作りのネットワークには入ってます」

「そうか……。そこの元締めと話し合いがしたいのだが、接触は可能か?」

「無理ですね。ここに来る前に、直々に話がありまして、ベルの宣伝以上の事はするなと言われてます。呪術界は新たな販路として期待されてますが、警戒もされてるので」

「ふむ。話を伝えることはできるんだな?」

「それぐらいでしたら」

「そうか。では、手紙を届けてほしい」

「私が全体会議で読んで伝える形になりますけど、いいですか?」

「全体会議にこちらの代表者は出席できるか?」

「それもダメですね。なんか、呪術界って妙に評判悪いんですよ。巻き込まれると死ぬぞ、みたいな」

「そうか……。呪術界以外にそんなコミュニティがあったとはな。隠す用事でもないから、傑にも伝えておこう。まず、価格を最低でも百倍にすること」

「あ、価格に関しては昨日聞きました。悟に聞いた値段と剥離が酷かったので。税金関連が面倒になるのと、お互いに商品買えなくなるのと、一般人が買えなくなるので値上げ案は度々見送られてるそうです。小学生が頑張れば買えるお値段を想定しているので」

「小学生に買わせてどうするんだ……」

 

 夜蛾先生は頭を痛そうにする。でも、メイン購買層ですよ。

 

「子供が買ってやばいものは売るなという意味で、重要だそうです。ただ、金欠のメンバーもいるので、希望者を募集して呪術師が好みそうなラインナップとお値段のお店を集めたベルを出そうか、という話は出てます。その際はベルを配らせてもらっても良いですか?」

「いや、国からも既存の呪具制作者からも、値上げは強く言われている。全商品が対象だ」

「でもそれだとさっき言った問題が……」

「税金関係は諦めろ。百歩譲って、逆に一般向けラインナップと仲間内のラインナップを別にするのはどうだ、ただ、一般向けはリストを確認させてもらう。強力な呪具を小学生に売られたら敵わん。そちらのガイドラインはあてにならん」

「えー。ちゃんとしてありますよ、今まで呪術師は顧客になかったわけですし、むしろ一般販売と仲間内の販売しかないですよ。そのガイドラインだってちゃんとしてます」

 

 私がガイドラインのノートを見せると、先生はパラパラッと見て頭を痛そうにしてパタンと閉じた。

 

「借りてもいいか? 希望金額と販売対象を協議して返す。それと、呪具師との交流の話も出ているのだが」

「それは私が生きて卒業できたら考えるそうです。呪術師と関わったら死ぬってジンクスがあるらしいので、まずは様子見したいって言ってました」

「偵察のようなものか」

「そんな大仰なものじゃないですけど。ついでだから交流のきっかけになればいいねとは言われてます」

「上手くいかなかったら?」

「記憶を消されて、最悪、私が口封じで殺されますね。なにせ臆病者が多いので。できれば平和的にベルを配るだけで終わればいいなって」

「大胆なのか慎重なのかどっちなんだ」

 

 そして、ガイドラインをカラーコピーした後返してもらい、私は無罪放免となった。

 

 

 

 お昼休み。

 私が食堂で食事を物色していると、悟が寄ってきた。

 

「傑っ 欲しいのがあるんだけど! 作るか作れるやつ紹介して」

 

 その手には夜蛾先生に渡したはずのガイドラインのコピーがある。悟のコネってすごいよね。

 悟はさっと学食のメニューを選び、後から硝子も来た。

 ワクワクした顔でガイドラインを眺めている。

 

「売り買いするレベルじゃなければ、そのガイドラインのは一通り作れるよ。むしろ、在学中は材料採取に行く時間なんてないだろうし、今が一番色々作れるかも」

「すげー! じゃあじゃあ、子供向けのこの辺全部!」

「鼻血チョコに発熱ドロップにゲロゲロチップス……碌なのないな!」

 

 硝子が思わずと言った感じで笑う。

 

「いいよー。っていうか、作り置きあるよ。そうだ。私も呪術師だし、黒魔女中級の資格取って呪術師向けの商品作ろうかと思ってるんだ。色々アドバイスしてよ」

「黒魔女?」

「お守り系が白魔女資格。悪戯系が黒魔女しか……く……」

 

 私は笑顔のまま固まった。自白した。魔女って自白した。バカか私は!!

 

「どうした? 傑、顔色悪いぜ?」

「ま、まま、魔女狩りされる……? 火炙りされる……?」

「何言ってんの、傑!?」

「もうだめだ、なんてバカなんだ、師匠、先立つ不幸をお許しください……!」

 

 慌てて悟が私を落ち着かせる。

 

 呪術師に普通に魔女いるらしい。先に言って!?




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