異世界ファンタジー世界でカードゲームしてる   作:nyasu

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奴隷は違法って二十世紀になってから認めた所もある

サンダルモニカ王国の西部、悪事を働いたことがない奴を見つける方が難しい、治安の悪い地域。

そこに、俺は大金を持って婚約者であるエレナと奴隷を買いに来た。

当然のように護衛はわんさかいるが、貴族的には二人きりのデートである。

 

そもそもの話、王国の設立時点から奴隷という制度は社会基盤に刻まれており、階級社会となっていることから、護衛は人ではないとかそういうのは名残であるのだ……って習った。

 

「見られてますね」

「えっ、そう?」

「視線を合わせないようにしてますが、魔力の発露から意識が向けられてるのが分かります」

「何言ってんの?」

 

魔力なんて感じれる訳……なんか、みんな頷いてる。

はえー、武家の人って落ちこぼれでもすごいんだね。

ウチさぁ、そういうのは兄貴が外交担当で妹が内政担当で俺が軍事担当の予定って妹に言われたけど、才能ないって感じるわ。

 

奴隷市場はもっと乱雑で陰気な場所だと思ってたのだが、客も商人もみんな元気で、笑顔と怒声が飛び交う漁港の市場のようだった。

 

「債務超過!国産奴隷だよ!鑑定書付き!」

「技能奴隷入荷!鍛造、数学、錬金術!金貨150で!」

「ベイダル国産、1セット!単体でも可、親もセット買いだと調教しやすいよ!」

 

腕を掴む強引な客引き、何やら売り文句が飛び交い、値段交渉も行われている。

鮮度がいいよって何だよ、野菜か魚かよ。

見れば、なんか目の前で奴隷を生きたまま解体している奴もいる。

うわぁ、匂いが酷いや……へぇ、魔法の材料とかするんだ。

てか、4歳が見ていい物じゃないだろ。

だからあんなに反対されたのかー、なるほど。

 

「エレナは何か平気そうだな」

「あぁ、死体ですか?まぁ、見慣れてますので」

「武家ってすごいんだね」

 

俺は正直グロすぎて吐きそうだよ、おえー。

さて、奴隷の種類によって市場は別れている。

まず奴隷と言っても、使い潰す用の犯罪奴隷、たまに使い潰す拉致した敗戦国とか異教徒とか孤児の奴隷、ほぼ生かしておく奴隷落ちした奴隷。

大体この3つだ。

なろう小説特有のなんちゃって人権はないので、何してもオッケーである。

まぁ、人によっては拷問とか実験で殺すなんて!とか言う動物愛護団体みたいなのもいるけど、割愛。

今回の目的は、奴隷落ちした何かしらの技能を持ってる奴隷狙いである。

 

俺達は治安の悪過ぎる犯罪奴隷ゾーンから、一般的な奴隷ゾーンを通過して、高級品があるゾーンの手前にやってきた。

奥に行くほど高い奴隷が売ってるから、分かりやすいね。

 

「キャスターの老体、金貨10枚だよ」

「大人気、狼系獣人!片腕なし、金貨7枚いらんかね!」

「観賞用エルフだよ!声は出ないけど、美術品としては一級品!」

 

ちょうど間のゾーンは、前世で言うところの訳アリ商品だ。

まぁ、割れた煎餅とか色がおかしかったり虫食いの野菜みたいなもんだ。

商品としては値下げのためにボロクソ言われるから、言われる前に値下げした奴ら。

 

「おぉ、これはこれは坊っちゃん!どうですか、見てきませんか!」

「ここにする?」

「私はどこでも……」

 

良し悪しなど分からないので、貴族相手にいの一番に声を掛けてきた商人の店に入る事にした。

店は布張りのテントのような物で割と広い。

護衛が鋭い目で周囲を警戒する。

そんな様子を意に返さず、恰幅のいい商人のおじさんはニヤニヤしてる、胡散臭い。

 

「よもやよもや、マティーナ家とトール家の方にお目に掛かれるとは光栄でございます」

「おぉ、すごい。よく家が分かったな」

 

家紋とか見て判断出来るなんて、流石商人だなと感心する。

いや、ニヤニヤしながら揉み手で子供にへりくだる、うーん悪徳商人っぽいね。

 

「いやね、魔法の実験がてら格安で奴隷が欲しくてね」

「なるほど、では特別な条件がおありで?」

「そうそう、話が早い!回復魔法の練習でね、上手く行かなくても良いように技能奴隷が欲しいんだ」

 

それでしたらと、俺達を案内する商人。

内心では、馬鹿なことをと考えているんだろうな。

この世界で、欠損や先天的な障害を治すというのは相当なレベルらしく、国内で1人か2人いたら良い方だそうだ。

まぁ、妹が言うには婚約者のエレナは化物染みた実力らしい。

 

