異世界ファンタジー世界でカードゲームしてる   作:nyasu

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最初の特許は印刷機らしい

もうね、俺はカードがやりたいだけなの。

なのに妹と来たら、国の危機がどうのと言ってくる。

なのですぐに起きそうなの列挙しろと言ったら、まぁ出るわ出るわ。

この国、終わってるな。

 

「まずは吸血鬼、解決しても攻めてくる隣国、辺境伯の反乱でしょ。あと、ウチならイザベラおばさんとルミアおばさんが死んで家が割れる、聖戦に伴う通貨危機、公爵家の汚職、騎士団の内部告発、麻薬問題、ドラゴンの襲来、ダンジョンの発生、アンデッドテロ」

「まだあるの?多くね?」

「そんなことないわよ、10年ちょっとですもん」

 

いや、年1回は何かしらイベント起きてね?

てか、正妻と側室死ぬの?ウチのママ死ぬんか?

この国、終わりだよ。

 

「何回やり直してるの?よく覚えてるな」

「何回もよ、死んだ原因になってたら嫌でも覚えるわ。私、16より生きたことないし」

「100年分くらい生きてりゃ十分だろ、いいなぁ過去に戻れる魔法」

「私の魔法って記録の上書きだから、自分自身は死んでからじゃないと無理よ……後悔したくないのよ」

 

分かるよ。

俺も何度ナーフされるなら買わなきゃ良かったとか、こっちじゃない方を箱で買えばよかったとか、お前が来るならさっきのターンはとか、後悔ばかりしてるからね。

タイムリープになるのかな、俺もやりたいよ。

 

「で、吸血鬼だけど現状だと勝てるかな?」

「実際、数だけが問題だし寝てる内に殺してしまえばいいのよ。肉体構造は人間と変わらないし、再生する魔力が尽きるまで毒とか燃やすとかで殺せば」

「なるほどなぁ」

 

魔力は、まぁデュエルしまくれば徴収出来るとして……いや、生命維持できなくなるまでやれば良いのか。

でも、4歳で吸血鬼退治に行きたいと言っていいよとはならんだろ。

聞けば、ダンジョンの奥にある隠し部屋で寝てるらしい。

奥の部屋の壁が壊せるようになってるそうだ、そりゃ壁を叩きながら攻略する奴はいないし、吸血鬼さんもぐっすりだよね。

 

「うーん……せや、御先祖〜」

『なんじゃ!気軽に呼ぶでないわ!』

 

そんな貴方に、御先祖の分霊が込められてるカードでオリチャー発動ですね。

カードの精霊と心通わせるはカードゲームあるあるだからね。

噂だけど吸血鬼が復活するらしいから力を貸してくれと説明して、御先祖にどうにかして貰うつもりだ。

 

『俄には信じ難いがガイウスの所じゃろ、昔もあったな。吸血鬼なんて数十年に一回は起きるしな……まぁでも流石に今のままじゃなぁ』

「えぇ……」

『まだ2年あるんじゃろ。1年くらい……こう、修行的な物をしたらええではないか。後な、せっかく調整したんだから競技人口を増やす努力をせんか』

「販売促進アニメのメタっぽいこと言い始めたぞ、この御先祖様」

 

いや、俺も広報するのは吝かではないのだが、教えようとすると負けたら死ぬって所でみんな二の足踏むからね。

死にかけるだけで、死なないんだけど、何でかやってくれない。

教えてもカード化の術式だけ抽出して、今じゃ紙のデュエルしかしてくれないしな。

俺はガチのデュエルがしたいんだよ、モンスターが実体化する奴!

 

『まぁ、儂に任せよ。儂の芸術的な術式が広まれば、その有用さに誰もが使うことになる事じゃろ』

「無理だよ、みんなリスキーだからやりたがんないし」

『魔導を極めんとする者が覚悟なしとは何たる事か。儂の生きていた時代では』

「長くなりそうだからデッキに戻りましょうねぇ」

 

あっ、こら、とカードの中で動く御先祖の絵を無視してデッキに収納する。

ごめんなさいね、今日は空手の稽古があるの。

デュエリストはデュエリスト筋を付けないと、筋トレだ!

