エレナに買った奴隷を治してもらった感想は……コスパ悪いであった。
というのも、魔法を使っては魔石を消費して、魔法を使っては魔石を消費して、通常の治療日数を魔石ブーストでコストを踏み倒して概算すると……腕を生やすのに1ヶ月は魔法を使わないといけない。
いやね、腕が欠損した状態から治るのは凄いよ。
でも、そこに至るまでが大変だし、すぐに治せとか言われる戦場じゃ使えないって評価になるんやろうな。
まぁ、元から魔法のない世界出身の俺は眼の前の奇跡に大興奮だけどな。
他の奴らには共感されないと思うけど。
「わーい、魔法使いと剣士と獣人とエルフだ」
「金貨何枚使ってやがる……まぁ、悪い気はしねぇが」
目敏い元魔法使いの奴隷が、魔石の費用に気付く。
そうなんだよな、売ったら1から2枚なので普通に120枚くらい使ってることになる。
それなら、その金額で安いのを沢山買えば良いとなるのが普通。
でも、技能奴隷を買うとしたら30枚くらい安く買えたんじゃないだろうか。
「言われてみれば、どうやってこれほどの魔石を」
「あー、うーん、まぁ、色々あるんだよ」
正直に言うと、ウチの両親が俺の魔法のデメリット対策として負けた際に代わりの代償として用意してくれたものである。
つまり、緊急時に使うのよと親が渡した金を自分のやりたいギャンブルに注ぎ込んで使い切ったイメージだ。
うんうん、現代風にしたらクズだな。
なお、ギャンブルは俺のデュエルなので負けなきゃヘーキヘーキ。
「坊っちゃん。商人のカイザが目通り願っています」
「誰それ?」
「奴隷商人でございます」
奴隷商人……あぁ!連れてきてって言ってたな。
早速、俺達の成果を見せてやろうと4人を連れて行く。
場所は来客用の部屋であり、商人は床に跪いて待っていた。
可哀想に膝が痛いだろうなと思いながらソファに俺は座り、面をあげよと一言発した。
勝手に顔を見るのは平民は失礼なんだって、うーん階級社会。
「先程は……おぉ、なんと素晴らしい」
「気づいたか。ほら見ろ、ウチのエレナはすごいだろ」
「誠に感服でございます。五体満足とは、流石です。素晴らしい!いや、これは見事と言う他ない!」
ハッハッハッ、と適当に笑って流す。
最初は気分良かったけど、明らかにお世辞だろって分かったからだ。
まぁ、いいや。俺の考えたビジネスの話が先だろ。
「今回はコストを踏み倒してレアリティの高い奴を厳選したんだけど、コイツらみたいに治すのは普通にやったら1ヶ月くらい掛かると思うんだ」
「こす……れありてぃ?……な、なんと、1ヶ月でとは十分でございます」
「そうだろ。でも商売は向いてないと思うんだ、だからお前に委託したい。俺としてはエレナの自由に使える私兵が欲しいんだ」
というのは建前で、本当はお金が欲しいのだけれども、婚約者の前でお前は金のために利用していると言うのは良くないからな。
「マルセル様」
キュンって聞こえてきそうな声が横から聞こえる。
大丈夫、いつか騙されない?
「有能ではあるが治療が必要な奴隷を集めて欲しい。欠損奴隷の費用はその分の治療で支払うとして、いらないものはお前で売ればいい。何割か貰うが、俺よりお前のほうが稼ぎ方はよく知ってるだろ」
「それはそれは、えぇ、貴種には貴種の下民には下民の働き方がありますので、仰る通りかと」
「行けませぬ!それはトール家への内政干渉でございます!」
「えぇ……ダメなの?」
「いえ、問題ありません。それはそれとして客人の前で主人に恥を晒すような臣下は処断したほうが良いかとエレナは思いますよ」
それってウチへの内政干渉って奴なんじゃないの?