「なるほどなるほど、安価な奴隷市場は素通りした訳ですな」

「明日や明後日死ぬようなのでもいい」

「技能奴隷でそれは殆どありませんが、伝手を使って集めましょう。さぁ、着きました」

 

案内されたのはテントの奥、檻の置かれた場所だった。

檻の中には小汚い少女がいる。

周りには他にも尻尾の生えたガキ、両腕がない男、火傷を負った女などもいた。

 

「意外と少ないな」

「売れ残りは少ない商売をさせて頂いてます。此方は表に出しても売れ行きも悪く、廃棄予定でしたので」

「おぉ、安くていいね」

「それはもう、処分費の出費が抑えられるなら……えぇ、えぇ、勉強させて頂きますので、これからもご贔屓して頂きたい」

 

大体、物価と照らし合わせると1日に3食は行けるくらい、前世で言うところの一万円くらいの金額、金貨1枚相当の価格だった。

1人金貨1枚である、家電より安い。

まぁ、金貨に合わせて物価が動くから一万円近い価値が前世と変わらんのやろな。

平民は頑張って金貨1枚で10日は生活出来るらしい。

 

なろう小説を読んでる俺は、奴隷の扱いも詳しいんだ。

大体、許せないとか人権云々語ってから奴隷購入してズッコンバッコンしてるのが多く、オタクくんさぁ……と思うのもないわけでは無いが、要は安く仕入れて付加価値を見出す点は評価出来る。

俺は好意とかいらんから忠誠を……まぁ、魔法で代用出来るからいらんかな。

 

「はじめまして、俺はマルセル。こっちは婚約者のエレナだよ」

「俺は……拷問か、実験用か?」

「どうして?」

「腕はないが、俺だって魔術使いだった。こんな俺を買うなら、分かることだ」

 

腕のない男は渋い声だった。

うんうん、デュエリストに向いてるよ。

色んな国から買い付けてるから男は外国産かもしれない。

というのも、なんか地域で魔法使いのことを魔術師とかマジシャンとかキャスターとか呼び方が変わるからだ。

まぁ、男は元魔法使いとでも思えばいいだろ。

 

「じゃあ、別館の方に集まったら奴隷送ってよ。しばらく王都に滞在してるから」

「おぉ、是非ともやらせて頂きます」

「うんうん、着払いで!相場より安くしてね、吹っ掛けるのはオススメしない。相場価格なら、ちょっと割高でもいいよ」

「なんのなんの、今後のことを考えれば投資でございます」

 

ニコニコと笑って良い買い物したなぁと、店を出る。

奴隷は檻から出して、護衛が担いで運び出した。

どうやら食事を与えられてなくて弱ってるらしい。

無駄な出費だもんね。

 

「坊っちゃん」

「何?何だよ、何かまずいのか?そう言う言い方の時は、なんかあるだろ」

「余り、直接的な表現は貴族の品位に関わります。あと、当家が侮られる故に安くしろなどとは」

 

あぁ、メンツ的なね。

確かにケチとか思われるかもだけど、見栄で出費とか嫌やろ。

内心アイツらは、貴族って見栄っ張りだから毟り取れてやったぜって思うかなと。

 

「エ、エレナは……実直で良いかと思います」

「おぉ、ほら見ろ!可愛いこと言ってるぞ」

「かわっ……」

「はぁ……坊っちゃん甘えないで下さい」

 

いや、金は大事だよ。

金持ちになっても、小市民の気質がなくなるわけないじゃないの。

その御蔭で手に入れた奴隷達を別邸へと連れて行くのだった。

 

 

 

別邸に連れてきた奴隷達は家人達の手で綺麗になっていく。

奴隷、その上に解放奴隷、その更に上に貧民とか平民、そんで金持ちの平民。

まぁ、こんな感じで階級があるからな家人の視線はどこか冷たい。

うーん、身分制度って慣れないね、その辺の価値感みたいなのがね。

 

「ほら、金に飽かせて集めた魔石だよ。エレナ、やっちゃって下さい」

「が、頑張ります」

 

奴隷は両腕のない魔法使いの男、火傷で死にかけの剣士の女、弱そうな獣人のショタ、エルフ耳のロリだ。

つまり、直せれば魔法使いと剣士とモンクと踊り子みたいなのが手に入る訳ですね。

 

「な、何する、ですか?」

「あぁ、お前ハーフエルフか?あの魔力が分かるのか」

 

何やら奴隷達が話してるけど、まずは女剣士から魔法を使おう。

喉でもやられてんのか声とか聞こえないし、喋れるようにしたい。

 

「治れ!」

「えっ、詠唱短っ」

「戦場じゃ長いと死にますので」

「なるほど」

 

武家生まれってすごいと思った。

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