最近、マティーナ家の人間の信仰を感じて魔力も増えたから慣らさなきゃ。

 

「よしやるぞ〜、あっ!」

「マズイ!逃げろ!」

「坊ちゃんだ!坊ちゃんが来たぞ!」

「よしお前、今日はお前がデュエルするんだ!」

「くっ、紙で!紙でお願いします」

「ダメだよ、リアリティないし……サレンダーしたら斬首させるから、何年掛けても実行するから、デュエル!」

「うぅ……デュエル!」

 

それはそれとして、御先祖にも言われたしデュエルを普及しなきゃね。

1日1回までしか魔法の行使は許されてないけど、騎士階級は魔力を持った平民の成り上がりだから平気って分かってるし、最悪死んでも仕方ないって親父殿も言ってた。

 

 

 

そんなこんなで御先祖動いてんのとか思ってたら翌日。

催促する前に、呼び出しされた。

ワクワク、ワクワク、呼び出された部屋には父親レオンハルトとウチの母親ルミアがいた。

 

「マルセル、お前に祖霊より神託が降りた。心して聞け」

「分かった」

「マルセル、そこはこうして拝命致しますと言うのです」

「拝命いたします!」

 

母親のマナー指導が入りつつも、片膝を着いて言葉を待つ。

ちなみに、なんか吸血鬼があと2年くらいで復活するらしいからマルセルをガイウス領に派遣して、マルセルじゃないと倒せないからと神託したらしいのは聞いてる。

つまり、出来レース、コネ採用である。

 

「何らかの脅威がガイウス領に迫っている。それはお前でなければ、どうにか出来ないらしい。そこで、ルミアと共に御父様の協力を仰ぎ、脅威を退けろとのお達しだ」

「貴方の年齢から普通はあり得ないことですが、神霊となった祖霊の予言は覆せません。私と一緒に来てもらいます、これも貴族の務め……良いですね」

「拝命します!」

「いや、そこは分かりましたで構わん」

 

オホンと咳払いする親父、涙目の母親。

うーん、なんか上手いこと伝わってないけどどうなってんだ御先祖?

 

『信仰などの相性もあるし、ここまで話せるお前が可笑しいのだ』

 

……コイツ、脳内に直接!?まぁ、カードアニメじゃ俺にしか見えない相棒とかいるし、あるあるか。

何かの危機もカードで解決もあるあるやな。

てか、爺ちゃんに会えるのも楽しみだな。

強いモンスター持ってるかな、カード化して紙でも見せて欲しいなぁ。

 

「所でお前の魔法を使った輸送業が順調でな。今回、貴族院に上奏し特許を取得した。これから小遣いを支給するが、それはルミアから貰うようにするのだ。あと、近々謁見も予定されているため、マナーは特に学ぶように」

「良いですか、侯爵という上の立場の方に謁見できる事は名誉な事です。覚えめでたければ、家のためともなります。厳しくいたしますよ」

「分かった!」

「そこは拝命いたしますでしょうが!」

 

すいません、母さん。

僕には貴族のマナーが難しいです。

新社会人の敬語とか社会人マナー教室を思い出して鬱になりそうです。

カ、カードしなきゃ……こんなの貴族じゃねぇ。

完璧なマナーが出来る兄貴と妹と比較されながら、みっちり指導された。

こんなに厳しいなら上の階級の人と会いたくないよ。

とはいえ、出立の準備が出来次第行けることとなった。

 

『はえー、最近はマナーに煩いんじゃな』

 

御先祖の時代に俺も生まれたかったよ。

 

『常に命懸けで、毎日どっかしらで人が死んでたが?』

 

修羅の時代過ぎるやろ、やっぱいいです。

なんか知らんうちに特許とかあってお金貰えるらしいし、この時代というか、この世界にも特許とかあったんですね。

そりゃそうか知名度上がれば強くなれるんだし、一部だけ隠して訳が分からないとかなら神秘性増すもんな。

 

「よし、小遣いで奴隷買うぞー」

 

妹の話が本当なら、格安で良い奴隷が買えるもんな。

早速、婚約者のエレナに手紙を書かなきゃ!

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