まぁ、これでお互い様ということで良いか。
「よく分かんないけど、そいつ連れてって処断って奴しといて」
「なっ!?お待ち下さい!そのような事は――」
「煩いから黙らせて、追い出して」
なんか必死に暴れてて草。
さて、話を戻そうか。
あれ、なんか汗とか書いてるけど暑いのかな。
「あっ、飲み物が無いのか。おい、誰か」
「申し訳ありません!ただいま、ご用意致します!」
「あっ、うん、まぁそんなに慌てないでね」
そんなに怒ってないけど、他の人が今さっき怒られたばかりだからかな。
さて、紅茶が用意できた所でビジネスである。
貴族は言質を取らせないやり方で勝手にやらせるってのが主流らしいのだけど、社会人としてそういうのは俺は嫌だなと思ってる。
ルールとか約束を守らないと、インチキ効果で戦うみたいなもんだよ。
勝負の際にカード作ったり、相手のデッキに知らんカードぶち込んだり、レアカード海に捨てたりは無法過ぎるだろ。
「商談に当たっては約束を守らせる魔法があるのだろう。ちゃんと契約書を作ろう」
「契約書でございますか……いやしかし……」
「何か問題でもあるのか?商人が良く使う魔法であるだろ。お前、俺を騙そうとしてたのか」
「そのような事は……珍しい要望でしたので、気分を害してしまい申し訳ありません、どうか御容赦を!」
いや、騙す気がないなら良いんだ。
文章は難しいからね、ちゃんと騎士達にしっかりやらせて契約を作るんだ。
これで元手がタダでお金と奴隷が手に入るね。
奴隷購入から数日後、母上と一緒に実家であるガイウス領に向かう前に何かカードに出来る技術の特許を取ったから侯爵家のパーティーに出席する事になっていた。
みんなで国を良くしよう、仲間内で集まるから来いよ、みたいなノリである。
会ったこともないけど、親同士は仲が良いから挨拶しないといけないらしい。
「面倒だなぁ」
「仕方ないわよ。アレは商人から寄進を求めたり、教会に献金したり、政治資金の為の活動だから」
ほーん、テレビで昔見た政治献金パーティーって奴か。
俺には分からないなと妹と一緒に俺は奴隷達の様子を見ていた。
奴隷を育成しつつ、妹に侯爵のことを聞いてパーティーに備えることにしたのだ。
「よーし、やっぱ筋トレだよな。ご飯たくさん食べて、死ぬほど運動して、ぶっ倒れたら回復魔法、オーバーワークも真っ青だぜ」
「何言ってるか分かんないけど、話聞きなさいよ」
「侯爵家に行って何するのさ」
俺が作らせた筋トレ器具、ダンベルとかベンチプレスをやる奴隷達を見ながら話を聞いてみる。
今回の侯爵パーティーの予定は、大人達は近場の山で魔獣を狩るそうだ。
要するにモンスターハンターである。
で、みんなでモンスター倒してウェーイと飲み会する感じ。
食べたり素材にしたり、モンスターは魔法使いにとって無駄がないからね。
魔法使いなんて、人間が魔法を使えるようになった人間のモンスター版だ。
だから、獣が魔法が使えるようになった獣のモンスター版である魔獣は食べたりすると魔力が増えるのでありがたい食材なのだ。
「なるほどなぁ、偉い人ほど良い狩り場を独占してるから偶に公開してあげるわけだ。周回とかしまくってんのかなぁ」
「よく分からない事言って……子供はまぁ関係ないわね。でも、後々に響くから幼少期から仲良くしとくのよ」
「母親みたいな事言って……まぁ、任せとけって俺に秘策がある」
そして、侯爵家主催の狩猟大会当日。
俺は、ブチギレていた。
「何だこの羊皮紙のパチモンは?チマチマとした絵なんぞ描いて耐久性もイマイチだな、それにモンスターなんぞ題材にするとは天使や僧侶の方がいいだろ」
「おい、デュエルしろよ!チャラ付いた陽キャ野郎、俺の前でカードを破くとはいい度胸だ」